たかが百円、されど百円
こんなみみっちい話をしていいのだろうか、と思う。
学生時代、そこまで親しくない友人から「百円貸して」と言われた。
「あ、これ、返ってこないやつだな」と思った。
そして「こっちから『返して』とも言えないやつだな」とも思った。
千円なら催促しやすいが、百円は催促しにくい。
小学生同士なら催促しやすいが、当時の私は大学生だった。
もちろん貸した。
当然返ってこなかった。
百円が惜しかったのではなく、裏切られた気持ちになるのが残念だった。
大して親しくもなかったことから、その友人のイメージはいまだに「百円を返さなかったコ」のままだ。ホントにそのイメージしかない。
それ以降、小銭の持ち合わせがない人から「ごめん、ちょっと貸して」と言われると、私は「あげる」と言って渡すようになった(もちろん少額の場合に限る)。
相手は目を丸くして、「いや、いや、返すから」と慌てる。
いや、だってアナタ、返さないでしょー?
アナタを「お金を返さなかった人」として私の記憶に刻みたくないの。
それに「あ、やっぱ忘れてんなー」とか思っちゃうのも煩わしい。
あげたことにした方が、裏切られた気持ちにならないし、気もラクだ。
「たかが百円」でも、意外と人の信用に影響を及ぼしかねないと思う。
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