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わたしと選挙①

突然だが『ディラン&キャサリン』というキャラクターユニットを覚えているだろうか。

なだぎ武扮するディランと友近扮するキャサリンがアメリカンなコントをするユニットだ。


このユニットによく登場するネタがあった。

『アメリカ最高♪土地が広い~♪選挙のときは~♪死ぬほど盛り上がる♪』

と、キャサリンが高らかに歌い上げるのだ。


わたしはこのネタを見たとき、衝撃を受けた。

土地が広くて選挙のときに死ぬほど盛り上がるのは田舎だけじゃなかったのか!!!


田舎には娯楽がない。
春になれば山に山菜を摘みに行き、筍を掘り起こし、夏には盆踊り、秋には鮭の密漁を行い、年末には一族総出で餅つきをし、年を越す。

その合間にある一大イベントが選挙なのである。


今回は選挙とわたしの長きにわたる因縁をお話ししたいと思う。



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ことの発端はわたしが産まれるずっと前。

母方の親族から町長が誕生した。

当人は清廉潔白で、清い政治を行う方だったときいている。


しかし、町長として尽力できた期間はそう長くなかったらしい。

その清廉潔白さゆえ賄賂を決して受け取らず、結果失脚させられたのだ。

失脚させた輩は、その後平成の大合併で落選するまで町長の座に君臨し続けた。


この一連のできごとが、母方一族の密かな復讐心に火を点けたのだった。



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合併に伴う新市長選が行われたのは何年前だったか。
わたしは当時小学生だった。

選挙なんて全く興味がないのに、夜遅くの当選発表まで後援事務所にいさせられた。
正直眠くてどうでもよかった。


結果当選したのは、合併した町村内で一番大きな町の現役町長だった。

やっと帰れる、そう思ったとき衝撃的な光景を目にする。

絶対に泣かない母が、影でひっそり泣いていたのだ。

今考えれば苦節何十年かかったのだろうか。
やっと一族の敵をとったのだ。
これ以上嬉しいことはなかったのだろう。

しかし、何にも動じない母がまさかこんなところで泣くとは思わず、驚きと、少しの虚しさを感じたことを覚えている。



つづく。


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