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[人生にはBarが必要だ] 第10回 東京湯島 Barうなばら

東京湯島へ。学問の神様、菅原道真公の御偉徳を慕い、文道の大祖と崇め奉祀し、学問の神社とも言われる美しき湯島天神(正式には湯島天満宮)を構える江戸人情溢れる街である。

湯島のBarと言えば「EST!」や「琥珀」など老舗のBarが軒を並べ、全国各地からBar好きなお客様がお酒を楽しみに来湯なさっているが、それらのお店とは一味違ったベテランの湯島っ子たちの集まるお店がある。

店内天井には無数のボトルラベルが貼られ、カラオケが置いてあるなんて所もいかにも下町湯島のバーらしい佇まいがたまらないお店、Barうなばら。

昭和48年に開店し50周年を迎えたが、開店以来通う常連さんや御輿好きな店主を慕って来店なさる担ぎ手達などが集い、杯を酌み交わすのは銀座や赤坂などではなかなか見ない光景であろう。

オーナーバーテンダーの中野 文博氏は昭和19年生まれ。大学を卒業後、まずはサンフランシスコでバーテンダースクールに通い、有名日系レストランでのバーテンダーを皮切りに、ニューヨークでバーテンダーとしてのご経験を積み、その後ヨーロッパではワインに明け暮れ、日本への帰国後に湯島でワイン洋(うなばら)をオープンし、現在に至っているダイビングと神輿が大好きな老練のバーテンダーであり、店名の「うなばら」はまさに中野さんの大好きな海が由来となっている。

オーナーバーテンダー 中野 文博氏
カクテル:白梅(しらうめ)
79歳の今でも沖縄などでダイビングを楽しんでいらっしゃいます

そんな中野さんが作るカクテルで一番有名と言えば、昭和52年に仙台市のホテルリッツで開催された第4回日本バーテンダー協会全国バーテンダー技能コンクールで創作カクテル部門第1位に選ばれた作品であり、湯島天神の境内に咲く白梅をイメージして創作したオリジナルカクテル 白梅(しらうめ)。甲類焼酎にホワイト・キュラソーと酢橘を加え、シェイクした液体をスノースタイルのショートカクテルグラスに注ぐ美しい一杯。

また、中野さんが米国へ渡航なさった際に乗船した船名からその名がネーミングされたカクテルとして、平成元年にメルシャン社主催の第2回全国ピーチツリーカクテルコンペティション第3位に入賞した作品「オリエンタル・パール」などもおススメの一杯である。

また、お店の名物ともなっているもつ煮込みのお通しも外せない逸品であり、パラっと唐辛子をかけていただくとハイボールやビールにもピッタリなアテとなる。

ワイン洋(うなばら)時代の入口

現在お店は中野さんと奥様のお二人で営んでおり、お二人には20年以上お世話になっているが、過去にはこのお店からカクテルコンペティションで入賞したバーテンダーも輩出しており、いつもそこには中野さんの指導の下、練習するバーテンダーの姿があった。

コロナ禍で中止となっていたが、春になると中野さんなどベテランバーテンダーの皆さんの音頭で、上野公園のうえの桜フェスタに屋台Barを例年出店し、美しい桜を眺めながら飲むというのが楽しみであったが、来春には久しぶりに再開させる計画をしているとのこと。桜の下で飲むチェリーブロッサムが秀逸でしたね、なんて話で中野さんと楽しく盛り上がりながら、湯島の夜は更けていくのであった。

人生にはBarが必要だ。

Barうなばら
〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目38-3 まつばビル2F
電話: 03-3831-6677

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