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エンドゲームの後に読んだアメコミ『マーベルズ』について語ろうと思う

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の興奮も冷めやらぬまま、一冊のアメコミを手にしました。それがこの『マーベルズ』です。で、これがめちゃくちゃ面白く、「エンドゲームが終わった後MCUはどうなっちゃうの…?」という疑問の一つの回答を提示している気がしてならないので紹介します。最初に言っておくとチョー面白い。


太平洋戦争前夜、野望に燃えた若者達がいた。カメラマンを目指すフィル・シェルダンもその一人だった。しかし、突如現れはじめた超人類達の存在が、彼の人生に大きな影響を及ぼしていく。その人智を超えた力に驚愕し、脅威と戦う姿に熱狂し、やがて人類を脅かす可能性に戦慄する……。我々を遥かに超えた力を持つ存在“マーベルズ"は、人類に何をもたらすのか!?


こういう人におすすめ
・リアリティのある写実的なヒーローの姿を見たい
・マーベルの歴史を俯瞰的に知りたい
・一般人目線でヒーローの活躍を見たい
・民衆がファッキン報道に踊らされて暴徒化するような負の側面を見たい
・マーベルのヒーローが大好き

Book One

ある日、胡乱な博士の発表の取材にやってきた主人公。それが空気に触れただけで全身が発火する恐るべき人間「ヒューマントーチ」(ファンタスティック・フォーの彼とは別人)との出会いだった。その姿を恐れた人々は博士を非難し、ヒューマントーチは地中深く埋められてしまうが、数週間後に彼は偶然にも自由の身になってしまう。されに海底から謎の怪人「サブマリナー」が現れ、火だるま人間対海底人という、江戸川乱歩の少年探偵シリーズのような戦いの幕が切って落とされた!しかし主人公はもちろん明智探偵ではなく他の民衆とともに翻弄されるばかりで、その「超人類(マーベルズ)」をカメラに収めるしかなかったのだった……


Book Two

ニューヨークの街は活気に満ち溢れていた。キャプテン・アメリカやアイアンマン、ジャイアントマンが街を飛び回り悪党を成敗し、空にはファンタスティック・フォー集合のサインが浮かび、地上最大のショーの様相を示していた。しかしそんな「マーベルズ」の負の側面……X-MENに対してだけは人々は非寛容だった。リード・リチャーズとスーザン・ストームの結婚発表という祝福の最高潮となった日の夜、主人公は娘たちがかくまっていたのがミュータントの少女だったことを知り驚愕するも、彼もまた外に放り出すことはなかった。しかし、テレビ放送中にミュータント殺戮ロボット「センチネル」が暴走。パニックに陥った人々は暴徒と化し、街は破壊と流血に溢れる。ミュータントの少女は書き置きを残していずこかへ立ち去り、テレビでは何事もなかったかのようにアイアンマンVSチタニウムマンの戦いを報道するのだった。


Book Three

移り気な民衆はヒーローをもてはやすことよりも売名行為を叩くことに夢中になり始めた。トニー・スタークとアイアンマンの関係を嗅ぎまわったり、ファンタスティック・フォーの戦闘行為で街が破壊されたときなど、あらゆる行動が非難されるようになっていた。そして宇宙最大の脅威「ギャラクタス」が襲来する。人知を超えた存在に人々は成すすべもなく、テレビの前で祈る者、フリークアウトする若者、終末論を吹聴する者などが現れ、この世の終わりアトモスフィアが立ち込める。しかしファンタスティック・フォーと謎めいた銀ピカサーファーのおかげでギャラクタスは姿を消し、地球存亡の危機は去った。しかし翌日の社説を飾ったのは「ギャラクタス事件は狂言」という言葉だった。主人公は発行人のJ・ジョナ・ジェイムソン(スパイダーマンに出てくるいけ好かない新聞社社長だ)に食ってかかり、何故かやたらとスパイダーマンのスクープ写真を撮ってくるピーター・パーカーに「報道の横暴を地で行く男に媚びやがって!」「小僧め…私がスパイダーマンならただじゃおかんのに!」と捨て台詞を吐く。


Book Four

アベンジャーズが人知れず銀河の危機と対決、見事勝利し地球に戻った時も人々は素知らぬ顔をして日常の日々へと戻った。主人公は一向に目を覚まさない世間にめちゃくちゃ腹が立ち、スパイダーマンにかけられたステイシー元警部の殺人容疑は晴らすことでヒーローたちの名誉を取り戻そうと奮い立つ。娘のグウェン・ステイシーとの取材で、ステイシー元警部はスパイダーマンを善人でヒーローだと信じていたことを知り、そして「マーベルズ」が戦うのは心貧しい世間の称賛を得るためではなく、グウェンのような汚れなき人々を守るためだということを悟る。そして彼らの業績と存在意義を伝えるため本を執筆することを心に決めた矢先、グウェンがグリーン・ゴブリンに誘拐され……クソッ!なんて仕打ちだ!この世に神はいないのか!


普通の人間から見たスーパーヒーロー

とにかくヒーローは「超常的な存在」として描かれているため、もちろんヒーローオリジンは一切描写がなく、一般人目線では「さっきまで戦ってたのに今は共闘している」「なんかよくわからないけどギャラクタスが引き上げていった」とか、原典のコミックを読まなければ分からないエピソードが多々あり。しかしそれも情報不足がかえって「テレビで彼らの戦いを見守るしかない民衆」「新聞で事件のあらましを知る人々」目線に合わせているという白眉な構成で、そのおかげでファッキン報道に主人公同様に激おこすること間違いない。


一方で悪者を痛快にやっつけたり、あのキャラとあのキャラの絡みがあったりとかの要素はほとんどなく、そういったのは別のコミックを手に取った方がいいかもしれない。代わりにマーベル・コミックのヒーローたちを俯瞰して見られたり、アレックス・ロス氏の芸術的なヒーローたちの姿を眺めたりするのにはめちゃくちゃいいアメコミです。「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」や「ブラックパンサー」なんかのMCU作品にハマったのならこのアメコミも気に入ること間違いなしですよ!奥さん!


偉大なアメコミ先人の方々

『マーベルズ』の存在はこちらの記事で知りました。めちゃくちゃリスペクトです。


手厚すぎるMCU福祉。原語版を読破しているの本当にすごい。


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