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自粛しないひとびと

 去年の夏休みに、美術教師で集まる飲み会があった。
 研究発表で、私が来年退職だってわかったことがきっかけだったか、
「あやのん御大がご退職なんですね」と予定になかった飲み会を急遽設定してくださった気の利く青年(私から見たらw)がいて、そんなに高くない居酒屋で、久々にみんなで集まったのである。

 その時、御大とか言われていた私は、皆にお題を出してスピーチしてもらった。
「コロナ禍でも自粛しないこと」
というお題だったのだが、一人一人の話を聞いて、
「ああ、美術教師って、自粛しないんだな」と心の中で笑った。

 美術教師は自粛しない。

 皆、旅行や、好きな推しのコンサートや色々な所に出かけていた。
 中には、
「自粛するフリしてます」といった人もいて、
 全く、私と同じだなと思った次第である。

 本当だ。
 自粛するフリだけしてた。
 職場でマスクをして、誰とも話さないときは外して、マスクするフリをしてた。ほんとうにフリだった。手指も消毒したことない。(目の前で人が見はっている時はした)

 消毒液で手が荒れるっていう人もいて、ご苦労さんだなと思っていた。
 ワクチンも、副反応も何もなかったが、さすがに受験生のために2回ぐらい打って、その後は、知らんふり。

 自分より年上の友人lineに入っているが、みなは6回目とか、凄い回数打っている。マスクしている人もまだ沢山いるし、まだワクチン打っている人いるんだ!と思ったが、ここで変なことを発言すると友達を無くしそうなので、何も言わない。
 その6回打っている人々の中で、コロナにかかって大変な人がいた。

 ワクチン、効果ないんかい!

 とツッコミたくなる出来事である。
 
 まあ、特に、コロナ禍で我慢したことはほぼなかったし、相変わらず温泉には通っていた。
 温泉にはコロナは関係ない気がしていたがどうだったのだろうか?

 私もいろんな本を読むけど、それにはスピリチュアルで怪しい本も、なんの根拠も示されていない本もあるけど、自分の直観で信じたいものを信じて人生を決めている。

 ドクター・ドルフィン(松久正)の
「コロナを恐れている人から、コロナにかかる」
という一文を読み、トテモ納得してしまった。
 私は、何とも思っていないからコロナにはかからないだろうと確信した。

 その後、不要不急の外出は控えよとかいろいろな言葉が飛び交ったが、芸術を観に行く、体験するというのは、不要不急の方に片付けられてしまった気がしたが、本当は最も、重要緊急な出来事なのではないか?と私は考えた。

 人々との付き合いが分断され、孤立している世界が、コロナ禍だったから。そんな時に、自分の好きな音楽を聴く、好きな絵を観に行く、好きな映画を観る、それは重要緊急な事項なのではないかと私は思った。

 美術教師たちが自分たちの魂の喜ぶことを自粛していないのは、とても正しいと感じたのである。
 そして、それは、美術教師と言う仕事を選んだ瞬間に、魂の喜ぶことを選ぶということを選択していると感じた。
 特別に、一般ピーポーより優れているということではなく、あらゆる教科から美術を選んでいることが、初めから、自分の魂に重きを置いているという人々なのだ。

 その発見が、とても嬉しかったのである。