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ALL YOURS × やってこ!シンカイの「お店2.0会議」を見たよ。

昨日Facebookでライブ配信されていた「お店2.0会議」。
ジモコロBAMPの編集長柿次郎さんと、ALL YOURSの代表木村さんが
・そもそもお店1.0の仕組み大変すぎない?
・お店2.0はどんな定義でやるの?
・やってこ!シンカイ始めてみてどう?
・ALL YOURSは今後どうなっちゃうの?
・そして商店街2.0へ…
という内容でお話してくれました。

いつか「お店」をやりたいと思っている人。
今「お店」をやってる人。
ローカルでなんか面白いことやりたいけど食っていけるか心配な人。
見たらいろいろ参考になると思う。
そして最終的に「長野」「シンカイ」に行きたくなると思う。

そもそも「お店2.0」ってなによ?って方はこちらの記事をご覧ください。
「小売業の利益を求めない!新しい価値観『お店2.0』を始めます」
それから昨日のライブ配信の映像を見るとより楽しく、より理解できるんじゃないかなと思います。

それでは僕の感想をだらだらと書いていこうと思いますのでお付き合いください。

作りたいのは「モノを売るための店」じゃない。

まず僕がおもしろいなと思ったのは木村さんのお店に対する考え方です。
木村さんは「モノを売る場所」としてではなく、「コミュニティ形成の場」としてのお店を作りたいと考えたそうです。
それはたとえば「同じ釜の飯を食う」という体験を通して店員とお客さんの接点を近づけることで、より仲良くなれる場所をつくる。みたいな感じらしいです。

(写真は先月池尻大橋にオープンしたばかりのALL YOURSの新しいお店。)

この話を聞いていて「そんなお店どっかにあったような気がするなぁ」と思ったら知り合いのパン屋さんがそんな感じでした。
街から離れた自然豊かな里山の麓で、自分の親よりも年上のご夫婦がやっているパン屋さん。
パンを買いに行くと「ちょっと座って待ってて!今コーヒー淹れるから!」と言ってコーヒーを出してくれる。
そしていろんな話を聞かせてくれたり、自分の話をしたり、長いときは1時間以上もお話することもあります。
いつのまにかパンの方が「おまけ」で、おじさんとおばさんの顔が見たくてお店に足を運んでいるような…(もちろんパンも本当においしいよ!)
僕以外にもそういうお客さんがたくさんいて、そういうファンがたくさん集まるお店だからあの場所で長く続けれてるんだと思います。
「パンを買う」こと以上に、「パン屋さんと話す」というコミュニケーションに価値を感じていたんだなと、木村さんの話を聞いて納得しました。

ただ、自分がもしお店を始めるとしたらどうするかを考えると、やっぱり商品を売るためにどうするかばかり考えちゃいそうだなと思いました。
だって怖いから。
人を集めることに時間とお金と労力をかけて、結果商品が売れなかったら…?だったら他に何か良い方法があるんじゃないか?もっと確実に、直接的に商品を売る方法があるんじゃないか?ってそればかり考えちゃいそう。
その怖さとかを振り切ってるから「やってこ」の人たちは凄いんだよな。
頭でわかっててもなかなか踏み出せないからな。普通。

ウェブで活躍する人ほどローカルでリアルなコミュニティを持つと強くなる説

「やってこ!シンカイ」は、もともとある稼ぎ口を残したままお店を始めるという新しい働き方のモデルケースになるのではないか?と木村さん。
ウェブで有名になった人がローカルでリアルな関係性を持てるコミュニティを形成できれば、ローカルでももっとやっていけるのではないか?ということらしいです。
たしかに、柿次郎さんみたいに東京でやってた仕事(ライターや編集)を持ってローカルに飛び込んで、そこで自分のコミュニティを形成できればすげー強いなと思う。

そしてこの話を聞いて思い浮かんだ人が2人います。
1人目が「イケハヤ」さん。

イケハヤさんはまさにこれだろうな。なんか今コミュニティ作ってるみたいだし、会おうと思ったらわざわざ山奥まで行かないと会えないらしいし。そうやって地方に引きこもることで自分自身の価値を高めてるんだろうな。

そしてもう一人、立花美咲さん。

noteのフォロワーが500人近くいる立花さん。
僕も立花さんの書く文章が好きです。
一見普通のことでも、大事に大事に書いている感じがして、すごくグッと来る。
北海道の下川町に地域おこし協力隊としてやってきた立花さんは、自らいろんなところへ行って、たくさんの人に会い、コミュニティを形成し活動領域を広げていて、それを活かして地域に良い風を吹かせているなぁという印象。すごくかっこいい。

単純に「有名な人がローカルに来た」ということだけでは、瞬間最大風力を上げるだけで、長く良い風を吹かせることにはつながらないと思います。
「ローカルでコミュニティを形成する」こと、そして「わざわざ会いに行きたくなる人になる」ことで、地域に良い風を吹かせ続けながら、自分自身の価値を上げていくことができるんだな。きっと。

人材育成の場としての「お店2.0」

シンカイという場所を使って柿次郎さんが始める「やってこ!シンカイ」という「お店2.0」は、柿次郎さんの会社Huuuu所属でジモコロなどでも記事を書いているウェブライターのナカノヒトミさんという方をスタッフとして運営するっぽいです。
これは、仕事の達成感のサイクルが長い記事制作という仕事と、達成感のサイクルが短い店舗での仕事を掛け持ちすることで強くなるのでは?という柿次郎さんの狙いがあるようです。

木村さんはこの点を「強制パラレルキャリア」と表現していて、人材育成に適していると言います。
普通のパラレルキャリアは雇用主(もしくはクライアント)が複数いて、その間で板挟みになって働きにくくなったりするけれど、「やってこ!シンカイ」の場合は柿次郎さんという1人の雇用主の下で「記事制作」と「店舗運営」という2つの仕事をするわけだからそのやりにくさが解消されるということです。

さらに木村さんは、サブスクで会員になってくれてた「やってこ!シンカイ」のお客さんに、そのスタッフの人材育成の過程をフィードバックしていくと良いのでは?と提案しています。
ローカルで有名になった人が、若い人をフックアップしていくリアルな場としても「お店2.0」が機能するってことらしいです。

僕は普通の会社で働いたことがないから、人材育成とかよくわかんないんですけど、いろんな仕事をさせてもらえるのは絶対自分のスキルアップになるだろうなと思うし、単純に食い扶持を増やせるのはいいなと思います。
あと、尊敬できる人とか、「やってる」人から学べる環境がローカルには圧倒的に足りないので、そういう意味でもこういう場所があるとすごく良いな。

長野はローカルなのか

さて、長野県ではじまる小売の新しい形「お店2.0」。
個人的な感想をいろいろと書いてきましたが、書いていて僕はある疑問が浮かびました。

「ていうか長野ってローカルなのかな?」

7〜8年くらい前にゲストハウスで働くようになってから、「ローカル」という言葉をまわりでよく耳にするようになって、ネットやテレビなんかでもよく目にするようになりました。
そんなとき、必ずと言っていいほど登場するのが長野です。
これは長野の地理的優位性が大いに関係していて、東京からの距離もちょうど良くて、まわりの県からも人を集めやすい。
だからローカルが注目され始めた頃からみんなこぞって長野へ移住したり、長野で素敵なお店をはじめたりしてるのかなと。
これはマジで素晴らしい流れ。

ただ、北海道の僕から見ると長野はもう「ローカル飽和状態」に見えます。
長野のローカル感が食い尽くされているような感じ。
個人的な感覚としては、長野はローカルに興味があったり、ローカルっぽさを楽しみたい東京の人が気軽にそれを体験できる「お試しローカル」なんじゃないかと思ってます。
一応書いておくと、批判とか否定とかそういう気持ちはまったくありません。
なんなら自分も長野に行きたいし、行ってみたいお店や会いたい人がたくさんいるし、住んでみたいなと思うくらいです。
じゃあ何が言いたいかというと、ここまで来ると長野は「ローカルの殿堂入り」というか、もうローカルであってローカルでないような気がするんですよね。ローカルに興味のある若者たちに「とりあえず長野に移住したらなんかいい感じになりそう」って思われちゃってるというか。
それって、一昔前の田舎の若者が「とりあえず東京に出たい」って思ってたのと同じような感覚なんじゃないかなって。
だとしたらやっぱり長野はもうローカルとは言えないのかなぁなんて思ったりしました。

でもこれはそもそも「ローカル」をどう定義するかによるから、どうでもいいと言えばどうでもいい話なんですけどね。
とりあえず長野行きたい。シンカイ行きたい。

ということでもっと書きたいことはあったけど、以上が僕の感想です。
柿次郎さんがお店を始める理由とかも面白かったし、「商店街2.0」の話とかももっと聞きたかったです。
新しい小売業の形を作り上げていく過程を見れるのってワクワクするし、おもしろい。
次回の「お店2.0会議」も楽しみにしてます!

【追記】
このエントリーと同じタイミングでシンカイの小林隆史さんがエントリーを公開しました。
こちらも是非見て下さい。
行ったことないのなんかすげー感動した。


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