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旅の季節、放浪

すっかりご無沙汰してしまった。
大学院の課題を口実に、いや、口実というかそれだけで結構な量読み書きをしているので、そこからさらに一息ついて何か書くということから離れていた、というのが本当のところ。

気が付けば、2022年。
21年年末から2-3か月だけ、日本に一時帰国していた。
コロナでマスクやプラスチックのパーテーションにあふれ、以前はなかったPayPayやLine Payが当たり前になっていて、ちょっとした浦島太郎気分だった。
それでも「おかえり」と言ってくれる人々の存在は、とても心強かった。

日本にいると、まだコロナはオンゴーイング。
旅に出るのは怖いなーという空気があると、ある人から聞いた。

本当のところはいないからわからないけれど、少なくとも世界的には、あらゆる行事が復活して、少しずつ、形を変えながら「コロナ禍」というものは脱却しつつあるように思う。
とはいえ、コロナ前に「戻る」というよりも、新しい世界が作られたように感じる(ニューノーマルという言葉、よく聞いたけど、そんな感じ)。

非接触徹底のニューヨーク

この文章は、ニューヨークから南アフリカに帰る飛行機の中で書いている。
14-15時間の長旅だ。ありがたいことに、席にコンセントもあるし、8ドル払えばインターネットもある。便利な時代になったなあ。

アメリカに行くのは2回目で、ニューヨークは初めてだった。
なんで行ったのかは機会があればまた書きたいと思うけれど、今回は割愛。

搭乗手続きも、コロナのワクチン接種証明も、デジタルで事前にアップロードすればOKだったり、マンハッタンのレストランのほとんどでは、紙のメニューがなくなっていて、QRコードをスキャンする形になっていた。
地下鉄やバスも、メトロカードなしでもクレジットカードやスマホのタップ決済で乗れる。
空港のレストランも、タブレットで注文する形で、キオスクのような小売店もセルフレジのみの対応だった。

店員さんと雑談したりするのが減ってしまうのはさみしいな、と思いつつ、それでも電車でおじさんと話したり、そういう一面も残っていてちょっとほっとした。

1年に1度の国連総会が、コロナ後初めて対面で行われるということで、マンハッタンは少しピリピリしていた。
国連勤務の方にあったが、1年で一番忙しい季節だそうだ。
彼女はコロナ禍で国連に入ったので、ここまで多くの人がオフィスに戻っているのは初めて見たそうだ。
働き方も、毎日出勤と言うよりも、在宅と出勤のハイブリッドが基本だそう。

コロナが完全になくなることはないにせよ「ポスト」と呼んでよいような兆しを感じた。

するりと入国したドイツ

ニューヨークに行くちょうど2週間前、こちらは休暇をとってドイツに行っていた。
ベルリンの空港から入り、カッセルと言う小さな街で行われている5年に一度のアートフェスティバルに行くためだ。

ドイツへの入国には、ワクチン証明もPCRもいらなくなっている。
私が住む南アフリカも同様。

フライトやイミグレーションに関しては、コロナ前と全く変わらない様子に、なんだか拍子抜けしてしまった。

6月ごろにルワンダに行った時、その時は出国前にワクチン証明と簡易テストをしなければならなかったけど、その数週間後にはそれも簡易化されたと聞いたから、各国で国境移動に関してはどんどん規制が弱められているようだ。

アナログを感じたベルリン

ドイツには初めて行ったのだけど、ベルリンの空港はこのコロナ禍にできた新しいものらしい。

ドイツは先進的なイメージがあったのだけど、意外と(南アフリカより)クレジットカードが使えなかったり、たばこを吸っている人がめちゃくちゃ多かったり、首都だけど若者がすごく多かったり、紙の本を読んでいる人が多かったり。

いろんな意味で裏切られることが多かった。

ドイツ語と言う自分にとっては新しい言語にさらされるのは、久しぶりな感じで、地名すらまともに読めないのが面白かった。

ドイツの電車はよく遅れる(たまに消える)とは聞いていたけれど、私は本当によくわからなくて、とりあえず人に聞きまくって移動していた。

ベルリンに住んでいる友人たちに会ったり、カウチサーフィンで旅人と交流したり。コロナ前もしばらくは出張で決まった国ばかり行っていたから、シンプルに「旅人」として、社名もなにも背負わずに放浪するのもまた良いな、と感じたりした時間だった。

ベルリンは、長いとこ封鎖された背景もあり、独自のカルチャーがあるらしい。ドイツ人でも、ベルリンに関しては好き嫌いが分かれるらしい。

ビールとたばことパーティと…古着とレジスタンスが好きだったら、ベルリンは楽しいと思う。
あ、でもレストランでオススメされたビオワインもめちゃくちゃおいしかった。

本とビールをもって、講演でのんびりする。
支払いは、キャッシュで。
カフェも、PC作業禁止のところも結構あるらしく、友人との会話を楽しむ場所だからだそう。
そんなアナログを感じたベルリンのストリート。

変わりゆく世界の中で

ニューヨークでも、ドイツでも、電車の中ではマスクが必要(つけてない人も多いかった)だったり、残り香がありつつも、パンデミックの影は徐々に薄れつつある。

日本に一時帰国する直前には、南アフリカの研究所がオミクロン株を見つけて大パニックになったのが、もはや懐かしい。

権力、情報、さまざまな感情…いろんなものが渦巻き循環する中で、考える。

デジタル化が一気に進んだけれど、デジタルは社会をより公平にしたのだろうか?
あるいは分断したのだろうか?

おそらく後者が強い中で、これからどうしていくのが良いのだろうか?

実際にどこかに訪問し人と出会うことで、初めて気づくこと、築けるものが、いかに多いのか。
それもまた強く強く実感しつつ、大量のエネルギーを使いながら世界を移動する。

そんなことを、ふと考える、フライト時間。


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