立花 塵

タチバナジンです。よろしくお願いします。気が向いたら更新します。気が向かなくてもたまに…

立花 塵

タチバナジンです。よろしくお願いします。気が向いたら更新します。気が向かなくてもたまに更新します。

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    歌詞や詩です

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『Camera of Veronica』 #tanka

『166 Me』 一七十センチのあの子に恋をした四センチの差は遠く、遠く 『Theater』 君がその結いた髪をほどくのは劇場の席にもたれる時だけ 『Camera of Veronica』 「時をとめる力があるの私には」シャッターを切る君の口癖 『Disperse』 さくらさくら美しく散り美しく君の記憶の一部となろう 『Pray』 「来世でもずっと一緒よ約束ね」君の小さな小さな祈り 『Dream Seventeen』 微睡みが包む窓辺の夢のなか君は綺麗な

    • 短歌連作【いのちとこい】

      ペンデュラムウェーブみたいに揃ったりずれたり僕とあなたの寝息 ファインダーを覗いてわたしを撮るときの君のウィンクにずれる目線 コーヒーを飲んでる君の体温に近づきたくて貰うひとくち あなたから貰った服がいつの日かどうでもいい日の部屋着になった 騙されるふりが得意になったから映画を信じてみたくなった かたちだけ恋に似た熱に浮かされているだけ丸い気球みたいに 現実がドラマみたいに劇的で綺麗だったら冬は越せずに もう何もこの世に残せなくなったらサンクトペテルブルクにゆく

      • 最近の俺

        目を開ける。カーテンを開ける。太陽が照っている。 「太陽が照っても家から出なきゃ意味ないのにねー」とひとりで呟く。その言葉は虚しくも宙を舞い、秒速、たぶん100万キロくらいで俺の布団に落下する。その勢いと重みで俺は身動きが取れなくなり、さっきまで起きようとしてたのに、「こんなん無理じゃん」と思いまた目を閉じる。 目を開ける。カーテンを開ける。太陽が沈んでいる。 「ども、ども、太陽またね」とひとりで呟く。今度はその言葉が俺の口周りから風船みたいに膨らんでいき、そこに留まる。な

        • 0.01mm 〜小学生編〜

          人は誰しも「欲しい」と望んでも手に入れられなかったものってありますよね。 大金や名声を筆頭に、豪邸、ブロンドの恋人、食洗機 etc… それらは、欲しいと心から願って努力しても中々到達できないことが多く、ほとんどが諦め、妥協できるポイントで満足して(した気になって)しまいます。 しかしながら、それらを手に入れている人達がいることも確固たる事実として存在しています。 私はそれを見ないふりしているわけではありませんが、どこか他人事のように感じてしまう時があります。 いえ、そう感じ

        『Camera of Veronica』 #tanka

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          7本

        記事

          ジュリー・エル

          あたたかい色が似合うって言ったのに 君の爪の色はセルリアンブルー 「空とおんなじ色よ」って言ったから 「それもそうか」って笑ってみたりした 結いてる君のその長い髪の毛は どんな時にほどいて毛先を振るの 映画館のシートにもたれる時? それとも首のほくろを隠したい時? 思いがけずぬるい風が吹いた 君のプリーツスカートが揺れている 靴下を濡らして部屋を歩き つけたつま先の跡の歩幅は広いね 煙突の煙でひこうき雲がみえないや だからいま君の瞳を見つめる理由ができた

          ジュリー・エル

          愛をして愛だけになって愛されて愛を忘れて愛を憶える #tanka

          酔った日に点滅してる青信号を急いで渡る君の可愛さ 痣だらけの僕の躰を眺めては「木漏れ日みたいで綺麗」という君 「これ見て!」と君のスマホを覗く時ぶつかる頭の音は煌めき 「電話したい」「嫌だよ」「なんで?」「夜中だもん」「分かった」「…やっぱ少しだけする?」 秋風が吹いてきたから君のこと忘れちゃってもいいんだよね? 死にたいと言ってた君が死ねないと言った夜、僕は死にたかった 永久歯抜けてしまった日の朝に吾子に生えし乳歯は輪廻のよう 禁煙を君がはじめてから壁の染みは

          愛をして愛だけになって愛されて愛を忘れて愛を憶える #tanka

          かみさまをいまゆらしてる

          私は普段からカメラを持ち歩くようにはしているが、日常的に写真を撮るわけではない。むしろ撮らないことの方が多い。今日は撮るぞと意気込んで決めたとしても、結局は1枚も撮らないような日が何度もある。 しかし、ふとした時に「撮らなければ」と強く思う瞬間が訪れる。それは風景であったり人々であったり物体であったり様々なのだけれど、まるで神様の御告げのようにその時は突然降りかかり、その刹那に私はシャッターを切る。 瞬間の衝動を切り取ることは覚悟がいる上に失敗が多い。とてつもなくしんどい

          かみさまをいまゆらしてる

          ice

          僕らは反射している 透明な過去や現在や 少し遠い未来に 雨の音は静かに 脳細胞溺れさせる あの時みたいに サブリミナルのよう 君の裸は 黄色いサブマリンに乗って 君の瞳の中を泳いでみたい 僕らは傾斜していく 夕暮れの微睡みに 溶けていく部屋とアイス 君の匂いは確かに エンドルフィン満たされる これから先もずっと サプリメントのよう 君の口付けは アポロ何号かに乗って 君と僕の口の中だけが宇宙 僕らは愛を忘れる 黝い傷や嘘や 少し甘い涙で 僕らは愛を憶える カラフ

          露草

          「私達これが最後よ  君との日々を永遠抱きしめるわ」  半袖シャツがなびいて胸元大きく開いた 「君の言葉は燦然と  煌めくけどいつか色が褪せるわ」 波音が過ごした日々の色をさらって流れた ソーダのアイスが溶け落ちた 夕焼けも溶けて 翳りがシャツの染みを隠す どうか見つけないで 心はきっとまだ少し隠れていたいから 「私達はまた会えるけど  それは二人の鼓動が止まった時よ」 群雲の涯ての扉を開け放ってしまいたい 「どうか幸せであるように  君がいない街でそっと祈るわ

          『さよならはエモーション』を聴き、俺は逆立ちションをした。

          俺は不幸である。 不幸であるというか、幸せを感じたことがない。 これはなにも、「なんで俺だけいつも不幸なんだ…」とか、「ほら、俺はこんなにも不幸なんだよ」等のように、不幸自慢でも被害者意識をひけらかしたいわけでもない。 俺は物心が付いた時からなんとなく、うっすら、ずーっと不幸なのである。 不幸な人間だからこそ、俺はデフォルトとして真っ直ぐ純粋に、自暴自棄である。 全くもって「死にたい」とは思わないが、死にたさの測量計は常に目盛りを刻んでおり、喫煙や短眠・アルコールで

          『さよならはエモーション』を聴き、俺は逆立ちションをした。

          もしもYouTubeで流れる漫画広告の主人公が俺だったら

          俺の名前はバナユキ。 どこにでもいる至って普通の会社員だ。 平日は仕事をして、休日は好きなことをして過ごす。 ささやかだけど、おおかた不自由なく毎日を過ごしている。 しかし、そんな俺にもひとつだけ悩みがあった… その悩みとは… ニキビや肌荒れが酷く、全くモテないこと 昔は綺麗な肌だったのだが、最近は仕事でのストレスが重なり、日に日に肌がボロボロになっていた。 そんな俺の顔を見て女の子はみんな、「肌が汚い人はちょっと…」と言い、遠ざけられてしまう。 どうしよう…このまま

          もしもYouTubeで流れる漫画広告の主人公が俺だったら

          ボーイ・ミーツ・ナンバーガール

          本日、ナンバーガールが二度目の解散をする。 私は黄昏時にひとり佇み、煙草にそっと火をつける。 陽を輪郭に纏った群雲は、いつもより流れが速い。 流れの速さの原因は風か、時か、自転か。 それとも全てか。はたまた無か。 いつも見ている風景さえも、ナンバーガールに支配されている今日の日は世界の理や法則を無視して、私の情緒に付属する。 音楽を再生する。 音楽機からイヤホンに伝わり、耳介に伝導する。そして鼓膜を通った音楽を蝸牛が感知し、やがて脳に伝わる。 頭の中の思い出が蘇る。

          ボーイ・ミーツ・ナンバーガール

          散文(恋愛、正義、人生、等)

          「なんで彼女と別れたの?」と聞かれるたびに、聞いてきたやつの顔面を8発ほど殴りたい衝動を抑え、「価値観の違いで〜」「俺が自分勝手で〜」等とよくある言い分を話し、毎回死にて〜と思いながらも気丈に振る舞い、「女の人紹介してくださいよ〜誰かいないんすか?合コンしましょ〜」と全く思ってもいない言葉を発し馬鹿なふりをする挙動まで含めて、はじめて『失恋』と呼ぶのであれば、俺はもう二度と恋愛なぞしたくない。極めてだるい。 よく考えれば、恋愛というシステムは意味が分からないことばかりだ。

          散文(恋愛、正義、人生、等)

          八割が造語の文章

          軽朝、目が覚め、ふと窓の外に目をやると、ユテームグロスのオミエをビリビリに引き裂いている人が見えた。 まさか、そんなことが人間に出来るなんて…… そもそも、こんなこと、人類には不可能なはずだ。 サイカムエテボやマイログフェティなら100歩譲って分かる。あの、ユテームグロスを素手で、だ。 私は夢を見ているのかと思い、もう一度枕に顔を埋める。その間、ワイコームなことばかり考えていた。 今一度、ユテームグロスのオミエを引き裂くことが出来るか考えてみる。 東京極学校時代、私は工学エテ

          八割が造語の文章

          ビッグバンを待ち倦んで

          青春は宇宙と似ていると私は思います。 年齢を重ねると共に膨張していく感情と身体は、どこかのタイミングで大爆発を起こし、これでもかというくらいに煌めく。そして今度は段々と収縮を始め、やがて死という名の無次元へと至る。 爆発するタイミングは人それぞれですが、多くは十代や二十代だと感じます。「若さ」という武器を惜しげもなくぶら下げ、振りかざせる時期です。 私は今年で二十五歳となり、いわゆる「アラサー」というものに突入します。三十代となってもきっと楽しい人生が待っている。そんなこと

          ビッグバンを待ち倦んで

          でゅらい

          国道沿いの小さな喫茶店に、金子はいた。 「遅いぞ、30分も遅刻しやがって」 怒りが微塵も感じられない優しい注意を受け、僕はボックス席の向かい側に座った。 「ごめんごめん、道端に婆さんが倒れててさ、背負って病院まで行っていたんだよ」 「見えすいた嘘をつくなよな。まあいいけど」 僕は店員にアイスコーヒーとピザトーストを注文し、おしぼりで念入りに手を拭く。 「そんで金子、その野球セットは何だ?」 金子の横には軟式ボールと小さいサイズの金属バット、グローブが置いてあった。 「息子のだ

          でゅらい