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向田邦子と辞書と謎解き(2)

なみだ〔涙〕強い感動をこらえ切れない時に、主として人間の目から出る液体

向田邦子『眠る盃』

向田邦子氏がこだわった「なみだ」の語釈。
これが書いてある辞書が見当たらない。
そういうようなことを読書メーターでつぶやいた。
その時、助けてくれたのが読友さんだった。

『向田邦子の本棚』

そういう本があるのだそうだ。
そしてそこに書いてある辞書は・・・。

『三省堂 明解国語辞典』

なるほど。
明解国語辞典ならありそうだ。
是非ともひいてみたい。
が、手元に明解国語辞典がない。

というよりも、明解国語辞典はそれ自体が手に入りにくい。
初版と改訂版だけで途切れてしまったからだ。
当時、明解の編纂に関わっておられた見坊豪紀氏と山田忠雄氏が袂をわかってしまったためである。その後、見坊豪紀氏は三省堂国語辞典を、山田忠雄氏は新明解国語辞典を編むことになる。三省堂国語辞典、新明解国語辞典は今でも版を重ねており、地方の図書館にあることも多い。新明解であれば、我が家にも第四版と第七版がある。だが、短命であった明解国語辞典となると、地方図書館ではなかなか見当たらない。

では「三省堂国語辞典」ではどうだろう。
そう提案してくれたのもまた読友さんである。
「明解国語辞典」も「三省堂国語辞典」も見坊さんだもの。
明解の語釈が三国に引き継がれている可能性は高いのではないか。

なるほど。
大いにあるかもしれない。
読友さんが早速図書館で調べてくださった。
興味津々である。

だがしかし。

なみだ【涙・泪】①興奮したり刺激を受けたりしたために、目から出る液体。②同情。

三省堂国語辞典

・・・。

向田辞書とは違っていたのである。
三省堂国語辞典は明解国語辞典の語釈を引き継がなかったのか。
あるいは明解でも三国でもないのか。
いったい、どの辞書か。

辞書探しの旅は、終わらない。


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