国が本気で取り組まなくてはならないのは「便秘」なのではないか。

「便秘の人は、便秘でない人よりも欠勤が多く、経済的損失は年間約122万円に相当する」

米国消化器学会で兵庫医大などの研究チームがまとめ発表されたとか。

「便秘」とはあまりにも良く聞く言葉である。

便秘という言葉を知らない人はいないほどだろう。それはもうカフェであれ何であれ「便秘でさ~」と気軽に話されるほど珍しくないモノなのだ。

それがなんと経済損失にまで話が広がるという。

恐るべし「BENPI」である。(特に意味はないローマ字・・) 

日本人の便秘もちの人は全体の2~5%程度と言われ,男性(2.5%)よりも女性(4.6%)に多いと言われている。年齢が上がるとその人数は増加し,80歳以上では男女比が同じになるとか。

でもこのパーセントを見て、恐らく医療福祉、特に在宅や施設で働く職員は耳を疑うことだろう。感覚的に言って「ほとんどの人が」便秘薬を飲んでいるし、その便秘に対する応対たるや、もはや「出産」ですか!という状態で声掛けしていることも多いからだ。もっとパーセントいる気がする。。 

私も身内にひどい便秘持ちの人がいたが、施設に会いに行くと、部屋のトイレからスタッフの声掛けが響いていた。

「もう少しよ!もう少し!だいぶ出てきましたよ!!」

「はい力入れてーーーー!!!」

「出ましたよー!!!」

このまるで出産シーンのような声掛けは全国各地毎日どこかでなされているのではないかと思う。

また訪問リハビリへ行く日にちょうど便秘3日目などという日に当たるとそれはもう悲惨で、ご本人はもはや便秘のことしか頭になく、便を出してほしい!ということが一番の望みであり希望であり、辛さでもあり苦しみなのである。 

そうなると頼りになるのは座薬や摘便ができる看護師さんの出番であり、上手に敵便する看護師さんへの信頼たるやすごいものがある。

またあの「出た」後の幸せそうな顔・・・。

便秘を制する者は若い時代には良く働き、悩みも少なく、年を取っても苦しみが少なく、健康・幸福寿命の時間が増えるのではないだろうか。

誰か研究しませんか。

しかし「便秘」という定義はなんだろうか。3日以上出てないと「便秘」というイメージがあるかもしれないが、1日出てないだけでも「便秘だ!便秘で苦しい!」と訴えてくる患者さんたちも少なくない。

日本内科学会では「3日以上便が出ていない状態」に加え、「毎日便が出ていても残便感がある状態」と定義している。また日本緩和医療学会では「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」とし、「出ない」だけでなく大変さに関しても加えられている。薬剤の副作用でも便秘になる場合も多く、便秘に対する定義は診療科によって少しずつ異なるようだ。

いずれにしても日数だけではなく「便秘」には様々な状態があり、便秘だと日々訴えてくる患者に対し「昨日出てるじゃないですか」とか「またですか?もう出ないと思いますよ」など心無い言葉を医療者はかけるべきではない。

実際摘便だけのために訪問看護師が自宅訪問しているようなケースも少なくない。介護家族にとってはトイレでずっと踏ん張っている家族にいつも気を揉んでおり、便が出るまで時にイライラが止まらない場合には、介護の負担に加えて心身共に便秘対応で疲れていることも多い。

ゆえに便秘は深刻な社会問題と言っても大げさではないと思う。

「便秘」

国をあげて、医療界全体で、もっともっと取り組んで欲しいと思う。

私自身は今のところ便秘ではないが、いつかお世話になるかもしれないので。








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