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息子が夕食を作ると母子の漫才になった

昨日の日曜日は珍しく予備校が閉校だとかで息子が1日家にいて、家だとどうしても勉強に身が入らないとかなんとか言って「僕が夕食を作る~」などと言い出した。昔から、たま~~にそんなことを言う。ホンマのホンマに「たまに」である。気が向いた時だけの楽チン家事なんである。まぁ、ええわ。

まずは、買い物である。


息子のペコペコに傷んだ靴を買い換えて、スーパーに行く。夕方の5時頃なので目一杯混んでいた。魚コーナーに行くと秋鮭が売っていた。三切れ¥400-と、同じく三切れ¥600-がある。両方を手に持つと重量感が違う。¥600-はずっしり重い。やっぱりずっしりの方か。最近は魚も貧相で物足りない。

「バター焼きにする?」と聞くと
「いいんちゃう?」という返事。

ということで鮭のバター焼きに決定。

念のために他も見回してみると、秋刀魚もある。
既に焼き上がったもので、二匹で、えーっと、幾らだっけ? ¥500-だったかな? なのに、やっぱりなんだか貧相だ。数年前なら、もっとふっくらしたものが一匹¥100-だったのに。君はいつから高級魚になったのか。

鮭のバター焼きだけというわけにもいかないので、野菜コーナーへ。松茸もあるけどスルーする。

「アボガドって、食べたことない」と訴えるのは息子。
「え? 前に何かに使ったやん(と答えつつも、何に使ったのかさっぱり思い出せない)、味の薄い食べ物やけどね、アボガド、あった?」
「あそこ」
「幾ら?」
「一個、¥158-」
「安いときやったら、一個¥98-やけど。ま、いいか。どうやって食べる?」
「そら、検索したら・・・」

というわけで、スーパー内で検索。
「ツナと和える?」
「あ、それいいかも」
「三人でアボガド一個?・・・二つ買うのもなぁ・・・きゅうりでかさ上げしよっか」
「ええんちゃう」
というわけで、適当にレシピ変更。きゅうりは冷蔵庫にどっさりあるし。

だんだんめんどくさくなってきた。
あとは、お味噌汁で、よし。


帰宅後・・・。
「お味噌汁は、冷蔵庫の野菜室から適当に具を選んで。あ、生わかめもあるよ。生わかめは塩抜きしてね。顆粒だしはここ。アボカドはネットレシピ参照。じゃあよろしく~。お風呂掃除してくるね~。」
と言って私はお風呂掃除へ。

お風呂掃除もしんどいんだけどね。
暑くて熱中症になりそう。

お風呂でごしごしやってると、ドタドタと足音がする。
(なんで、いつも足音があんなに大きいんだ?)

「じゃがいもは一個?」
「味噌汁やったら、一個」
「玉ねぎは?」
「1/4くらい。あ、でも全部切っちゃって。残りはタッパに入れる」
「わかった~」

再びドタドタ。
「玉ねぎって、先に1/4だけ切るん?」
「(どういう意味???)何でもいいから、全部切って。」
「あ、そこから、1/4だけ使うん?」
「そう」
「わかった~」

三度、ドタドタ。
「顆粒だし、どんだけ使うん?」
「(えーっと、どんだけ残ってたっけ、まぁ、いっか、小袋やからたいして変わらん)残り、全部使って。」
「全部ドバーっていれていいん?」
「全部ドバーっていれて」
「わかった~」


お風呂掃除が終わって台所に行くと、ようやく味噌汁が終わったところだった。息子は、何かにつけてマイペースタイプである。

「ワカメ入れた?」
「入れた」
「じゃあ、お味噌、溶いとこうか、小さいボールにお味噌入れて」
(私は味噌漉しは使わずに予めすこし溶いておくやり方。母がやっていた方法)
「お味噌、どんだけ?」
「大きいスプーンに軽く一杯」
「スプーン、これ?」
「小さい」
「じゃあ、これ?」
「まだ小さい」
「これ?」
「そう、それで味噌をすくう」
「こんなもん?」
「うーん、まあ、そんなもん」
「オッケー」
「いやいや、そのまま鍋には入れない、まず、ボールに入れて。いや、スプーンのまま入れていいから」
「ほい」
「で、そこにお出汁入れて」
「???」
「だから、お鍋からお出汁をすくって、ボールに入れる」
「あー、なるほど」
「で、お味噌を溶かす」
「なるほど・・・クルクルクルクル・・・終わった。鍋に入れる?」
「いや、それは最後。お味噌入れたら沸騰させへん方がいいらしい。だから、食べる直前に入れる」
「ふ~ん」
(ふ~んって、今度作るとき絶対忘れてるやろ)
「火、切る?」
「いやいや、まだじゃがいもがゴジゴジやし」
「あ、そっか。」
「次、アボカドね」
「どうするん?」
「動画見てよ」


「動画みたいに、綺麗に皮剥けへん」
「どうでもいいよ。剥けたら。動画って、そんなに綺麗に剥けてるん?」
「うん、めっちゃきれい。器に使えますって」
「へぇ~」
「できた」
「? 二つにわっただけやん。切らへんのん?」
「まだ、そこまでしか見てへん」
(あ、そう、私なら一回は通しで見るけど)
「次、味付け。醤油、小さじ1。小さじ小さじ、これ?」
「それ、中さじ」
「え、大と小の二つだけちゃうん?」
「大中小と三つある。小さじは、これ」
「へぇ~・・・ほんま、小さいな。次、おろしにんにく。」
「冷蔵庫にチューブがあるよ」
「ゴマ油は・・・これ?」
「(そんな奥のものを指だけ指して、見えてへんやろ)それ、ポン酢」
「これ? あ、これワインビネガー。」
(ゴマ油は手前に見えてるやん)
「あ、これかゴマ油・・・できた。アボカド、入れる」
「そのまま?」
「そのまま。えーっと、スプーンで潰しながら混ぜるって。ツナ缶は?」
「あー、冷蔵庫の奥。ほら隙間から見えてる。手前のヨーグルトを退けないと・・・え、退けずには出せんやろ? 無理やりやなぁ。ツナ缶は油切ってね。」
「わかった。固ぇ!」
「(そう、あの缶詰めを開けるのも固いのよね。60歳過ぎたら開けられへんのんとちゃうやろか)あ。油切るのん、手で? 缶の蓋使うとやりやすいよ」
「先言うてぇや。」
「知らんやん。ちょっとくらい考えや。先に和えてみてから、きゅうり入れるかどうか決める?」
「そーする・・・こんなんやけど」
「・・・やっぱり、きゅうり入れよか。きゅうりは冷蔵庫」
「小さいのんでええ?」
「ええんちゃう?」
「どう切る?」
「どうでも。小口切りでええんちゃう?」
「僕の知ってるのは、端っこ切ってクルクル擦り合わせるねん」
「(なんでそこだけやたら細かく覚えてるん? あく抜きは最近面倒でやってへんねんけど)それでええよ・・・へぇ、結構灰汁出るね」
「これ、一日中でもやってられるわ」
「相変わらず、そんな地味な作業好きやな(へんな子)」
「できた・・・混ぜた」
「味見る?」
「うんうん」
「あ、混ぜたスプーンでそのまま食べるん?(味、調整し直してもう一度混ぜるときどーするんよ)、ま、ええか、どう?」
「旨い! ツナの味しかせえへんけど」
「だから、アボカドって味薄いから。もう鮭も焼く? ご飯も炊けたし」
「焼く焼く」
「ほな、バター出して。冷蔵庫の白い入れ物。この前100均で買ったバターケース。バターカッターも付いてて便利やねん。あ! それバターカッターで、バターだらけやけど、手掴みする?」
(筆者注:カッターと言っても、ただのプラスチックの板なので怪我はしない)
「先言うてぇや。手ぇ、ベトベトやん」
「知らんやん、まさか鷲掴みすると思えへんし。この幅で10gやから、30gで。」
「そんなに使うん?」
「バターは多い方が美味しいよ」
「ふ~ん」
「鮭は塩コショウして小麦粉ふる」
「うんうん」
「この小麦粉入れも100均。そのままふるいにかけられるのよ。今日の料理かなんかで紹介してはってん。めっちゃ便利。」
「へぇ~・・・小麦粉、こんなもん?」
「そんなもんそんなもん」


「バター、温まったら鮭入れて。あー、皮の方を下にね」
「え、そうなん?」
「そうやねん」
「鮭、焼いてる間に(さっきいつの間にか火を止めていた)味噌汁を温めようか」
「はいはい」

(しばし焼く)

「お、鮭もいい色。お皿に盛ろう。いやいや、まずお皿を持ってきなさい。それにフライ返し使った方が鮭が崩れにくいよ(いったい、どうやって盛るつもりやねん)」
「フライ返しと菜箸持ったら、お皿、持たれへん」
「(うーー)お皿、持っとくわよ。お味噌汁も入れてね」
「はいよ・・・わかめがわかめが・・・」
「ああ、おたまではすくいにくいよね。わかめだけ菜箸で入れたら?・・・って、そのわかめ、切った?」
「いや」
「え! 切ってへんのん? 生わかめを二つ摘まんだだけやけど。それをどうやって三つのお椀に入れるん?」
「うーん。ちぎる」
「・・・」
「一緒一緒♪」
「・・・」


まぁ、とにかく、出来上がったのであった。
鮭は、もう少しバターがほしかったかな。
でも、美味しかった。

どうでもいいけど、今度は片付けもお願いね。
結婚したら奥さんと家事は分担しなさいよ。
家事は女の仕事なんて私の世代で終わりでしょう。
そんなことでは、結婚相手なくすよ。


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