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燕のような旅と人生を語る(3-50)

こちら朝から雨が降っています。昨夜は日中のジムが効いたのか、とても早い時間から横になりました。

少し贅沢に朝風呂に浸かり、読みかけていた沢木耕太郎氏の「旅のつばくろ」を読み終えました。

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〈沢木耕太郎、日本を旅する〉つばめのように軽やかに。そう、人生も旅もーー。沢木耕太郎、初の「国内旅エッセイ」
旅のバイブル『深夜特急』で世界を縦横無尽に歩いた沢木耕太郎。そのはじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。あの頃のように自由に、気ままに日本を歩いてみたい。この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩いてみようか……。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評を博した連載が待望の単行本化!(Amazon内容紹介より)

TBSのTV番組「東大王」に出演していた水上颯さんも、好きな著書に上げていた「深夜特急」の著者沢木耕太郎氏において、国内旅のエッセイを書くのが初めてだったというのに少し驚きました。


夢の旅/縁、というもの/贅沢の効用/近くても遠いところ/皮膚が変わる/絵馬の向こう側/朝日と夕日/点と線と面/がんばれ、宇都宮線!/心の華やぎ/終着駅/風の岬/なりつづける/人力飛行機/赤と青/最後の一瓶/ごめんなすって/太宰の座卓/初めての駅、初めての酒場/兼六園までI/兼六園までII/床しさや/小さいけれど/葉桜の季節に/情熱についてのレッスン/今が、時だ/旅の長者/子ネズミとばったり/臨海と林間/もうひとつの絶景/水で拭く/寄り道の効用/過去への回路/浄土ヶ浜から/あの夏、私は……/書物の行方/車中の会話/駱駝に乗って/一瞬と一瞬/雪/夜のベンチ/あとがき(本書目次)

主に北・東日本が中心となっているのは、やはりJR東日本の新幹線車内紙に連載されていた事が理由でしょう。

しかし旅のエッセイらしく、ひとつひとつの旅が繋がっていて、観光地をめぐるだけでなく、その土地でハプニング、交流のあった方との思い出等々をさりげなく入れてあるところに、さすがだなという感じでした。

人生のうちで、面として知っている土地をいくつくらい持っているか、それは人生の豊かさということに直結しているような気がする。東京以外に面として知っている土地をほとんど持たない私は、ある意味で貧しい人生を送ってきたと言えなくもないのだ。(点と線と面)
生きていくということは、そうした後悔をしながら歩むことなのだろう。後悔なしに人生を送ることなどできない。たぶん、後悔も人生なのだ。(兼六園までⅡ)
どちらかと言えば、私は旅運の言い方だと思うが、それも、旅先で予期しないことが起きたとき、むしろたのしむことができるからではないかという気もする。たぶん、「旅の長者」になるためには、「面白がる精神」が必要なのだ。(旅の長者)

まだまだ、心に残ったフレーズがたくさんあります。

「学生の頃から単独行動を好む、極めて扱いにくい人間」と語る著者ですが、そういう人だからこそ、旅先でのほんのちょっとした出会いや、お世話になった方への思いは強く、人柄がにじむ出ている作品でした。

さらにcovid-19の影響で、高齢者は旅というものから遠ざけられてしまった感がありましたが、こうやって旅のエッセイで旅した気分も味わえました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

木曜日、週も後半に入りました。今日という日が、あなたにとってかけがいのない1日でありますように。



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