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男ってヤツは。


 まったく、男ってヤツは。
 自分が男なのに、しょっちゅう思う。それはきっと自分が女性性に憧れ続けてきた人生で、女性ホルモンが多いからだと思う。料理するのも好きで、主夫になりたいとか思っていたし。
 いやそれは半分ぐらい冗談としても、男ってヤツは、本当にいろいろとダメすぎる。

 とかく、男ってヤツはガサツだ。
 使ったものをちゃんと戻さない人が多いし、そもそも片付けない。「別にいいでしょ」と自分基準でものごとを考えすぎる。
 あなたはいいかもしれないけど、私はあなたじゃないんだよ。そんなことを言うと「女々しいヤツだな」とか言って相手を見下して自分を正当化しようとする。
 そもそも「女々しい」という言葉も、男が作ったものだろう。だって女を見下したうえで、女みたいだと卑下した言葉なんだから。
 だからその言葉を使う男を見ると「こいつ、差別意識が強いヤツなんだな」と偏見を持ってしまう。偏見でもなくけっこう当たるけど。

 とかく、男ってヤツは横柄だ。
 電車で足を開くとか、肘を突き出してスマホするとか。そのせいで両脇に座れるはずの人が座れなくなっていることにも気づかない。いや気づいていても改めない、勝手なヤツが多い。
 そうやって「自分基準」なヤツが多い。自分のせいで迷惑がかかっていることに、気づけないヤツが多い。何か不注意な言動をして、一緒にいた奥さんに慌てて注意されるとか、そんな場面をよく目にする。きっと帰ったら亭主関白なんだろうな、と憶測してしまう。
「関白宣言」を聴き直すといいよ。熟年離婚はまっぴらだ。

 とかく、男ってヤツは幼稚だ。
 大の大人になっても『ジャンプ』を読んで、スマホやゲームばっかりしてる。自分の好きなものを「更新」するから、何事も際限なくなってしまう。女みたいに「別のものにシフト」できれば視野が広がるのに、同じものを追求する性分がある。
 それがうまく進んで、立派な趣味になればいいよ。でも家事を手伝わずにゲーム。歩きながらゲーム。自分の世界しか見てないから、周囲の冷たい視線も見えない。
 そのクセ見放されたら「俺は何も悪くない」って言うんだ。幼稚で女々しい。あっ、女々しいなんて言っちゃった。

 とかく、男ってヤツは器が小さい。
 見栄っ張りで気が小さく、自信がないからやたらとマウントしたがる。優劣や順列ばかり気にして、何でも偉い人を意識する。
 学校では学年が絶対的な水準だし、社会では地位。会社では役職。その次にすがるのは勤続年数。最後の砦は年齢。数年早く産まれただけで偉いなんて、いつの時代の話だろう。自分の力で何とかできないから、そういうものにすがるんだろう。
 だから男は見放される。調子に乗って独立して、しょせん会社づきあいだった人が離れる。熟年離婚で妻もどこかへ消え、人生の宵闇でようやく思い知る。
 それでも男は、自分が正しいと信じて疑わない。そうじゃないと潰れてしまう、プライドしかない生き物だから。

 でも。
 そんな女々しくて自分大好きで没頭して周囲ばかり気にするから、男は歴史を作ってきた。それは間違いない。
 フェミニストの言うことは真逆すぎて納得できないけど、歴史の大部分は男が作ってきたのは厳然たる事実だ。
 だけど少しぐらい、男も気を遣おうよ。周囲に、大切な人に、離れてほしくない人に。
 やがて因果は応報するのだから。

 情けは、人のためならず。
 やがて返ってくる自分のために、相手を思う。
 だから男も、思ってあげよう。自分だけじゃなく、まわりを、大切な人を。
 そうするだけで世界は、また変わるから。

 それにしても。
 まったく女ってヤツも、いかんともしがたいよな……。

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