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続々・チョコレイト✧♡

 文章というのは面白い。書いていると、他のエピソードを思い出すのが不思議だ。書く前は、何一つ、頭になかったのに、である。
 それはエッセイでも、ショートショートでも同じなのだ。

 バレンタインデーが、誕生日の男友達がいた。
 陽気で、話が面白く、ハンサムなその人は、よく皆の中心になって、色々な会を催し、好きで司会もやっていたと思う。

 自分の誕生会をやると言う。

 そうか、バレンタインデーが誕生日と、いいアイデアが浮かんだ。
 ダンボールを使った巨大チョコレートを作ってプレゼントしたら?

 私が学生の頃、大学の先生が、日比野克彦が美術を担当したお芝居を観に行った。劇の中で、日比野君の作ったピストルを売って歩いていたので、手を挙げて、一つ買ったんだよ、と授業で仰った。
 ちょうど、美術手帳やイラストレーションで、日比野克彦の段ボール作品が有名になっていた頃だ。
「きゃああああ💖」と、学生達は、日比野くんのピストルを手に取って見学した。

 大学卒業後、まだ教師をして3年も経っていない。
 その誕生日に向けて、はりきって巨大なチョコレートを作った。
 板チョコの凹凸をうまく表現。銀紙のところはアルミホイルで作り、わざと破いて、それっぽくした。あとは絵具の仕事だ。
 その時、共通の友達の誕生日を祝うために、今の旦那と、最後は一緒にこのチョコレイトを作った記憶がある。


アルバムに証拠写真発見( ´艸`)31歳の誕生日だったのね


 おかげでこのチョコレイトは誕生会を大変盛り上げ、友人はとても喜んでくれ、しばらく誕生日をしたライブハウスに飾ってあった。

 その時、中学校の美術教師だった私は、その巨大なチョコレイトを、部紹介で使うことを思いついた。ライブハウスから借りて、学校に運び、部紹介に使って、新しい新入部員が入ってきた。

 しばらく、そのことを忘れているうちに、美術教師が珍しく、3人もいたマンモス中学校だったので、ある日、美術室が綺麗に掃除されていた。

 あれ?私の作った巨大チョコレイトはどこ行った?
 
 なんと!
 もっとも年配のベテランの美術教師に、捨てられてしまったらしい。
 が~~~ん。

 俺がもらったあのチョコレイト、どうなった?返してくれない?と何度か男友達に言われたが、ライブハウスもマスターが変わり、みんな結婚して、めったに会わなくなった。

 今、この話を書きながら、あげたプレゼントを借りてきて、勝手に無くしてしまった非礼を詫びなくてもいいのか、気になってきたw
 
 互いに60歳を過ぎているけど、もし、今、巨大なチョコレイトを作ってあげたら、彼はどんな顔をするのだろう?

 嬉しい!と喜ぶのか、
 迷惑な話だと、即、解体されて断捨離されてしまうのか、
 
 どっちなんだろうか?



日比野克彦の作品