乳がんになった私 #26「身に沁みる」
右腕が痛い…!
せっかく睡眠導入剤でうとうとしていたのに、痛みで目が冴えてしまった。
ナースコールを押し、看護師さんが部屋にやってきた。
看護師「どうしました?」
私「針を刺しているところ、右肘内側がかなり痛くて…。」
看護師さんが針の刺さっている箇所を確認する。
看護師「見た感じは腫れたりはしていないですね…。いったん冷やして様子をみましょう。」
持って来てもらった保冷剤でとにかく冷やした。なんとか寝てみようと試みたが、やはりどうにもじんじんと痛くて眠れない。血管が痛い…。
夜中の病棟、他の部屋からもナースコールが鳴っていた。
また呼ぶのは申し訳ないなあと思いつつ、もう一度ナースコールを押した。
私「やっぱりどうにも痛くて眠れないです…冷やしても変わらなくて…」
看護師「針がちゃんと血管に入っているか確認します。一度水を流してみますね。」
生理食塩水を針から流し込む。
看護師「血管にはちゃんと入ってますね。」
私「これ、明日の朝までは刺しっぱなしにしておかなきゃ駄目なんですよね…?今抜いてもらうことは…」
看護師「そうですね。明日の朝になって、体調が問題ないと判断した段階で抜くので、それまでは…」
本当は今すぐ針を抜いて欲しかったが、どうにも抜いてもらえそうにないので、保冷剤を追加して引き続き様子をみることになった。
痛い〜辛いなあ〜と思いながら、いったんベッドから降りてトイレへ行った。
すると、立ち上がって腕の角度が変わったせいか、寝ている状態よりは痛くないことに気が付いた。
その後、ベッドの上で痛みがやわらぐ角度をなんとか探し出した。しばらくすると私は眠りに落ちていた。
翌朝6時に起こされ、体温や血圧などに異常がないことを確認、やっと待ちわびていた…抜針!
針が抜かれた後もじんじんと痛かった。きっと血管にはきちんと入っていたものの、針先が血管の壁に当たっていたのか、そして強い薬の影響で血管も炎症を起こしていたのかもしれない…。詳しいことは分からないが、次からは肘の付近は絶対に拒否したいと思った。
(ちなみに半年経った今でもこの初回の時の血管が痛い。徐々に良くなってきているとは思うが、血管を触るとかなり硬くなっており、右腕を伸ばすと突っ張って痛く、右腕の可動域が少し狭まっている。抗がん剤による血管痛というのはよくあることらしい。)
昨夜は握り拳も出来ないくらいパンパンになっていた手のひらは、だいぶむくみが引いてきたようだった。これも抗がん剤の影響なのか…。
病院の朝食を控えめに食べ、ゆっくりと帰り支度をして、いざ退院。内田が迎えに来てくれ、私の実家へと向かった。
初めての抗がん剤ということもあり、どんな副作用がどれだけ現れるかも分からなかったので、しばらく実家でお世話になる事にしていた。
昼頃に実家に到着。お昼ごはん何食べたい?と母に聞かれたので、具だくさんの温かいうどんが食べたいとオーダーした。野菜やきのこがたっぷり入ったうどんはとても美味しかった。
その日は名古屋グランパスの試合日だったので、退院早々に実家で観戦。抗がん剤治療の翌日だが、今のところ体調も落ち着いていたのでいつものように絶叫しながら観戦していた。やはり熱中して自然と声が出てしまうものだ。楽しみがあるって素晴らしい。
夕方には小学校からの友人が顔を見に来てくれ、神社の御守りをくれた。嬉しい。他者が自分のことで願ったり祈ったりしてくれるって、こんなにも嬉しいんだ。ありがとう。
夕飯も栄養たっぷりの母の手料理をしっかりと食べた。そして、腰痛がひどかったので理学療法士の父がマッサージをしてくれた。父は現在70代。本当だったら私が肩揉みでもしてあげるべきなのに…!実家のありがたさが身に沁みる。両親に感謝。
夜になると、だんだんと倦怠感が出てきた。そして少しの気持ち悪さも。やはり通常の身体の状態ではないような感覚。
ここ最近、緊張や不安で熟睡出来ていなかったし、昨夜も腕が痛くてなかなか眠れなかったし…今日は眠れるといいけどな…。
まだ21時頃だったが、早めにベッドに横になった。
(#27へ続く)
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