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男性の苦悩を解決するのはフェミニズムではなく男性学という話。



SNS上だけでなく、
プライベートの知り合いも私がこの分野で活動をしているのは
知っている。

大学院もジェンダー学だし、
結構いろんな人から、いろんなことを相談される。
(最近はピルついて一時期発信していたので
ピルをこれから飲みたいという友達が連絡をくれたりした)

そんな中でちょっと困るのが
「ジェンダー学」とか「フェミニズム」とか、
そういうのがなんだか男とか女とか同性愛とかごちゃごちゃにやってると思い込んでいる男性からの

「俺も男としてこういうのが辛い!!ヘルプ!!」

である。

そのほとんどが
「俺も男だからって仕事ばっかりさせられて辛い」とか
「女性に関する支援施策って、逆に女尊男卑では」とか
「なんで男ばっかり奢んなきゃいけないんだ」とか..


知らん。。。。。。。。

(あと、フェミニストへの誤解とか
自分が論理的に反論できなくてモヤモヤしていることを
私を通じて発散するのはやめてくれ。。。)


「そういうサー、男の苦悩まで女に解決してもらおうとする姿勢が
ジェンダー学=なんか性のことごちゃごちゃやっているという不勉強丸出しだし
自分の権利を自分で獲得しようとしない姿勢がサー、だるいよー」

という心の声は置いていて。


男性として抱えている辛さって、
ざっくり分類すると

・資本主義社会から来る性別役割分業
産業革命時代は「働き続ける男」が経済活動に必要だった。
革命はおきたけど、まだまだテクノロジーのない社会だったから、
縄文時代と同じ理論で体力のある男は重宝された。
妻は専業主婦。男の俺が頑張らねば!!!働き続けるマシーン!

・家父長制
そのうちみんな結婚する。男は結婚したらまともになる。それまでは遊んでなんぼ。家族を所有する男がかっこいい。男は所有するものが多ければ多い程かっこいい。
単身赴任は嫌だし妻はついてきて当たり前。妻のキャリア?妻の性的同意?
え?でも俺はこうしたいから妻はそれにフォローして当然。「だって女だろ?」
夫婦別姓?俺にとってはダメージ少ないからあんまり関係ない。
え?同性婚?俺は「普通に」異性愛だし良くわかんないなぁー。
ゲイの友達いるから俺は差別しないよ。まあ会社の同僚で喋ったことないけど。

・ホモソーシャル(男同士での同質性の確認行為とそのコミュニティ)
俺たち、男だよな!
家族がいて、金稼いで、たまに風俗で息抜きして、そういうのが男だよな?
キャバクラに来ないの?「ホモ」じゃねーの?笑。上司の誘いは常にYES!
あ、でも、お前が俺より稼いで社会的に「上」にいるのは許さない。
お前の「嫁」が俺の「嫁」より若くて美人なんて許さない。


この原因の中に、「女性の個人的なわがまま」って存在してますか?

例えば、あなたの彼女があなたと同じお給料をもらいながら
財布を出したことがない、お金をいつも出したがらないのなら、それは注意したり、話し合ったりして
2人の給料を踏まえて平等になるようにすべきだし、そこで話し合いが成立しない彼女とは別れたら良いと思う。

でも、それは2人の世界や彼女の性格であって
女性全般の責任ではない。
今後そういう人に出会わないようにしたいなら
女性がガンガンに働いて、役員にもなって、奢るとか奢られるとかそんなテーマが男女間で問題にならないくらい、社会構造を一緒に変えて欲しいなと思う。

それは、男性学という視点から自分自身を把握することから始まると思う。

異性愛の男性と話していると、
自分の中の多様性を知らなさすぎだと思う。

いつも
「でも男だからそんなこと言えないし」
「でも上司が」
「でも男だから家族には’%’&%’$」とか、

主語が他者。
「わー、男性性にがんじがらめだなー」
と思ってる。

女性が受けてきた傷を言語化し、主張し、少しづつ主語を「女だから」ではなく「自分だから」に取り戻す努力をしているように

男性も、男性として自分の苦しみを言語化できるのは、
自分しかいないのだ。学ぶと分かるよ。男の辛さは、女のせいではない、と。

そのためには、男性学を学び、男である自分が置かれた社会構造を理解して
自分のつらさの原因を言語化していくしかないと思う。

男性よ、もうジェンダー学を「女の学問」だと考えるのはやめてほしい。
そのバイアスの基に、フェミニストに男性のつらさに戦ってもらおうとすることはやめてほしい。
自分のつらさは、自分で言語化するのだ。
そしてフェミニズムと(フェミニストという者にそれでも尚偏見があるなら女性たちと、と言ってやんわりしといてあげます)一緒に、

「女だから」「男だから」ではなく
「自分だから」の主語で生きていける社会を、取り戻していこう。


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