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3. 滝ツボにとびこむ


G : 現地に着いて、やったことってどんなことがあるんですか?一緒にブッシュに行ってマーゴを切りに行ったりとか。作ったりみたいなこと以外、なんか他にもあったんですか?

H : 滝ツボへ飛び込むっていう

M : 滝ツボ、飛び込んどったよね!

G : えっ?

H : あれ何メーター?20メーターくらいあったっけ?

M : うん、あれけっこう高かった

[Beswick Fall]

H : あれ相当高いよね。そこへ飛び込むっていうイニシエーション的なアクティビティがあって。現地に着いていきなり。

G : けっこうエグいなぁ!

H : あれ、ケンちゃん飛び込んだ?

M : 飛び込んでへん、ぼく写真とってる方やから。

H : オレ飛び込んだ

一同爆笑

M : ようやるわぁ

H : エグいけど、あんな体験二度とできない。ほんと。

M & G : そうやなぁ / そうですねー

H : 今自分が還暦すぎて、もう一回アレやれって言われても、オレちょっとビビってたと思うね。あん時だからできたーみたいな。

M  : オレあん時やらんで良かったって思ってたで

H : カメラ持っとるもん。カメラ持って飛び込めんわな。

M : そん時のレポートも(JADAの会誌に)載ってるわ


トム・ケリー登場

G : コロボリー(アボリジナルの歌と踊り)的なことってやってくれたんですか?

H : やってくれた!

G : 夜?

M : 夜。ちょうど成人の儀式が1週間くらい続いてたらしくてなぁ。

H : うんうん、そうそう。で、オレたちはオブザーバーっていうかビジターとして、ビジター席に座らされて。「ビジター席はブラナシより右側だ」って言われて、「こっち側(ブラナシの左側)に来るな」って言われた。

G : それはマーゴ奏者とソングマンとダンサーたち?

H : うん。ブラナシはそん時にはもう(マーゴを)吹いてなかったので、なんかオレたちバランダ・モブを責任を持って監督してるっていう、そんな感じに見えた。実際にマーゴをやってんのはトム・ケリーだった。

[ナイト・コロボリー]左のマーゴ奏者がダリル、中央の帽子をかぶった背の高い男性がトム・ケリー

G : エー! それすごいなぁ!!

M : 写真あんで。

G : トム・ケリー、実際音聞いてどうでした?

H : すごい!

M : ミッキー・ホールもマーゴをよう鳴らしてくれた。

H : うん。大体みんなマーゴを吹けるけど、トム・ケリーはすごい教えてくれた、ちゃんと。

[Tom Kelly plays Mako]

G : トム・ケリーがちゃんと教えてくれた!? それスゴい!


ビッグマウスはチャレンジングだ

H : ブラナシは一向に吹かなくて、教えてくれなくて、ただいるみたいな。「ビッグ・ダディーただいます」みたいな。

G : 実際見た感じ、何歳くらい離れてそうでした、トム・ケリーとブラナシって?

H : うーん。見た感じは10才くらいは離れてるかなって思った。

G : じゃぁ、その当時で言うたらトム・ケリーは若い感じですね

H : トム・ケリーまだなんかハツラツとしてたもん。白髪はバァーってあるけど、年寄りぜんとはしてなかった。

G : へぇー!それは貴重体験ですねぇ

H : うん、トム・ケリーは色々教えてくれて、「ビッグマウスはチャレンジングだ」っていうのも一番言ってた。

G : へぇー!

H : でかい口のヤツで吹くのはチャレンジングで、「でかい口のヤツで吹けるほどえらい」みたいな風には言ってた

一同爆笑

H : えらいかどうかはわからんけど。うん、そう言ってた。

G : いいですねぇー! ほかにもトム・ケリーに教わって印象的やったことってありますか?

H : 今で言うハミングみたいなのは、なんかこう「ハミングしろ」とは言わないんだけど、明らかに(声が)出てるやん!みたいな。そういうのは、もうあからさまだった、トム・ケリーの音。

G : なんかぼくのイメージではうまいマーゴ奏者ってわりに音でかいなって思ったんですけど

H : 音はでかかったような気がする。ブラナシも音でかかったから、音でかいからなんだったっけ?ボム。アタックの低音のブォって出るのがすごい強い印象がある。生で。

オレほら録音とかしなかったんで、でも生で目の当たりに聞いたら、下の方の低音のブォンって出る音。あと、たぶんマーゴもわりとこう、なんて言うんだろう、胴太な感じ。

G : その時使ってるやつが?

H : うんうんうん。

G : その時使ってた楽器は触らせてもらったんですか?

H : 触らせてもらってない。オレらのところにはその使ってたやつは持って来なかったから。だからちょっと何かあるんかなって。

G : へぇー すごっ!


気づいたら「あっ、これダリルやん!」

G : その時歌ってたのは誰っていうのはわかりました?

H : 誰が歌ってたんだろうね、あれ?

M : 歌ってたんはわからへんわ~

H : たぶんホワイト・カカトゥのメンバーの人が歌ってたんだと思う。

G : 結構年配の人ですか?

H : うんうん

G :ジャック・ナウィリルかなぁ。

H : ケンちゃんの撮った写真にダリル(Darryl Dikarrna Brown)吹いて、ソングマン歌って、クラップスティック叩いてっていうのあったよね?

[Darryl Dikarrna Brown plays Mako]

M : うん。気づいたら「あっ、これダリルやん!」ってなって。

G : そん時はダリルの音ってのはあまり聞いてなかった?

H : まぁ、ダリルやっていう風に認識してなかったから、「あー若い子吹いとるな」ってな感じで。

G : ハハハハッ! なるほどね。

H : うん。

M : (マーゴ・ツアーの)二回目はもうダリルがメインで。一回目の時は後で写真見て気づいたって感じやわ。

H : 二回目ってそのツアーまたあったの?

M : またあって、ぼく二回目行ってん。2003年やったかな?ヒデちゃんと一緒に行ったのは2001年ちゃうかな。

H : うん。最初のプレツアーみたいな感じ。

M : そうそう。それの二回目があってん。

H : その間に(ブラナシは)もういなくなっちゃったもんね、すぐ。

M : そうそう。ぼくらが行った1月後に亡くなってんね

H : そう。それでBarunga Festivalがあって追悼みたいな風にになってったから。ほらあのポスターの。

G : そうですね~


 このインタビューに使われている写真は全て三上賢治によって撮影されました。無断転用はお控えください。All photos were taken by Mikami Kenji. Unauthorized use is prohibited.


>> 4. ブラナシ・イズ・ノット・デッド


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