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映画感想#46 「セッション」(2014年)

原題 Whiplash
監督・脚本 デイミアン・チャゼル
出演 マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ブノワ、ポール・ライザー、オースティン・ストウェル、ネイト・ラング 他
2014年 アメリカ 107分


サイコパスと狂気に満ちたシモンズの怪演

衝撃!圧倒!!
ものすごい映像体験でありました。とにかくもう、時間が過ぎるのを忘れた。
ドラムの爆音とホーンの鮮やかな音色。フレッチャーの狂気とニーマンの汗と血。

まずは何と言ってもJ・K・シモンズです。彼の演じる音楽教師フレッチャーの何とも許せないところは、たまに優しくなったりするところ。しんみりしたり、気さくに声をかけたりするのに、合奏中はあの怒声。二重人格なのか?
黒Tシャツにジャケットという出立ちも何だかリアリティがある。こんなに筋肉があるのもすごく怖いし、スキンヘッドなのも怖い。もう存在が怖い。
今の社会なら真っ先に保護者会とか開催されそうですよね。ハラスメントとか虐待とか、あらゆるコンプラに引っかかりそうな教師です。

この壁ドン、需要ある?

それに食い下がるニーマン役のマイルズ・テラーもなかなかの名演。恋人ニコルとそわそわしてる感じもかわいかったですが、後半に近づくにつれ、そんなことをしている場合ではなくなってきます。
フレッチャーにここまで食い下がれる人もなかなかいなかったのでしょう。音楽に対しての本気度が試されているのでしょうが、もはや命の危険すら感じます。

大丈夫か?生きてる?

ストーリーはそんな2人のガチンコバトルではあるのですが、それを覆い隠すのは、ジャズの演奏シーンのかっこ良さ。切り替わりを多様するキレのあるシーンは視覚的にも楽しめます。もちろん、音楽も最高にかっこ良い。

ラストは2人のバトルが加速していき、フレッチャーの「俺をナメるなよ。」(名言)がやってくる。ナメている訳ではないのですが。
後はもう息もつかせぬ展開に。アップスウィンギングの譜面もらってないー!!と思いきや、ニーマンの復讐。キャラバンやっちゃうよー!!スローなテンポの曲なんかじゃないぜ!!どうだ、まいったか、フレッチャー。
最後はフレッチャーのドアップでゴング。

勝者、ニーマン

フレッチャーをも圧倒するニーマンの狂気。
これはニーマンの勝ちですよね。
それにしても、あのカフェで気さくに声をかけてきたフレッチャーの思惑…。名教師なのかもしれないけれど、やっぱりサイコパスだわ。

☆鑑賞日 2015年5月9日


余談① 〜チャゼル映画の醍醐味〜

名監督、デイミアン・チャゼル。一気に有名になったのはおそらく本作からでしょう。なんといっても音楽的なセンスの良さ。「ラ・ラ・ランド」(2016年)や「バビロン」(2022年)でも、その特徴を垣間見ることができます。
チャゼル自身も高校でドラムを叩いていたそうで、その経験が本作の基になっているみたいですね。
本作の原題「Whiplash」(=鞭打ち)は、フレッチャーのバンドが演奏する曲のタイトル。変拍子が癖になる、ハンク・レヴィ作曲のとてつもなくかっこ良い曲。この曲を知れただけでも、見る価値があったと思うくらいでした。

余談② 〜吹奏楽部を思い出す〜

合奏、怖いよね、わかります。私は中学で吹奏楽部に入っていましたが、その時の恐怖がよみがえるようでした。
当時の顧問の先生が、もちろんフレッチャーほどではありませんが、やはり合奏中だけ人が変わったように恐ろしい人でして。怒鳴るのもしばしば、指揮棒を投げる、譜面を投げる。フルートパートだった私は最前列にいたため、投げられた指揮棒や譜面を拾わねばならずで、まあなんと面倒なことか。
合奏が始まる前、先生の足音が聞こえてくる恐怖感と、どうせ今日も上手く吹けないんだろうなあという絶望を、映画を見て思い出しました。ああ、恐ろしや。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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