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娘が高校2年生でアメリカのオンライン高校を卒業した話

17歳の娘は最近(2023年11月)、アメリカのオンラインの高校を卒業しました。先んじて、2023年6月には卒業式とプロムにも出席しました。

(オンラインスクールで自分のペースで進めるため、学年のカリキュラムは9月〜6月に決める必要がなく、卒業(Grade 12修了)時期もさまざまです。2023年12月までに卒業見込みの生徒は、Class of 2023としてこの卒業式に出席することになっていたことから、先んじて卒業式に出席した次第です。6月にすでに卒業式に出ていたので、周りからは6月時点で高校を卒業したと思われていたようなのですが、実際にはまだ最終学年の課題は6月時点では終わっていなくて、11月に全て修了して晴れて卒業となりました!)


娘の学歴は、結果的にこんなふうになりました(アメリカ滞在は2回とも夫の駐在帯同)。
[ ]は学習言語です。

〈幼稚園〉
アメリカの日系幼稚園に1年(4歳) [日本語1年]
〈小学校〉
アメリカのKindergarten(5歳) [英語2年]
アメリカの公立小 Grade 1 
 日本の公立小 1年生(7月)〜 6年生  [日本語7年]
〈中学校〉
日本の国立中 1年生(1月まで)
アメリカの公立中 Grade 7(後期から)  [英語4年]
アメリカのオンラインスクール Grade 8
〈高校〉 
アメリカのオンラインスクール Grade 9-Grade 12
(G8〜G12は 3年半で5学年分修了)

2020年2月、コロナパンデミックの直前に家族で2度目の渡米をした我が家。渡米後、娘はGrade 7、息子はGrade 5 の後期スタートから、学区の公立中、公立小に通い始めました(ワシントンDC近郊のメリーランド州ベセスダという、全米の中でもよい学区と言われる地域です)。

その後、6週間後にはコロナパンデミックで国ごとシャットダウンとなり、そこから1年以上学校は開くことがなく、中途半端なオンライン形態となりました。突然のオンライン化への対応はアメリカでもそこまで上手ではなく、中学校は、最初の半年間は、授業はなく課題だけでした。(息子が通っていた小学校では1日30分間ずつ、数学と英語の授業がオンラインでありました)。

月曜には1週間分の課題をすべて終えてしまう娘は暇で、ちょうど、バレエのコンサバトリーの先生から、昼間からレッスンを受ける(そして学校はオンラインスクールにするのが基本の)プロ養成クラスのようなプログラムへお誘いいただき、バレエ中心の暮らしを始めました(バレエクラスもパンデミックにより自宅で踊るオンラインレッスンでしたが、半年後、学校よりずっと早くスタジオに戻れました。この地域は全米の中でもコンサバで、公立の学校が対面授業を再開させたのは1年半後で、最も遅い州のひとつでした)。

バレエやコンテンポラリーなどのダンストレーニング中心の生活にすっかり慣れた娘は、公立校がオンラインを終了しハイブリッド登校を始める前段階で、「オンラインスクールに移る」という決断をしました。


どのオンラインスクールに転校したらよいのか、いろいろ調べたり訊いたりした結果、同じダンスコンサバトリーに通う友達の多くが行っている「Laurel Springs School」に決めました。カリフォルニアに住所がある、アメリカの私立校のオンラインスクールです。

はじめは Stanford Online High School なども検討しましたが、とても我が家で払える学費ではなく、、いろいろと比較検討を重ね、日本の私立中高程度の学費で済む、こちらの学校に落ち着いたのでした。

もっと安いオンラインスクールもあるようでしたが、娘の場合、アカデミックを蔑ろにはしたくなく、できる限りハイレベルで学び、大学進学などもきちんと実績のあるところがよい、という前提があったので、このLSS(Laurel Springs School)は進学先も立派で、カウンセラーもきちんと機能しているようだったことからも、こちらに決めました。実際に使っている人の意見を聞けたことも大きかったです。

School Profileから



ちなみに、娘は、この学校の生徒だった大半の時間を夫の駐在帯同期間てアメリカに暮らしていましたが、最終学年、12年生の最後4ヶ月ほどは、駐在期間が終了したので、日本に帰国していました。授業があるわけでもないので、日本からでも全く問題ありません。元々、海外に住んでいてこの学校に入る生徒もたくさんいます。入学(転入)から卒業までどこに住んでいても、卒業すれば、きちんとアメリカの高校卒業資格が得られます。

このLSS、なんとKindergartenの学年(日本でいう幼稚園年長)から高3まで(K-12)、通うことができます。

多くの生徒さんは中学あるいは高校からの転入ですが、中にはキンダーガーデンの学年からLSS生という生徒もいるようです😳

娘はG8からこちらの学校に移り、G8-G12の5学年を、結果的に3年半ほどで修了し、卒業しました。

去年(2023年)6月に卒業式に出て、7月に本帰国し、11月まで日本で引き続き最終学年の課題に取り組み高校課程を修了したあとは、ギャップタームを過ごしています。
その間、同級生より一年早く、この冬、大学受験をしています。日本の大学は年齢の関係で受けられないため(そもそも日本の大学にあまり関心がないのですが・・)、アメリカとヨーロッパの大学に出願し、2024年9月から、一年飛び級で大学生になることになりそうです。
(2024年2月の今時点で早期出願の結果は出ていて、ありがたいことにすでにいくつか合格をいただいています。一般出願の結果は4月初旬まで出揃わないため、進学先決定はまだ先になります)。

日本で、高校に行かず昼間からレストランでバイトをしたりバレエレッスンをしている17歳、、年齢や学年を訊かれるといつもややこしい説明になるそうです。「高2の学年だけど、アメリカのオンライン高校ですでに卒業していて、だから昼間アルバイトをしていて・・・」というと、大抵「???」という反応で、説明に時間を要するそうです😅 日本でもギャップイヤーや飛び級がもっと一般的になるといいですよね。


戻りまして、このオンライン学校、LSS(Laurel Springs School)の場合、オンライン授業を含めて授業は一切なく、自分で動画を観たり資料を読んだりして、課題を出すのみで進んでいきます。
一般的な公立学校(アメリカの中でも良い学区、勉強に力を入れている学校)と比べても、課題量は多く、内容も難しいと思われます。期末テストもプロクター付きであります。

数学でも、新しい単元を、自分で読んだり補足の動画教材を見るだけで進めていかなくてはならないので、この形態で成績をきちんと取って学業を進めていくことには、向き不向きがありそうです。実際に、娘の友達の中にも、1学年分を規定の期間内に終了できず留年して学年を繰り返したり、結局やめて公立の学校に戻る子もいました。

わからないことは担当の先生のオフィスアワーに入って質問できるのですが、オフィスアワーもアメリカ国内でも時差が大きく、朝5時だったり夜10時だったり、、なかなか使いにくい部分もありました。そして先生によって、とてもヘルプフルな人もいれば、あまり役に立たない、、という場合もあったようです。

今年に入ってTutor制度を取り入れたようで、24時間いつでも、何の教科でもTutorに訊くことができるシステムが入り、とても使いやすくなったと娘は言っていました。数学や化学はかなり質問して教えてもらったそうです。

そういう点で考えると、いつでも先生あるいは家庭教師に個人で教えてもらえるということで、普通の学校よりも恵まれているのかも?とも思いました。自ら学ぶ意欲があって、行動できる子にとっては、かなりやりやすい学校とも言えます。

この学校の卒業式は、カリフォルニアとフロリダ、一年ごとに場所を変えて行われます。生徒は全米そして全世界に散らばっているので、利便性等を考えてのことなのでしょう。

娘が卒業式に出席した2023年6月はカリフォルニア開催でした。
私たち家族は、遥々東海岸から、旅行を兼ねて家族で行き、出席しました。

卒業式に現地で参加した卒業生の数は、、ちょっと手元に数字が見つからないのですが、トップにある写真にある通り、150人くらいいたように思います。そして、オンラインで参加した卒業生も、同じくらいの数だったと思います(一人一人Diplomaの授与があり、オンライン参加の生徒もきちんと名前を呼ばれ会場に個人スライドが流れました。これが全てライブストリームで中継され、オンライン参加の場合観て参加できます)。このClass of 2023の卒業生は、全体ではたしか600人ほどだったと思います。卒業生は、34の州、そして6大陸にわたる26ヶ国にいたそうです。インターナショナル!

卒業式に出席して、はじめて「本当に存在してる学校だったんだ・・生徒いたんだ・・・先生いたんだ・・」と感じたわけですが(笑)、この学校を選んでいる生徒は、やはり娘と同じく、何か学業以外のことに打ち込んでいる場合が多かったです。

娘と同じくバレエのプロフェッショナルの道を目指して踊っている子も多く、卒業式でも数人出会いました。テニスのプロを目指してトレーニングしている子も多かったです。乗馬ですでにプロ、あるいはプロを目指している子たち、体操(ジムナスティック)でオリンピックを目指している子も複数いました。ほかにも、いろいろなスポーツをやっている子、音楽の世界で活躍している子、家族で世界を旅行している子、TikTokerとしてかなり活躍している子、起業している子、、いろいろいました。

(以下卒業アルバムからの写真)

それぞれ好きなことに打ち込みながら、学業は融通を利かせて自分のできる時間にやる。そしてきちんと学び、卒業し、多くの子が自分のキャリアを追いつつ大学進学も叶える。素敵な世界だなと思いました。

もちろん、こうして特別にキラキラした生徒だけでなく、一般的な学校が合わなかったり、いじめにあったりして、LSSに転校した子もいると思います。特別な活動をしていなくても、自分のペースで学び、きちんと学歴を繋いでいける、次の進路へのチャンスを繋いでくれる、そういった意味でも、このオンラインスクールの存在はありがたいなと感じます。

    ☺️  ☺️  ☺️  

オンラインの中高という選択。。。どうでしょう?
日本でも、不登校もこれまでになく多い時代、普通の学校じゃなくてもよくない?と考えている方はどんどん増えていますよね。

最近、まさにこれをテーマとしたウェビナーを興味深く観たので、次の記事で、日本におけるオンライン高校という選択について考えてみたいと思います。

プロムから一枚♡


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