よく感謝の気持ちが大切だという話は聞いたことがあると思います。なぜ、大切なのか、考えたことがあるでしょうか。
もちろん、何かしてもらったら感謝の気持ちで『ありがとう』と伝えることは大切ですが、『ありがとう』と言うのが常識でしょう？とか、親にそう教わったでしょう？とかその形式的な部分だけでなく、その他にも大切なことがあることをご存知でしょうか。
それは、感謝の気持ちを常に忘れない心を持つことで人は最強になります。逆境に負けない精神的な強さを真から持てる人間になりやすいのです。

『ありがとう』という言葉は『有り難い』からきていると言われています。『有り難い』は『あることが難しい』という意味です。あることが滅多にないからあることに感謝をしましょう、という話がありますが、これは仏教からきた教えのようです。

例えば、感謝をすることとして日本人の大半の人はそうだと思いますが、
毎日空腹に困らないほどの食べ物があること
生きていけるほどの飲む水があること
寒さを凌げるような服があること
雨風を凌げるような住むところがあること
文字を読み、書いて、日常に困らないほどの言語能力を学べるほどの教育を受けてきたこと
などがあるとします。

このことに常に感謝の気持ちを持って過ごしている人とそうでない人とではどれくらいの精神的強さに差があるか、考えてみてください。わかりますよね？
感謝の気持ちがある人は、少しくらい人生がうまくいかないことがあってもへこたれないんです。日常の一つ一つのことが有り難いと思えるから。感謝の気持ちに支えられて嫌なことを乗り越えられるんです。でも、感謝の気持ちを持っていない人はうまくいかない不平不満、絶望感などのネガティブな感情に脳を全て支配されます。のまれてしまうのです。とりあえず食べられるんだからいいじゃないか、水が飲めるだけでも自分は幸せなんだよ、という発想につながらないのです。

例えばここで大きな災害が起きて、たくさんの物を失ってしまうような状況が来たとします。その時に、絶望しますか？それとも命があっただけでもよかった、と感謝の気持ちを持ちますか？
どちらが精神的に立ち直るのが早いと思いますか？

感謝の気持ちを常に忘れないことは大切です。とはいえ、私たちはそのことを忘れがちです。誰かに直接何かをしてもらった時は『ありがとう』と伝える人が多いとは思いますが、何もしてもらってなくても『ありがとう』の気持ちを持つ種はそこらじゅうに散らばってるのは気づいているでしょうか。

家族、友達、職場の人、買い物をした時にレジを打ってくれた店員さん、何かしらの窓口で対応してくれる方、郵便物や宅配便を届けてくれる方、それ以外にもあります。

今、目の前にある料理、それを作ってくれた人はもちろん、材料に使った食材も思い出してみてください。穀類、野菜、肉、魚など、命あるものにも感謝しますね。そしてそれを作ってくれた農家の方にも感謝を。生み出してくれた自然にも。他にも捌いたり、卸したり、工場で加工したり、パッケージを作ったり、流通したり、ラベルを貼ったり、店頭に並べたり、販売をしたり、今目の前に届くまでにどれくらいの工程でどれだけの人が関わったか、想像してみてください。
今、目の前にある箸一膳。それがなかったらあなたは手掴みで食事をすることになるのです。それがあるからあなたは手掴みで食事をしなくて済むのです。それが今ここにくるまでに企画をした人、デザインをした人、作った人、運んだ人、販売した人、届けた人、想像以上にたくさんの人が関わったはずです。
関わる人が多ければ多いほど、彼らの気持ちが込められています。それに対して感謝の気持ちを持ってみましょう。
お金を払って買った物だから感謝しなくていい、なんてことはあり得ません。それくらいのたくさんの人の思いをその程度のお金で買ってるのです。

目の前の物、一つ一つについてそうやって多くの人の思いが込められて作られてると思っただけでも感謝してもしても追いつかないほど、目の前には誰かの好意があるのです。

実体験をお話します。わたしは以前、徹底的に感謝の気持ちを持って暮らそうと決めて、買い物をしたお店でも、飲食店でも、目の前の食事にも、育てている観葉植物も、晴れた空、雨にも、普段使っている日用品にも、衣類にも、掃除する時の家の中のトイレも床も掃除機も、感謝の気持ちを込めることを忘れず、毎日寝る前には家族や大切な友人やお世話になった人やご先祖さまのことを思いながら感謝の気持ちを込めて手を合わせてから就寝していた時期がありました。1年ほど続けたと思いますが、そのおかげで自分自身がとても変わりました。精神的にも強くなった他、世界が肯定的に映るようになりました。
この時ほどではありませんが、今でも定期的に寝る前に感謝の気持ちを込めながら手を合わせています。

感謝の気持ちを持つことで、自分が大きく変わります。そうすると世界が変わります。