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ヨハネスブルグは凶悪都市?安全と危険

気が付けば南アフリカに移住してから4年目の年で、Youtubeやってほしい!と言ってきてくれた人が多分5人くらいいて。
もっと発信した方がいい、と言ってくれた人はもうちょっといる。

南アフリカって?ヨハネスブルグって?
気になる人は結構いるみたい。

コロナが少しずつ落ち着き、というか共生の方向に世界が動いていく中で、ヨハネスブルグを訪れてくれた人と出会うこと、過ごすことも増えた。

自分にとって日常となってきた、この心地いいヨハネスブルグの暮らしも、当たり前のようになじんできた南アフリカのアフリカン訛りの英語も、訪問者や久しぶりに出会った人にとっては、物珍しいものに映るらしい。

そしてよく言われるのは、ヨハネスブルグと言う都市の噂と現実のギャップである。

凶悪都市というナラティブ

ヨハネスブルグと日本語で検索すると、ほとんどと言っていいほど、恐ろしい話が出てくる。
おそらく面白半分に、そしてクリックしてほしさに「凶悪都市」であることやすぐに犯罪にあうことが並べられて、ここに渡航するのをためらってしまうような情報が並ぶ。

英語で調べても、ある程度は治安について憂慮する情報は出てくるものの、世界一、まるで悪魔の都市であるほどの情報は出てこないことに気が付くと思う。

国連の赴任地のハードシップ手当の基準をみても、南アフリカヨハネスブルグはデリーやナイロビに比べてハードではない評価なので、現実とはかなり乖離があるという印象。

日本の外務省の危険度をみても、南アフリカはけっこう真っ白(危険レベル0)で、日本人に人気で安全なイメージがあるカンボジアなんかでもまっ黄色(危険レベル1)なのと比べると、評価としては特別恐ろしいことでもなさそうだと思ったりしてます。

安全ってなに?危険ってなに?

こういう話をすると、"安全"と"危険"いうすごく曖昧な概念について考えさせられるのです。
女子大学生の時に一人でバックパッカーをしていた時も、「危なくないの?」は一番よく聞かれた質問。

特に、イスラエル・パレスチナをはじめとした中東諸国やインドに一人でいったものだから、そうした質問をされることは多かった。

そもそも「安全」とはかなり曖昧なもので、気持ちの問題(いごこちとか)や衛生、事故、ハラスメント、犯罪、ぼったくり、国家安全保障などいろんな側面があって、一つの軸で比較するのはすごく難しい。
安全と安心が混合して語られることも多い気がする。

たとえばイスラエルと聞くと、危ないイメージがあると思うけれど、スリやひったくりのリスクはものすごく低い(パリやローマで携帯をとられた友人は数多くいる一方、イスラエル・パレスチナではほとんど聞いたことがない)一方で、テロなどのリスク(国家安全保障としてのリスク)は高いかもしれない。
それでも、最近はヨーロッパの方がテロが起こる確率が高いのでは、という声も聞くので、イメージよりもヨーロッパは"危険"なのかもしれない。

それに比べてインドは、テロと言うよりもお腹を壊す心配(日本の人の多くはスパイスに慣れずお腹を下すことが多いそう)やぼったくり、女性の場合ハラスメントにあうことなど想定できる。私の場合も、ハラスメントまがいのことにあったことがあるので、夕方以降はひとりで外を歩かないのが無難だな、と思っている。

また、安全と言うのは、誰しもに平等なものでもないと思う。
ジェンダーやセクシャリティ、所得、身なり、言語能力、人種、国籍…それらによって、その場所があなたにとってより"安全"になるのかより"危険"になるのかは全く違ってくる。
日本が安全だ、というけれど、日本語を話す日本国籍で見た目からも日本人以外に間違われることが少ない(特に男性)にとってはものすごく安全かもしれない。所得が一定以上あればなおさら。
そうした人と比べて、ハラスメントや被害にあう確率が高い属性の人もいるはず。

時間帯や時期によってもリスクに差は出てくる。同じとしても、エリアによってかなり様相が違うので、土地勘を持っておくこともすごく大事。

同じ国でも、場所が違えば、またあなたの属性が違えば、まったく異なる体験をするかもしれない。



ちょっと思い出したのが、エルサレムを散歩していた時。
東エルサレム(パレスチナ・アラブ系の人が多く住む)から西エルサレム(ユダヤ系の人が多く住む)に行くときにちょっと迷子になった。
そこで、すれ違ったアラブ系のおじさんが「西エルサレムはあっちだよ」と教えてくれた。同時に「西側は危ないから気を付けて」と。

イスラエル側に行ってよく言われれる言葉に「西岸地区とか、パレスチナ人が多いところは危ないよ」「パレスチナ側に行くの?危ないから気を付けて。何かあったらすぐに電話するんだよ」
旧市街をイスラエル人に案内してもらった時も「危ないからイスラムやアルメニアの地区は行かない」と言い張られたので、後日自分で訪れたことがある。

みなさんはどう感じるだろうか?


―――

「で、結局安全なの?そうじゃないの?」

簡単な2択を求められることも多いけど、現実はそこまで単純じゃなかったりする。

ちなみに、このツイートでも書いたとおり、南アの中でもヨハネスブルグ"だけ"あぶない!という言説に対しては、本当?と思うことがある。

統計上、犯罪の数は多いけど、人口も面積もずっと大きいので、人口10万人に対する殺人件数はケープタウンが2位、ヨハネスブルグが6位。

ただ、なんとなくイメージは理解できて、ケープタウンにある観光地は、だいたい高所得者のエリアにあって、犯罪の特に多いエリアに足を踏み入れることなく滞在できるし、高所得層と低所得層のエリアの違いが分かりやすい。

一方ヨハネスブルグは、アパルトヘイトミュージアムやコンスティチューションヒルなどのスポットは、タウンシップやCBD(ヨハネスブルグのCBDは、今現在のビジネス中心地と言うよりも、アパルトヘイト時代に白人専用地区且つビジネスの中心地で、28年前の民主化前後に警察も立ち入らない不法地帯になった歴史があり、特に治安が悪い)あたりに位置するので、土地勘がないとちょっとリスク、ということは十分あり得る。情報が少ないからこそかもしれない。

ヨハネスブルグが安全です!というっているのではなく、危険だと思って行動する分には良いにせよ、イメージだけで安全だと思っているところでも、十分気を付けたほうがいいのでは?と思うし、過剰に装飾された"危険"イメージよって、人が離れてしまうことは少し寂しくも感じる。

現場に行くこと、臨場感を持つこと、越境すること

とりとめのないことをつらつらと書いてしまったけれど、結局あなたにとってその場所がどうなのか。人からいろいろ聞くことはできるけど、あなたが体験する、あなた自身が見るものは、他者のそれとは絶対違うと思うのだ。

だからこそ、自分が行って体験することってとっても価値があると思う。

情報が溢れるからこそ、知っている気になるのは簡単。驚くほど簡単になっている。

でも、それが実際どういうことなのか。そして自分の視点や世界観だけが、世界の見方でないことに、どれだけの人が臨場感をもって気づくことができるかで、世界は結構変わるんじゃない?なんて思う自分がいる。

とりあえず、最近南アフリカで人をホストして、感じていること。


そんな自分も、コロナ禍でちょっと出不精になってしまっていた気がして、新しいことにどんどん挑戦していきたいと思っている。
早速2022年は、日本一時帰国から始まり、ルワンダ・モンゴル・ドイツ・アメリカとちょくちょく飛び回っている。

ある方の言葉によると、人は「他流試合」を続けることで、成長するそうだ。(特に若いうちは!と言われた)

30歳も近くなり、それなりに居心地の良い場所が見つかっている歳ではあるけれど、だからこそあえてそこを出て、可能性を試すアクションを続けていきたい。

大学院に行き始めたのも、そのひとつかもしれない。

1年目はかなり苦戦をしたけれど、2年目の前期はそれなりに成果が出てきて、教授に声を変えてもらって、レポートを書くバイトをもらえた。

はじめて国連関係の組織からお金を出してもらって、国際会議に参加したり、リサーチャーとしてプロジェクトに関わらせていただく機会に恵まれた。

やってみないとわからないものである。

挑戦してみて思うのは、だいたい「やってみてよかった!」
やってみて、できないことはもちろん多いのだけど、そこで出会った人や得た気づきは、何にも代えがたいものだと思っている。

2022年、自分の可能性をもうちょっと広げるために、他流試合、越境、など意図的に重ねていきたいと思っている所存。


そしてそうした想いやこれまでの自己紹介的な記事なども、このnoteなのか、ほかの媒体なのかで、また改めて発信していくことをしていきたいな、と。
発信することで、だれかの後押しにもなれば嬉しい。

まとまりがないですが、こんなところで。


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