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Takram発のU30デザイナーコミュニティ、Park@に参加して「観察」を考えた話

年明けにこちらの募集に応募して、2024年1月19日から3月28日までの間こちらのコミュニティに参加しました。Park@はまだ始まりたてのコミュニティで、わたしたちで2期目だそうです。

短い間でしたが、様々な業種、バックグラウンドの方々と議論でき、またゲストの皆さんの実践している三者三様の視点の「観察」について講義を聞いたり、グループワークや個人ワークで実践していくことができました。

せっかくなので学んだことをメモしておこうと思います。


三人のゲストの方の講義から学んだこと

プログラムの中で、3人のゲストの方の三者三様の観察の考え方についてお聞きしました。

●マルコ・呂さん

マルコさんの講義ではデザインファームでも実践されてきた、「目の前のことに五感を使って集中し、問いを立てることで、深く主観的でありながら深くみていく観察」についてお聞きすることができました。

特に「パッとみて、こうすればいいじゃんと短絡的な思考になっているときは危険」「正解は一つではないかもしれない」というあたりは、普段陥りがちな穴だったと感じます。

また講義内で共有していただいた本のうちの一つ、THINK AGAINも学びが深く、「自分を疑うという最大の知性」「無知に気づくことは英知」「自分の思考モードを自覚する(牧師、検察官、政治家、科学者)」あたり観察、仕事の姿勢として忘れないでいたいと思いました。

●伊藤亜紗さん

伊藤さんの講義では、マルコさんの講義とは対照的に、客観的に距離をとって観察することで見えてくるものがあることを知りました。具体と抽象を行き来することで、概念を深く捉え多角的に物事を考えることができる観察は今まで私の触れたことがないことがないもので新鮮でした。

講義では座学とグループワークを通して物事を置き換えたり、分類したり、メタファーを考えて具体と抽象を行き来していきました。特に話されていた「議論を戦争と例えるか、ダンスと捉えるかで見え方が変わる」というメタファーに関しての話は、物事の捉え方自体も自分自身で変えられるのか、と衝撃的でした。

私の普段働く職場や、選ぶ書籍では出会わない考え方だったので、この機会にやってみることができてよかったです。

●岡崎智弘さん

岡崎さんの講義では、構造の観察や、見慣れたものやわからないものを深く観察する姿勢についてお聞きすることができました。余談ですが私はデザインあ、デザインあneoのファンでもあり、「解散!」を担当されていた岡崎さんの講義を本当に楽しみにしていました。

特に印象に残ったのは、「やってわかる」「手で観察する」「バカになってみる」という目の前のものを深くみる姿勢です。「デザインあ 解散!」や、普段の自主活動で大変な量の実践をしている岡崎さんからの「やってわかる」という言葉は重みが違いました。

また、岡崎さんは「自分の内側より外側の方が面白い」とおっしゃっていて、自分自身の認識で満足しないこと、外側と常に面白がってやってみることは今の自分に足りなかったと感じ、最終課題のテーマにもなりました。本当にお聞きできてよかったです。


観察を実践して学んだこと

最終課題は再度観察をそれぞれ実施するという内容で、私はこちらの記事の内容を提出しました。

様々な観察の観点をいただいた後の観察だったので、深く、自分でも興味深いと感じられる観察ができました。(これをやっていた週は毎日深夜3時くらいまで起きていた)

記事内と重なるところもありますが、ここで学んだことは以下の3つです。

●「知った気にならない」「実際にのめり込んでやってみる」大切さ

毎日マッチのコマ撮りアニメーションを続けておられる岡崎さんに、講義の終わりの質問時間、私は「どうしたら何度も見たものから再発見することができるのか」という質問をし、「バカになってみると良い」と回答をいただきました。

その時は「なるほど…」と思いつつ実感が湧いていなかったのですが、コーヒーや柿の種を頭では「違いなんてなさそう」と思いながら食べ比べをしてみたら意外とPB自体の傾向が見えてきたり、売り場のマッピングも数をこなすことでわかることがあったり、実際にやってみることで見慣れたコンビニの中にも見えるものがありました。

このようなことは、頭でっかちにならないため、手を動かし続けるためにも今後もとても大切なことだと感じました。

●自分の「かもしれない視点」、「具体と抽象の行き来」「構造の観察」はもっと広げられると思った

みんなの最終発表を聞いて、自分への反省点も多く見つかりました。

マルコさんの講義で教えていただいた、自分の視点が一面のみしか見られていないことを自覚して一度想像力を広げて考えてみる「かもしれない」視点を見事に広げている人がいて、あの視点は私にはまだないなと思ったり

(↓は講義で紹介いただいた本。考え方が一段広がるような素敵な絵本だった)

伊藤さんの講義で教えていただいた具体と抽象の行き来を通して客観的に物事を深く見ていく観察をして、私と同じテーマの「コンビニ」を深めている人がいて、その視点もあったか…!と思ったり

岡崎さんの講義で教えていただいた、構造の観察のような視点で卵の殻、薄皮に着目して、分解していくことで構造、物体を観察している人の地道な活動を尊敬したり

多くの足りない視点を見つけることもできました。今後少しずつ実践して、自分の身にも刷り込んでいきたいと思いました。


コミュニティの参加者として学んだこと

内容とは別に、コミュニティの構成員として学んだことも多くありました。

●肯定的な姿勢

コミュニティでは多くのグループワークがありました。そこで驚いたのは、意見を話しても否定されることがなく、「まず聞く」姿勢を参加者みんなが持っていたことです。

また少し離れたことを話しても、それが後々つながってくるようなことも体験しました。まず聞いて、深めてみてから考える肯定的な姿勢によって見えてくるものがあることを知ることができよかったです。

●能動的に動いてみる

普段友人の間では幹事側になりがちなのですが、参加者側としてやれることもあることを知りました。

今回のコミュニティ活動内では、日々の観察をslack上に投稿してみたり、講義の最後に質問してみたり、ご飯会を企画してみたり(その日の参加者のほとんどが参加してくれた!)、コミュニティ終了後も展示を一緒に観に行くメンバーを募ってみたりしました。

コミュニティを活発にさせたり接点を作ることで人同士の距離が近づき議論が盛り上がったり、継続的な関係にもしていけるんだろうな、と感じたので、今後も恥を恐れず、能動的に動いていきたいです。

●自分の「当たり前」の狭さ

コミュニティには私の勤務しているIT業界やUIデザイナー以外にも様々な業内、バックグラウンドの方がいました。大学の同級生が多種多様な就職先に行ったのでその辺り幅広くみられているつもりでしたが、まったく狭かったことを思い知りました。

デザイン職以外の方の視点が非常に興味深かったり、考え方の違いによって学ぶことも多かったので、幅広いの方の話を聞いたり、本を読むことはこういうあたり勉強になるのだろうな、と実感することができました。


後日談として、「観察の枠組みを作る」ことにも挑戦しようと思い友人と「日々のインターフェース」として、街にあるセルフレジや改札の切符を買うところなど、PCやスマホ外のUIを収集し始めました。今回習ったことを続けていきたいと思います。

以上Park@コミュニティで学んだことでした。
学びが多く、大学時代に戻ったような贅沢な時間でした。

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