さと
主人公、彩木まりんと親友、速水さやかが通う水蓮女子高校。オーストラリアへの修学旅行を間近に控えていた。修学旅行の期待に胸を膨らませるまりん。肥満化への道を辿ることになるとも知らず。。
【第4話 まりんの過去 中学卒業編】 あれから2年が経った。 桜が満開になっていた。綺麗な桜がひらひらと舞う蓮花中学校にも新しい新入生が入ってくる。 進級した3年生の教室にまりんの姿はなかった。 薄汚れた部屋。食べかすがのったお皿や、もう着れない服が散乱している。そして、むしゃむしゃと馬のように何かを食べる音が聞こえる。 XLのジャージを身にまとい、うずくまるように座っている。 まりんだった。 顎にはさらに肉がつき二重顎になっていた。 でっぷりとしたお腹がジャージからは
【第3話 まりんの過去 中学校編】 そんな生活を1年送り、私は中学生になった。 入学式の朝。雨が続いたこともあり、花びらの大半が散り落ちて、残骸のようになってしまっていた。その日も太陽こそ出ていたものの、薄汚れた灰色の雲がいつ陽の光を覆い隠してもおかしくなかった。 今日から私立蓮花中学に通う。 「まりんー！いつまで寝てるのー！早く起きなさーい！」 そんな声で私は起きた。 階段を降りると、お母さんが自分の弁当を作っていた。 エプロン姿が似合う大好きなお母さんだ。 今から
【第2話 まりんの過去 小学校編】 7年前のある夜。 しんしんと粉雪が音もなく、降っていた日。 そんな静寂のなか、家の中では激しい口論が続いていた。 ぴたりと音は止み、玄関を開ける音がして、体の芯から凍るような冷風が吹き込んできた。 「まりん、あなたのことが大好きよ。ずっと大好きだから。」 お母さんはそう言って私を抱きしめ、物悲しげに微笑んだ。 「お父さんはどこいったの？」 「仕事…があるのよ。」 「いつ戻ってくるの？」 「…。」 外と同じ静寂が家の中を襲った。 その後
【第1話 水蓮女子高校】 キーンコーンカーンコーン。 5限終了のチャイムが鳴った。 寒い日が続いていた12月のある日。 今日は珍しく暖かく、コートを着ていると汗ばむ気温だった。 ふと、窓の外に目をやると体育の準備をしている先生の姿が見える。 私は再び、バッグの中に隠してあるスマートフォンに目を向けた。 その時だった。 「ねぇねぇまりん！シドニーの自由行動！どこ行くか決めた？？」 顔をあげると、身を乗り出して私を覗き込むクラスメイトの速水さやか（はやみさやか）の姿があった
