同性愛に違和感を感じたことがない、という話


「トランスジェンダーの女性が女子大に入学できるようになった、というニュースに、社会が思ったより批判的なのは、同性愛嫌悪が人々の内側にあるからでは?」「当事者の自分ですら同性愛嫌悪を持ち合わせていたことがあった」というnoteを読んで、
そういえば自分は、ついぞ同性愛嫌悪みたいなものを感じたことがないなと思った。

(参考にさせていただいたnoteがこちら↑)

子供の頃(といっても小学生くらい)から、俗に言うBLものを読みふけりまくっていたのがおそらく原因だろうが、とにかく気持ち悪いと思ったことがないのだ。
要素としてのむさ苦しさ(BL)や、ふわふわ(百合)みたいなものを好きになることはあるし、醜悪なミーム(たとえば、淫夢ネタとか)もわりと楽しめてしまうクチだが、
「見るのもキモい」や「キモさを笑う」という感情は感じたことがない。

一種の刷り込みのようなものかもしれない。
子供の頃からいろんな人がいる、ということに触れるのは大事だ。
そういう意味で、BLや百合作品がゴロゴロ転がっていて手に取れる状況というのはかえっていい環境なのでは?と思う。
(R18作品へのゾーニングは必要だろうが、同性愛だからというのを規制の理由に挙げるのは如何なものか)

ただ、私はというと、自分の性的指向がそこに絡んで純粋培養されたせいか、同性愛嫌悪のかわりに、異性愛表現にどこか違和感を覚えるように育ってしまった。
(異性愛嫌悪まではいかないレベルだが、シチュエーションや状況によっては明確に嫌う部分もあるので十分こじらせてはいるだろう)

彼らに対して違和感を感じる時、社会にオープンに愛を表現できることへの羨ましさもあるが、残り半分くらいは「なんで男女でいちゃついてんだろうこの人たち…」という純粋な「不思議さ」成分で占められている。

そのくらい、自分の中で「なんでラブラブ=異性愛一択なわけ?」「なんで同性愛=無条件で禁断の愛、みたいな扱いなの?」という疑問が常に渦巻いているし、「性的指向」の面でも、単なる「嗜好」の面でも「ぱっと見同性愛」のほうがしっくりきてしまう。
(ぱっと見と書いたのは見かけで性別は判断できないためだ)

しかも私の場合は、自分はXジェンダーで戸籍上は同性のパートナーがおり、かつ、「嗜好」としてはBLやゲイものが好きという特徴がある。

単に作品を読んで同好の士と盛り上がるだけなら実際の当事者に実害はほとんどないだろう。
ただ、「嗜好」というのはやっかいなもので、実際の同性カップルを見かけた場合も、「見たくない!」と思って目をそらすというより、「すごくいい!けどじっと見られたら嫌かな…好奇の視線に晒されて傷ついた、とかなったら嫌だな…」と、そっちの方の心配をしている感じなのだ。
無論、今日○○な同性カップルを見かけたんだけど!超萌えた!みたいなことを露骨にTwitterに書いたりしているわけではないので、あまり問題ではないのかもしれないが。

自身もマイノリティの当事者に属しながら、別のマイノリティの属性を鑑賞者として愉しむという罪深さも含んだこの状態をなんと形容したらいいかはわからない。
わからないが、ともかく自分にとってはそれが自然なのだ。

例えるなら、同性愛が前提の惑星育ちの異星人が、今の我々の社会にやってきて愛といえば異性愛と聞き、カルチャーショックを受けるようなものかもしれない。

世の中、異性愛に対する肯定的なメッセージは溢れているから、いかに自分が真逆の価値観を持っていようと、社会と接していくうち「世間様では異性愛が前提の人が多いようだぞ」というのには遅かれ早かれ気づく。

そこでひどい目にあったりして、心に傷を負ったり折れてしまう人も少なくない。
当事者が自分は当事者じゃないと思いたくて他の当事者を攻撃している…という例はわりとよくあるらしい。
(私自身は上記の通り実感がないが)

でも考えてみてほしいのだ。

度々、主に女子社会でグループのいざこざや村八分が起きたりしているのを見てもらえれば、行きすぎた友情や依存は、ある種セックスが介在しない恋愛と変わりない側面を持つのは否定できないだろう。

友情だろうと家族愛だろうと性欲だろうと、他人に対してなんの感情も抱かない人でない限り、すべての人が当事者と言える可能性を孕んでいるのでは?
そう思えてならないのだ。

異性愛に違和感がなく、明確に自分を深掘りする必要がなくて、深掘りするということすら知らなかったような人が、もし「いわゆるふつう」でない人に遭遇しても、「私はどうだろう?」と胸に手を当てて考えるような、そんな世界になるといいのになと夢想している。

あなたにとっての「ふつう」は、私にとっての「変」かもしれない。

少なくとも、無思考でマジョリティ側にいられる人が、常識を盾に、他人を上から殴るような真似だけはしてほしくないなと常々考えているし、自分もなるべくそういうことはしたくないなぁと思いながら日々暮らしている。

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