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乳がんになった私 #38「遺伝子検査の結果」

抗がん剤治療中、私はことあるごとに自分の右胸と右腋に「がんばれがんばれ細胞ちゃんっ!」と声をかけた。

闘え!ではなく、治れ治れ〜よしよし〜!と優しく声をかける感じだ。

“闘病” という言葉に違和感があると書いたが、書いた後で今一度振り返って考えてみると、乳がんが発覚した直後は闘志がメラメラしていた気がする。

これから治療が始まるけど音楽を続けるぞ!というメラメラ。(治療開始前にライブも決まっていたし)

でも、うん、やっぱり病気に対しての闘志ではないな。あらためて。



7月7日、朝早くに担当医のS先生から電話があった。

S先生「前回、体調を崩してお休みをしてしまっていてすみませんでした。」

私「いえいえ〜! (先生が復活して良かった…心配したあ) 」

S先生「来週が4回目、ラストのEC療法ですけど、それが終わった後のMRIの日程を決めておかないとと思って。予約が埋まってしまうので…」

MRI検査の予約を7月21日に入れてもらった。

S先生「それと、前に採血した遺伝子検査の結果ですが、陰性でした。」

私「……へっ!?あ…そうでしたかあああ…良かったあああ。」

S先生「電話で伝えることになっちゃってごめんね、詳しくはまた次回お話しします。」

まさかこのタイミングでBRCA遺伝子の検査結果を聞くことになるとは思っていなかったので、不意打ちでなんとも気の抜けた返事をしてしまった。

電話を終え、すぐさま内田に伝え、母にLINEをした。

内田は安堵し、母はトーク画面上で歓喜していた。

内田「もし遺伝子検査が陽性だったとしても、それはそれで仕方がないとは思ってたけど…はあ〜良かったね!」

陽性だった場合、遺伝的に乳がんや卵巣がんに罹患するリスクがかなり高い。なので、今回発覚した乳がんは右だったが、陽性だった場合には予防的に両乳房全摘、そして卵巣も摘出することを考えなくてはならなかったのだ。

しかも、その遺伝子変異は性別を問わず親から子へ2分の1の確率で受け継がれる。私には弟がいるのだが、もし私が陽性だった場合、父か母から受け継いでいるわけで、私の弟も可能性があることになる。(男性にも乳がんはあるし、前立腺がんや膵臓がんのリスクも上がる)

そして、もし将来、子供を持つ選択をするとしたら…。

結果が分からないうちにあれこれ悩んでも仕方がないと思い、私はこの件に関してはあまり考えないようにしていた。というか目の前の抗がん剤治療と体調の変化で、良くも悪くも考えている余裕がなかった。

結果が出るまで一番気が気じゃなかったのはきっと母だった。

陰性。安心してもらえて良かった。


これを読んでくれている人の中には、遺伝性乳がんの方もいるかもしれない。

乳がん罹患者と言っても本当に人それぞれだということを、しっかりと心に留めておきたい。

(#39へ続く)
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