明治維新に道を拓いたキーマン阿部正弘?

『阿部正弘 ー日本を救った幕末の大政治家ー』(祖父江一郎、PHP文庫、2002年)読了。

画像1

 以前読んだ『0から学ぶ「日本史」講義【戦国・江戸篇】』で江戸幕府の老中首座という行政トップとして、のちの明治維新につながる数々の改革(といえるような)施策を打ち出し実現していった「阿部正弘(あべ・まさひろ)ってどんな人?」という疑問を解消しようと読んでみた。サラッと読みたかったんで、小説を選んでみた。

 結果、読み易かったのでよかったんだが、本当の人物像を知るためには、よかったんだか、悪かったんだか・・・正直不明。司馬遼太郎が以前どこかの講演会で話していた「歴史小説とは、ファクト(事実)というカードをできるだけたくさん集めて並べ、その隙間をイマジネーション(想像)でつないでいって、トゥルー(真実)を紡ぎ出す作業」といっていたが、この小説は、ちょっとファクトのカードが少ない感じを受けた。

 とはいえ学びを整理すると
・水野忠邦(天保の改革)の活動期を重なって、そのすぐ後の時代に活躍。
・「開国・富国・強兵」のグランドデザインを辛抱強く、道筋をつけていく。
・若い時期から活躍し(22歳で寺社奉行)、39歳の若さで亡くなってしまう。

 享保の改革、寛永の改革、天保の改革など、改革と名前のつくものほど、実際のところ改革でもなく保守反動やただの緊縮だったりしたわけで、その意味では、阿部正弘のやった海防掛などでの身分でなく実力本位での登用や講武所(のちの陸軍)長崎海軍伝習所(のちの海軍)、蕃書調所(のちの東大)の開設などの方が本質的な改革であったようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?