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『フェモクラシー 不屈の女たち』

2023.4.20

[フェミニズムとデモクラシーについて極めて重要な映画]

元ドイツ連邦議会議員(緑の党)のChrista Nickels(クリスタ・ニッケルス)さんが上智大学を訪れ、ドイツ語学科の授業のなかで「女性と政治」についてお話しして下さいました。ニッケルスさんが出演しているドイツのドキュメンタリー映画(後述)が日本でも上映されるため、ゲストとして来日されています。

私は政治活動の経験があるドイツ語学科出身者ということで、自身の経験についてお話をさせて頂きました。久々にドイツ語で話したので、どきどきしました。

ニッケルスさんとの議論はとても刺激的で興味深く、まさにいま自分が直面している課題に直結する話ばかりでした。
特に、再生産労働をめぐる議論について質問したところ、ニッケルスさんはご自身が緑の党の議員として経験した激しい論戦や実際の政策的な解決策と実践について紹介して下さいました(まさに1986年、ドイツ緑の党のなかで反出生主義に関する激しい議論があったそうです)。

これは、ここ数年私が強く関心を持っているラディカルな「フェミニズム」の理論と実践についての根源的なテーゼを含んでいて、ドイツではそうした議論が政治分野で40年近く前になされていたということへの衝撃とともに、自分自身のこれからの研究活動に大きな指針を得られた気がしました。

ドイツでは育休をとる親に対して給付金があり、給付金のボーナスや延長も可能で、育休後も元の職業に戻ることが保障されているそうです。

出産や子育てという再生産労働に、いかにして万人が関わっていけるかということ。個人が「母であること/父であること」が聖なることかそうでないかという話ではなく、子どもが育つ過程に皆が参加できることの素晴らしさに、若い人たちが気付きつつある。企業が給料を上げて「もっと働け」と欲しても、若い人たちはそれを選ばず、子育てや私生活の素晴らしさを優先している、だからドイツでは企業が人材不足になっている。そういうお話を聞きました。

またこうした点で、スカンジナビア諸国はとても進んでいる。この実践を世界中が見るべきだ、ということも。

「既に解決策はある。あとは各々がどれだけ実践できるかだ」というニッケルスさんの言葉を噛み締めています。とても、本当にとても励まされました。

生きとし生けるものを愛して、新しい命を育むことを社会として共有して支え、祝福できる未来を迎えたいです。そのためには時間とお金が保障されねばならず、あらゆる職業と子育てとが両立されなければならない。それは決して「子育て」を誰かに押し付けることではないと、私は思います。

◆ニッケルスさんが出演している映画はこちらです。23日の上映では、参加者とご本人とのトークも予定されているそうです。以下のリンクから、予告編だけでも是非見てほしいです!
『フェモクラシー 不屈の女たち』(原題: Die Unbeugsamen)
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/m/kul/sup/h23/24545869.html

そして今日は嬉しいことに、三浦まり先生とも再会できました!!三浦先生は「パリテ・アカデミー」として、女性や若い世代の政治参加を強く後押しする活動を進めておられます。
また、今日の機会を与えて下さったドイツ語学科のオプヒュルス先生、木村先生に心から感謝します。ありがとうございました。

写真は終了後にニッケルスさんと、三浦先生と。

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