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【官能色眼鏡】vol.7 後輩だった男

唇が腫れるほど囁き合ったことはないけれど、昨夜交わしたキスの余韻はまだ残っている。

まだ唇に触れられているような、そんな甘い痺れが残ってる。

そんな夜があった。

過去記事はこちらからどうぞ💕


会社員だった時代の後輩から突然SNS経由でメッセージが来た。

お久しぶりです♪笑
彩乃さんって面白いですねー!!
(急にすみません笑)

note で私的なことも臆せず発信し始めた頃だったから、そこに反応してくれたようだった。

数年ぶりのコンタクト。しかも、4,5個ほど年下の彼とは場所もオフィスも被ったことはなくて、多分それほど親しくなかった。

なんとなく面白い後輩だなと、いつか話してみたいなと思っていた。けれど、わたしが先に退職してしまい、彼も、その数年後に退職していた。

地元で暮らす彼が、東京出張にくるタイミングで会うことになった。

律儀な彼は不慣れな東京でお店を探して予約してくれた。待ち合わせは新宿のピカデリー。待ち合わせ場所がおかしくないかまで律儀に聞いてきた。

ご到着されておられますでしょうか??

早めについて隣接する無印で、買い物を終えたところ、彼からの律儀なメッセージを確認していたら店内でバッタリ会った。

数年ぶりに会う律儀くんは、大人のサラリーマンになっていた。ピヨピヨの新人のイメージしか頭になかったから、そのギャップに戸惑う。

男の子が男の人になっていた。ジャケットの上に長めのコートを重ねて、足元は磨かれた革靴。

ワインバルに連れてきてくれた律儀くん。両隣はカップル。客層は20代から30代。向かい合う形のテーブルだったから、ガヤガヤする店内は顔を寄せないと話せない。

共通点といえば前職のことなので、懐かしい話に花が咲く。律儀くんからすればわたしはかなり会社で活躍してるイメージだったみたい。どこに視点を置くかで見える事実は異なるモノだね。

ビールで乾杯、白ワインをボトルでシェアして、ハイボールで締める。ほろ酔いで、気持ちいいくらい。律儀くんは、想像通りさらっとカードで会計もしてくれた。

「ぼく、バーで飲むの好きなんですよ。」

と、これもまた律儀に調べてくれていた近くのバーへ。ピアノのあるわりと老舗のバー。20代の頃に連れてきてもらった記憶が蘇るけど、相手の顔だけは思い出せない。

話が弾んでラムとショートカクテルを2杯。当然、終電はない。

「今日はぼくといてくれるんですか?」

誘い文句としては、悪くない。どころか、可愛くてずるい。
ちなみに会ってからわかったことだけど、彼は2年前に既婚者になっていた。

わたしは生憎生理中。それでもよければと、彼が泊まっているホテルへタクシーで向かう。

コンビニで化粧落としと、ビールやお水を買ってホテルへ。

しばらくは部屋で軽いお喋りをしていたけれど、時計は2時過ぎを指していて眠気も出てくる。

まだ、律儀くんは敬語が抜けていない。これじゃらちがあかないなと、先にベッドに寝転んだ。

ホテルの寝巻きに着替えた律儀くんも、恐る恐る横にごろん。

記憶がおぼろげだけど、
こんなふうに言われた(気がする)。

「キスしていいですか?」

いいよ?

そこから、転がる石の如く、営み営むオトコとオンナ。

上半身だけ全部脱がせると、ずっと触ってられるーって、わたしの胸を撫でたり揉んだり。

女の身体は保湿から。日頃のケアがモノ言う瞬間ね。そんなことをぼんやり頭で考えながらされるがままに。

急に変なスイッチ入って、わたしから覆いかぶさってキス責め。息ができないくらい激しいのがいい。

律儀くんはいつのまにか全部脱いでいて、わたしは下は履いたままで、彼に擦り付ける。着衣ながらも、わたしも気持ち良くなってきてスピードが加速する。

そこから、攻守交代。ギリギリの範囲でわたしの下着と肌の隙間を狙って触ってくるから徐々に反応してしまう。だんだん遠慮のない指の動きにわたしも耐えられなくなってくる。

「あやのさん、かわいい」

急に敬語外して、最中にいうのキュンとするからやめて欲しい。

最後はわたしが彼の乳首を攻めながら、手で終わらせた。気持ちいいっていうから、どうなりたいの?って聞いて、もっとして欲しいって言ってるそばから律儀くんは果てちゃった。

翌朝、部屋を出るとき、最後にチュウしとく?って聞いたら

「うん!!」

満面の笑みで、キスしてくれた。両手で耳のあたりを抑えながらするのが律儀くんのスタイルだった。ちゃんと人を愛して愛されてきたんだなって思った。

東京駅での別れ際に、また東京来るときは遊ぼうねっていったら、両手でガッツポーズした律儀くん。

内心不安だったのかもね。そのリアクション、素直で可愛いじゃないか。

そうして、律儀くんは新幹線で帰っていった。そのあとは継続したやりとりはない。幻のような夜だった。

現実感はあんまりない。けど、確かにキスの余韻は唇にシビれるほどに残っていた。

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