見出し画像

生活の建築知識.5

おはようございます。

つい最近の出来事ですが、仕事で手掛けている建築現場のお隣に住む方から相談を受けました。

[ウチの表札って交換できるかな?昔付けたんだけど、実はあまり気に入ってなくて。名前の文字に斑点みたいなものがあるでしょ?汚れているように見えるの。]

見てみるとその表札は御影石の浮き彫りで出来たものであった。
気に入らない理由はそれぞれだが、石の特性や仕上がりの状態は何ら問題はなく、それについて説明したところそうだったのかと納得してくれ、こちらも少し役に立てたかと嬉しくなりました。

ふと考えてみれば、建築を生業にしている私は石に接することもあるが、多くの方はあまり石について接することはなく、いざどんな特性があるか考えることがあってもなかなかわからないことも多いだろうと感じました。
なので、今回は建築でよく利用する石について説明していきます。

種類を絞ってしまいますが、大理石(変成岩)・御影石(火成岩)・大谷石や十和田石(凝灰岩)が代表的な建材として利用させる石となります。
それぞれ特徴や用途が異なります。

大理石(変成岩)
炭酸カルシウムを主成分にした石灰岩が時間をかけて変成した石と言われます。
おそらく一番耳馴染みのある石だと思いますが、特有のマーブル柄があり石材の中では柔らかく加工がしやすいのが特徴です。
彫刻や家具に用いられることが多いですが、一方酸に弱く、吸水性があり内部凍結すると亀裂が生じる可能性があります。
ですので、屋外で利用するには不向きと言えます。

御影石(火成岩)
マグマが冷え固まり出来た石で有色鉱物を含んでおり、色や粒子の大きさも様々であり産地などでも呼び方が変わります。
緻密で強度も高く、酸や水にも強いため、屋外で利用することに適しています。
また、本磨き・水磨き・ジェットバーナー・ウォータージェットなど様々な表面の仕上げ方が可能であり、意匠的にも使い勝手が良いとされています。

大谷石、十和田石(凝灰岩)
火山灰や火山砂が固まって出来た石とされており、比較的軽くて柔らかいため加工はしやすいが、細かい装飾には向きません。
大谷石は、吸水性があり風化もしやすいのですが、耐火性に優れているため石塀や石窯などで利用されます。
十和田石は、同じ凝灰岩でも緑や青色が混ざっている特有の色合いがあります。
柔らかく肌触りが良いことや、多孔質で保水性・保温性に優れることから浴室に使われることが多いです。

このように石と一括りに言っても見た目も機能も様々であり、場所や用途によって使い分けられています。
今回は紹介出来ませんでしたが、安山岩・玄武岩・砂岩など他にも種類があり、また産地によっても色合いや表情が異なるため、お気に入りの石を見つけるもの一苦労かもしれません。
建材としては比較的高価格となりやすく、利用方法はくれぐれも注意が必要で気軽に取り入れることは難しいかもしれませんが、石特有の風合いは変え難い高級感もあるため、どんな石があるかご興味ある方は調べてみてください。

では、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?