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食事の楽しみ方(カット)

こんにちは。

料理をする際に味付け・火入れがその料理の出来を大きく決めることを以前記事にしました。

しかし、食事をより良くするための手段は他にもあり、そのうちの一つがカットによるものです。
カットの仕方によっては、味付けも火入れも効果が異なることがあります。
また、食べた時の感じ方もカットによって影響があります。
今回はカットをどのようにしていくかについて説明をしていきたいと思います。

わかりやすいところからお話ししますと、肉のステーキをどのようにカットするでしょうか。
ステーキなので、当然ある程度の塊肉を焼き上げることとなります。
どうせ食べる時にカットされて食べられるので、初めからカットして焼けば良いと考える方もいるかもしれませんが、それではステーキの良さが出せません。
仕上げ方は好みもありますが、塊肉で焼くということは肉の中心部分にはすぐに火が入らないということです。
これを利用することで、外はしっかり香ばしく焼いていても中はふっくらジューシーに仕上げることが出来ます。
最初からカットしてしまいますと、焼き付ける面が多くなってしまうことで、ジューシーな肉を味わうことが出来づらくなってしまうのです。
ですので、ステーキのカットは基本食べる直前となります。

どうせ食べる時にカットするということであれば、お刺身は基本カットされているのが普通です。
ご存知の通り、火入れをすることはほとんどないため、最初から食べやすい大きさとしているわけですが、他にも理由が考えられます。
魚は種類によっては、筋が多く固いものもあります。
ただ一口台にカットするのではなく、その筋を断ち切ってカットしていくことで、食べた時の食感や口の中での残り方を調整していきます。
また、お刺身の中にはたたきと言われる包丁で荒くたたき切って提供されるものもあります。
あじのたたきなんかはその一つです。
なぜあじはたたきで提供されることがあるのかというと、青魚にはアニサキスという寄生虫がいることがあります。
仮に食べてしまうと激しい腹痛を催すらしいのですが、火入れをしたり冷凍すると死滅します。
ただし、生色では注意しなければいけません。
そのため、たくさん包丁で叩くことでアニサキスを死滅させれば無害なものとなります。
もちろん提供されるあじのたたきは事前にアニサキスの有無を確認されていると思いますが、万が一の対策として非常に有効な調理法と言えるでしょう。

野菜のカットにもどのように仕上げたいかによって、そのやり方が異なってきます。
玉ねぎ・人参・セロリなどの香味野菜はカットして炒めることで、ペースト状に近い状態とすることがあります。
ソフリットと呼ばれる煮込み料理なんかに利用する出汁の一つとして利用されるわけですが、細かくカットすればよりペーストになりやすくなります。
しかし全てみじん切りにしていては時間もかかるため、簡易的にカットする場合は、繊維を断つ方向にカットすることで、炒めた際の火入れも早くなり効率良くソフリットを仕上げることが出来ます。
しかし、玉ねぎをサラダで食べたい場合、シャキシャキした食感を楽しみたいことも考えられます。
その時は繊維に沿った方向にカットしていくことで、シャキシャキ食感を残すことが可能になります。

炒飯などでは、食材は基本的にみじん切りのような細かいカットが施されます。
なんとなくお分かりだとは思いますが、食べた時に細かい方がお米と馴染みやすいことが1番の理由でしょう。
一方で、炭水化物と具材を一緒に調理するパスタではどうでしょうか。
パスタも具材を細かくしておくことで、麺に絡みやすくすることもありますが、大きくカットやれていることも少なくありません。
この場合は、明らかに作り手側が大きくカットして調理した方が美味しく出来ると判断してわざとそうしています。
例えばパスタにナスが入っていたら、ナスは小さくカットされることは少ないと思います。
ナスは油との相性がよく、揚げナスなどにすることで、トロッとした食感を味わうことが出来ます。
小さくカットをしてしまうとその食感が味わえませんので、その時は絡めて食べるのではなく、一緒に食べるようにすることがおすすめされているわけです。

単純に大きくカットすると言ってもダイス状にカットするのか、乱切りと言われる異形でカットするかによっても、最終的な仕上がりが変わります。
乱切りをするは、料理全体として食材の形状をなんとなく揃えたい時や、タレを絡めて食べる料理であれば断面積を大きくすることでタレとの絡みさすさを調整した結果であることもあり得ます。

味付け・火入れをどのようにしたいかはカットの仕方を変えることで、色々なバリエーションを作ることが出来ます。
カットの仕方に注意することで、違った料理の表情を楽しんでみてはいかがでしょうか。

では、また。

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