24時間営業を辞めたコンビニ〜10月の経営数値の動向〜

 皆さんこんばんわ、あやすけです。

 
 ・・・寒い・・・とにかく寒い・・・毎日が寒いです。暑いのは、店員が汗を掻きながらせわしなく動き回り続ける、暖房なんてまだまだ必要のない、当店の店内だけです。私のお店がある東北は、もうそんな「冬」に入りつつあります。

 しかし一方で、去年も今年も来年も、何度も何度も同じように繰り返しやって来る、当店におけるそんな今年の冬は、いつもとは少しだけ違う、新しい冬になる予定です。

 その理由は、雪国における冬のコンビニ経営において、最もクソ面白くねぇ作業・・・「除雪作業」の外注をやめることです。


 その中身とは、24時間営業を辞めたことにより生じた「時間」という余剰資源(人手不足は現在進行系で続いていますので、正確には時短営業を始める前と比べてという前提条件ではありますが・・・)を使い、「除雪に掛かる委託費」というコンビニ経営上において地味に効いてくる経費のスリム化を図ることです。



 軽トラの購入、排土板の準備・・・出来うる限りの準備はしてきましたが、なにせ相手はあの「自然」というやつです。いつやってくるかも、その時々の軍勢の大きさも、湿った雪なのか粉雪なのかという兵種も、全てが全く予測不能な、まさに「強敵」となります。


 まぁそうは言っても、やっぱり新しいことを始めるのって、ワクワクしますね(笑)

 
 
 それでは、10月の当店の経営数値の動向です。


1.経営数値

◯日販
・前年比107% ・コロナ禍初年度比103% ・24H営業時比92%
◯客数
・前年比99% ・コロナ禍初年度比92% ・24H営業時比80%
◯客単
・前年比109% ・コロナ禍初年度比112% ・24H営業時比115%
◯買上点数
・前年比100% ・コロナ禍初年度比104% ・24H営業時比105%
◯人件費 売上比6.9%
・前年比108.2% ・コロナ禍初年度比109.5% ・24H営業時比97.6%
◯廃棄額 売上比4.4%(売価)
・前年同月5.3% ・コロナ禍初年度比5.5%
◯利益 66万円
・前年比123.6% ・コロナ禍初年度比97.8% ・24H営業時比90.8%

※当店における時短営業開始時はコロナ禍初年度です


2.項目別の分析

◯日販
・前年比107%(105%)
・コロナ禍初年度比103%(99%)
・24H営業時比92%(89%)
◯客数
・前年比99%(102%)
・コロナ禍初年度比92%(92%)
・24H営業時比80%(78%)
◯客単
・前年比109%(103%)
・コロナ禍初年度比112%(108%)
・24H営業時比115%(114%)

※( )内は前月の数値

 当店におけるコロナ禍の日販への影響は「マイナス」でした。立地によってはコロナ禍の影響が「プラス」に働いたお店もあるようですが、ロードサイド立地である当店にとってはマイナスの影響を受けたこの数年間でした。

 そのマイナスの影響もようやく落ち着き、日販が回復傾向へと転じたのは今年の4月からですが、10月も引き続き日販は前年と比較して上ブレです。

 ここで重要な点は、この日販の回復傾向が「どの水準まで戻るか」となりますが、日販の前年比は7月の103%、8月の106%、9月の105%、10月の107%とその回復度合いが頭打ちとなりつつあります。その原因は、客数の減少が底を打った後、その回復度合いが昨年並までしか回復しなかった事です。

 客数の前年比は7月の97%、8月の100%、9月の102%、10月の99%となっていることから、今後も客数はコロナ禍2年目となる昨年並に留まるでしょう。以上のことから、日販が「どの水準まで戻るか」は「客単価」の推移次第となりますが、その客単価の直近の数値は一進一退を繰り返している状況です。

 客単価の前年比は7月106%、8月107%、9月103%、10月109%となっており、これまでの数年間右肩上がりで上に伸びていく綺麗な線の動きから、一進一退を繰り返すデコボコな線の動きへと変化しつつあります。加えて買上点数の数値が右肩上がりから横ばいへと変化していることを考えると、インフレの悪影響が客単価の上昇力に影を落とし始めているのでしょう。


 以上の事から、今後は客数は前年並みに留まり、客単価はその上昇度合いをゆっくりと減少させていくという見立てとなります。重要な点は、その結果として、日販の水準がコロナ禍初年度であった2020年の一昨年並の水準となることが予想されることです。つまり、コロナ禍以前には戻らないという結論となります。当店における「ニューノーマル」とは、つまりそういうことです。

 加盟店の利益は売上を伸ばすことで確保していくという「売上至上主義」に対して、私が懐疑的なスタンスになる理由は2つありますが、その1つ目の理由はこの見立てが根拠となります。

 
 ・・・まぁそうは言っても、単なる「当店における状況」ですから、個店によって全然異なるでしょうし、だからそれぞれが好きなように考えれば良いんですよ(笑) ワガママになるのが怖いやつは、生き残ることなんて出来ないのですからね。

 
 前月と同様となりますが、今後は「客単価の増」を重要なポイントとしている各種取組みをこれまでと同様に継続する一方で、8月から経営方針を変更した「廃棄額」の適正化による経費のスリム化にも、軸足を置くウェイトを重くして取り組んで行きたいと思います。

 

◯買上点数
・前年比100%(99%)
・コロナ禍初年度比104%(101%)
・24H営業時比105%(105%)

※( )内は前月の数値

 「客数依存から客単依存へ」という当店のこれまでの方針は10月も継続中です。2年と4ヶ月続いた買上点数の前年比超えが9月の経営数値をもって終わりを迎えた当店ですが、その原因はインフレによるお客様の購買意欲の減というのが現在の見立てです。よって当面の目標は、この横ばいの推移を如何にして維持できるか、となるでしょう。

 国が公表している消費者物価指数によると、国内におけるインフレの進行状況は生鮮食品を除く「食料品」の数値が9月に前年比4.6%となり、8月の4.1%、7月の3.7%、6月の3.2%から視ても分かるように右肩上がりで上昇中です。おそらく10月も同じ幅の水準で上昇するでしょう。

 当店10月の経営数値と比較すると、「日販」は前年比107%、「客単価」は109%であることから、日販及び客単価ともに物価の上昇分以上に上向いていると言えるでしょう。日販の3割弱を占める「タバコ」の売上を考えなければという条件付きですが・・・

 本部による販促への全乗り、及び客単価増の視点に立った各種売り込みについて今後も引き続き取り組みつつも、しかしその中身とは生き残るための撤退戦・・・つまり、「日販低下」という下向きのダメージを少しでも最小限に留めるための取り組みである、という「残酷な真実」を頭に叩き込んでおくべきでしょう。


◯人件費 売上比6.9%(7.1%)
・前年比108.2%(100.2%)
・コロナ禍初年度比109.5%(105.6%)
・24H営業時比97.6%(96.1%)

※( )内は前月の数値

 「売上比7%以内」という現在の当店の方針を達成出来ました。良しです。

 しかし直近の数値の推移を視てみると、10月の6.9%、9月の7.1%、8月の7.0%、7月の6.6%となっており、目標数値を跨いで一進一退を繰り返しています。そしてこれから冬に向けて、当店の日販の水準は1年の中で最も低い数値となる季節に入ります。

 
 「人件費」という経費は、季節によって調整できる余地が限られています。欧米では異なると思いますが、労働の流動性が先進国の中において低いと言われるこの国においては、当店における日販の水準が下がる「冬場」にだけ人を減らすという方法を経営者は取りづらいのが現状です。

 これまでは、その利益の減少分を日販の水準が高い「夏場」において補ってきた当店ですが、そのやり方の要となる日販がコロナ禍以前には戻らないという前提に立てば、利益を維持する「別の方法」を考えなければなりません。

 たとえ、「仕事」に対する価値観や考え方が変化して来ている、つまり社会の価値観が変化の兆しを見せているとは言っても、当店が営業している地域は「地方都市」です。人口減という経営上の「マイナスの変化」においては変化の最前線と言えますが、仕事に対する価値観の変化という「プラスの変化」の力は、現時点において期待できるほど大きくはありません。


 しかしそれでも、生き残るためには別の方法を考えなければなりません・・・その1つの正解となり得ると考えたのが、「24時間営業を辞める」という方法ではありましたが、現時点においてそれが正しかったかどうかは、確定できないでいる現状です。


 来月の数値、見たくねぇなぁ(泣)


◯廃棄額(売価) 売上比4.4%(4.5%)
・前年同月5.3%
・コロナ禍初年度5.5%

※( )内は前月の数値

 8月から経営方針を一部変更し、廃棄額を「売上比4%以内」を目標に徐々に減らしていく事とした当店ですが、9月に引き続き10月も目標には届きませんでした。目標未達の要因についても前月までと同様に、「スイーツ」と「フライヤー」の廃棄額です。しかし前月の数値&去年と一昨年の数値を視れば、少しずつではありますが、目標に近づいていると視ることも出来るかも知れません。

 「スイーツ」については販売数値の動向の記事にも書いたとおり、「品揃えの維持」と「廃棄額の抑制」という2つのバランスを取ることに失敗しました。販売額の数値&廃棄額の数値ともに目標を達成できないという結果です。

 「フライヤー」については、仕込みの回し方を根本的に見直した結果、廃棄額の予算との乖離は大きく減少しましたが、それでも依然として予算額は超えています。

 
 以上のことから、「スイーツ」については、チルド洋菓子に対する廃棄額の抑制度合いを少し減らし、逆にチルド和菓子については売り込みを掛ける度合いを少し減らすという方法で11月は試行錯誤している現状です。

 「フライヤー」については、根本的に見直した現状の仕込み方を基本としつつ、売上額に少しでも影響が小さい方法で廃棄額をもう少し減らす調整を11月は行っています。


 ・・・繰り返し同じ言葉とはなりますが、人間というものは本当に、変化に弱い生き物ですね(笑)


◯利益 66万円
・前年比124%(99%)
・コロナ禍初年度比98%(76.5%)
・24H営業時比91%(57.4%)

※( )内は前月の数値

 「66万円」です。それ以上の意味も、それ以下の意味もありません。

 経営者が満足できる、あるいは我慢できる、その相反するせめぎ合いの金額が、「あなたにとっての」適正と言える利益の額です。

 この金額が良いか悪いかは、皆さんで好きに決めて下さい。私も自分の好きなようにその善悪を決めます。

 

 ・・・当店が24時間営業を辞める決断を親父オーナーとおかん店長がした数年前、その時私は心の中で勝手に予想した妄想がありました。それは、24時間営業を続けたコンビニと辞めたコンビニを比較した時の損益分岐点において、その点が交わるタイミングが、何年後になるかは予想できないけどもきっと来るはずだと・・・その中身とは、少なくとも私がこの先お店に立ち続ける長い長い期間のどこかの時点で、上記の「24H営業時比」の数値が継続して「100」を超え続ける日が来るはずだ、ということになります。


 だからまぁつまり、私の自己満足を満たすだけの「趣味」であるこの仕事は、まだまだ先の長い道のりとなりそうです・・・



 ちなみに、前月の記事と同様、「利益の数字を上げるのはいつでも出来る」という認識に変更はありません。



 それでは今日はこの辺で。

 このクソッタレな世界で戦う皆様と明日もともに。

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