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夕飯は何食べたい?

恋人と同棲するようになり、これまで「おはよう」から始まっていた私たちのLINEは、「これから帰るよ」から始まるようになった。そして、そのLINEを見た私は決まってこう返信する。

「夕飯は何食べたい?」


彼が在宅勤務でないかぎり私の方が早く家に着くため、毎日の夕飯は私が作っている。

同棲を始めた頃は、張り切って品数を多く作ったり作り置きをしたりしていたけれど、長くは続かなかった。途中で息切れして、今ではメインに副菜と簡単な汁物を作るのみである。


やってみて分かったが、毎日の献立を自力で考えるのはとても苦労する。ひとり暮らしの経験があるので人並みに料理はできる方だと思うけれど、それでも毎日欠かさず料理をするというのは大変なことだ。


ひとり暮らしの時は、作りたいときに作ればよかった。自分1人のためだけに毎日料理をするのは億劫だったし、金銭的にも1人ならば買った方が安いことも多かった。だから私が料理をするのは、どうしても食べたいレシピを見つけた時か、気分や体力に余裕がある時だけだった。


けれど、同棲するとそうはいかない。
役割分担というのはいわゆる家での仕事だから、勝手に放棄すれば相手に迷惑がかかる。体調が悪い時など本当にどうしようもない時は助けてもらうこともあるけれど、基本的には私がやらなければならないことだ。(ちなみに恋人は掃除と洗濯を担当している)



今日もまた、夕飯は何にしようと考えながら冷蔵庫の中身を思い出す。


(あれとあれがあるからこの料理が作れるな、メインが和食になりそうだから副菜と汁物は賞味期限の近いあれとあれを使って、この料理を作ろうか……。)

このように、献立は食材の在庫状況や賞味期限に依存する。だから恋人から「これが食べたい」と返信があっても、100%対応できるわけじゃない。


「じゃあ聞かなきゃいいじゃん」と彼は言った。


確かに、そう言われても仕方ない。

けれど、この料理は2人で食べるものだ。
冷蔵庫の都合はあれど、私の希望だけじゃなくて、できるだけ彼の食べたいものも反映した料理を作りたい。そう思って聞いているのに……。


ふたり暮らしって難しい。
同じ家にいるので、なるべく喧嘩は避けたくて、まだこの気持ちを伝えられていない。でも、2人揃って食べる食事はやっぱり幸せなものにしたいから、聞き方を変えたり、私の考えをきちんと伝えて、恋人にも納得してもらえるといいな。



ここまで読んでくれて、ありがとう。

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