乳がんになった私 #55「自分との戦い」
9月20日、8回目のパクリタキセル投与。
朝早くから昼過ぎまで病院だった。
点滴後はやはり毎回ものすごい眠気に襲われる。身体もだるすぎたので、帰宅してから少しだけ寝ることにした。そして1時間後にアラームで起きた。
治療の日はいつも後ろに予定を入れないようにしているのだが、この日は違った。
自宅スタジオで、名古屋グランパスのオフィシャルサポートソング「たぎってしかたないわ」のリアレンジバージョンのレコーディングだった。
内田の提案で、“アコースティックギターと歌” というシンプルな編成でのリアレンジ。ギタリストは、今までに何度もライブやレコーディングに参加してもらっているジャズギタリストの竹内勝哉、かっちゃんにお願いをした。
ソリッドでかっこいいアコギが録れた。
眠さとだるさはあったが、音楽をしている時はやはり精神的に元気でいられる。と言っても、この日のレコーディングで私は、かっちゃんのアコギのプレイに「いいね!」と言ったり、少し意見を出したりしていただけなのだが。
後日、体調の優れる日にアコギに合わせて歌をレコーディングした。内田がそのデータをまとめ、ミックス、マスタリングをし、完成した。
9月21日、名古屋グランパスのイベント出演のためのリハーサルを自宅スタジオで行った。
このライブにもかっちゃんに1曲ギターで参加してもらうことにしたので、昨日もレコーディングの後に少しリハーサルをしたのだが、今日は内田と私の2人で演奏する曲と、私1人でピアノ弾き語りをする曲の練習をした。
9月22日、テレビ取材。
現在の治療の経過や体調、そして事実婚について。質問に対して、いつも自分の気持ちを素直に伝えるように心がけているのだが、きちんと伝えられたかなあ…と後で不安になることもある。
取材を終えた夕方あたりから、身体の関節が痛くなってきた。そう、この日は金曜日。やっぱり痛くなるのはいつもこのタイミングだ。
そして明日、土曜日は痛みのピーク。イベント出演。
実は、関節痛のサイクルを把握する前にイベント出演を決めていたのだった。でもきっと、イベントの日が関節痛のピークだと分かっていたとしても、出たいという気持ちが勝っていたと思う。
明日は自分の気力を信じるしかない。
頼む!私の精神よ!ライブ中だけは身体に勝ってくれ!
#37に書いたが、私は病と闘っているつもりはない。
これは自分との戦い。
病気であろうがなかろうが、自分と戦わねばならぬ時は、ある。
そんな想いで、9月23日のイベント当日を迎える。
(#56へ続く)
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