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甘え上手はあの夏休みから

夏休みといえばレジャーに旅行にイベントに、楽しいこといっぱいと思いきや、私にとっては苦い思い出がたくさんある。


まずは小学校の時のプール教室。

25mでさえまともに泳げない人間なので、あの時間が苦痛で苦痛で仕方なかった。


お次は中学生時代の部活。

蒸し風呂みたいな体育館で走ったり、飛んだり。うーん、二度とやりたくない(笑)。ちなみにバスケ部でした。


そして、きわめつけは高校時代。

夏休みの課題だ。


定員割れで運良く入れた進学校は長期休み中の大量の課題が名物で、それはもうヒィヒィ言いながらこなしていた。

主要教科ごとに分厚い問題集が一冊ずつ、加えて先生お手製の単語帳(なんか70Pくらいあった)。


この英語の単語帳が厄介で、ひとつの単語を7回くらい書いて覚えよう!みたいなノリの冊子なんだが、当の本人は「書いて覚えるなんて古典的な!けっ!」くらいに思ってたのでまったくもって進まない。


1Pに単語が確か8〜10個くらい載ってて、それが70Pあると考えると、目眩がしないかい? いや、目眩通り越して吐き気だね(笑)。


当時はほぼ毎日部活に勤しんでたもんだから、帰って来た頃には完全にバタンキューの日々。

夏休みが残りわずかというタイミングでろくに消化されていない宿題に気づき、地にのめり込むほど重い腰がやっと動くわけだ。


そこからやることはただひとつ答えの丸写しだ(おい)。

とりあえず、各教科の問題集は答えを見ながら書き写す。ところどころいい塩梅で答えを間違えとけば案外バレないもんだ(最低か)。


だが、やはり問題なのは、あの単語帳だ。

あれは答えを写せばいいとかそういう次元じゃない。枠に単語を埋めていくという物理的な作業が生じてくる。


しかも、本人が意味ないと思っているもんだから、気持ちの憂鬱さがハンパない。

「やらされている」という感覚が強いんだよね。これじゃ本末転倒だ。


でも課題は出さないといけない。

かくなるうえは先生のお手製の単語帳をバレないように数枚破り捨てるという方法(ひどい)。


ちなみにこの方法は学年内ではけっこう有名だったので、たぶんほとんどの人がやってたと思う(やってない人いたらごめんなさい)。

ただ、そこまでやっても終わらないとなるともうお手上げだ。


数分考えた結果、まだ残っている問題集と単語帳を持って二階にあがる。

そう、姉の部屋だ


大学進学のために東京に出ていた姉は長期休みのタイミングでよく実家に帰ってきていて、その日は同窓会でいなかった。


姉の机で問題集を解きながら帰りを待つ。

夜遅くに上機嫌で帰ってきた姉がドアを開けたら、悲壮感たっぷりの表情で出迎えるだけでいい

「・・・何やってんの?」

「・・・課題。終わらないの」

「・・・・」

「明日提出日なのに・・・」

「・・・て、手伝おうか・・・?」


「酔っ払って気持ちよく帰ってきた姉に課題を手伝わせる鬼畜な女」と書いて「妹」と読む(笑)


おかげさまで課題は無事に提出できたし、「やっぱり持つべきものはお姉ちゃん♡」とか調子のいいこと言ってご満悦だった妹だが、10年近く経った今でもあの時のことを小言のように言われるので相当根に持たれているのは間違いない。


編集:鈴きの彩子

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