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淡水魚の魅力:中流編

平野部を流れる川に住む魚たちは人間社会と密接な関係性をもって存在してきました。上流部に住む魚たちはその神秘性、狭い中での多様性や物語性で私を魅了していますが、中流域の淡水魚たちはなんと言ってもその身近さが大きな魅力だと感じています。

中流域の魚の種類

中流域の魚としては、大きくアユ、ウグイ、オイカワ等が挙げられるのではないでしょうか。いずれも人間の生活域を出ることなく、ふらっと訪れた川で見ることができる魚です。

アユ

アユは初夏の風物詩として日本の文化に大きな影響を及ぼしています。独特の香りと美味から広く親しまれて高級魚として扱われ、近年では養殖も盛んで、淡水魚としてはウナギに次いで第2位の養殖量を誇ります。
川にある石に擦ったような跡が多くあると、アユの存在を感じられ嬉しくなります。主として苔類を食べ、ナワバリ意識が強い特性からその釣り方にも独特の趣があり、その最たるものは友釣りと言えるでしょう。初夏の川にアユ釣りの長い竿が翻ると、夏の訪れを感じます。

ウグイ

ウグイは酸性水に強く、かつては日本全国で最も身近に見られた魚でした。体長30cmから50cmに達する比較的大きい魚であり、春から夏にかけては泥臭いものの、冬は臭みが消え脂が乗ることから「寒バヤ」と言われタンパク源の乏しい冬季の貴重な生鮮食料として親しまれていました。釣りキチ三平にも冬季のウグイ捕りの漁法が取り上げられたことがあります。
割と何でも食べることから釣りにおける外道として扱われることも多いですが、逆にこの魚から釣りを始めた人も多いはず。私も一番最初に釣り上げた魚は小さなウグイで、持って帰って自宅の水槽で飼っていた思い出があります。

オイカワ

オイカワは環境の変化に極めて強い魚で、河川改修により着々とその分布を広げています。アユ等の放流に混じって全国に広がった彼らは産卵期になると非常に美しい青と赤の婚姻色に変わります。
タンパク源としてのオイカワは、唐揚げや甘露煮等での食用が一般的ですが、一部の地域では発酵させお寿司として食べられることもあるようです。
これまた雑食性であり何でも食べることから初めての釣りに適します。夕暮れになると水面を飛び跳ねるオイカワが美しく、釣りをしながらそろそろ帰らなきゃなぁと思ったことを思い出します。
近年ではルアーフィッシングに適するらしいですが、私はこのオイカワで毛針釣りを学んだ覚えがあります。

まとめ:「生活に密着する」という魅力

中流域の魚たちは、人間の生活圏から出ることなく触れ合うことができ、古くから親しまれると共に、我々の体験や思い出に深く結びついています。
人間の領域に近い彼らは、上流域の魚以上に我々の生活の変化による影響を受け、その分布や生活、交雑の変化を起こしています。私は環境保護論者ではありませんが、古来からの人と魚、川の関わり方が常に変化していることを最も意識させてくれる存在が、この中流域の魚なのかもしれません。

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