乳がんになった私 #59「音楽と治療の日々」
イベント出演後に2日間休み、サイクル的に関節痛はおさまった。
9月26日、ヴィオラのレコーディング。
#54でコントラバスを録った新曲の続きだ。
ヴィオラ奏者もオーケストラライブに参加してもらったメンバー、伊藤徳子さんにお願いをした。私のすぐ右奥に映っている彼女だ。
のりこさんも同じ名古屋音楽大学出身。在学中に関わりは無かったのだが、実は同い年だということが発覚し、親近感。のりちゃんと呼ばせてもらうことにした。
オーケストラは人数が多く、ひとりひとりとゆっくり話す機会が無かったので、あらためてこうやって関われることが嬉しい。
深みのある素敵なヴィオラを録音できた。
体調によって休まざるを得ない日もあるが、治療中でもこうやって様々なミュージシャンと一緒に音楽をすることが出来る喜び。
とは言え、この日も体調は万全ではなかった。関節痛はおさまっていたが、引き続きの手足の痺れ、そして頭痛があった。
ここ数日続いていた頭痛。新しい不調が出るといちいち心配になる。
進行した乳がんが転移しやすい部位に、脳がある。
そこまでひどい頭痛ではないのだが…急に不安になってきてしまった。
そして、数日前から膀胱炎のような排尿時の痛みも気になっていた。
明日は病院。先生に全て聞いてみよう。
9月27日、週に一度の抗がん剤治療の日。
診察で担当医の先生に、頭痛がすること、そして脳転移について尋ねてみた。
先生「頭痛ってひどい?」
私「そんなにひどくはないです。ただ、気になっちゃって…」
先生「確かに乳がんの脳転移というのはあって、でももし転移してるとしたら、ふらついたり、視界がぼやけたりするんだよね。」
私「ふらつくのはないですけど、最近、視力が急に落ちてる感じはあります…!」
先生「それって両目?脳転移の場合は片目だけぼやけるんだよね。」
私「どうだろう………多分大丈夫だとは思うんですけど…ちなみにそれって検査できるんですか?」
先生「やろうと思えば脳のMRIを撮ることはできるよ。」
私「なるほど………ちょっと、考えておきます。」
排尿時の痛みについても尋ねると、これは抗がん剤の影響で起こることらしい。仕方がない。
診察の後、パクリタキセルの点滴。今日が9回目。
あと3回。あと3週で術前化学療法が終わる。
点滴を終え、今日も付き添ってくれた内田とお昼ご飯を食べに行った。
度々行くイタリアン。パスタもピザも美味しいお店…のはずが、今日は美味しく感じない。
私の味覚がおかしい。これも副作用だ。
やれる範囲で食べるものには気を付けつつも、やはり毎日の食事は私の楽しみなのに…!つらい…!
味覚のせいで美味しい食事にありつけず、残念な気持ちで帰路についた。
(#60へ続く)
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