NO

「記憶をつかさどるなんとかっていうところをスコーンと引っ叩くと、記憶があるだけスポーンと抜けて、あんなこともこんなことも、彼も彼女も、そこもあそこも、好きも嫌いもなくなっちゃうんだ」

「なくなっちゃうんだ」

「そんなわけだから思い切って、どうかひとつ」

「いいの?」

「どうかひとつ」

「本当にそこでいいの?」

「というと?」

「本当にお前のカリアゲを俺の金属バットで思いっきり何回も殴りつけていいの?」

「何回もはちょっと。あと、金属バットもちょっと」

「そっか。俺もお前に忘れられたら困る」

「それは大丈夫。空っぽの俺がまず最初に出会うのはそばにいるお前だから」

「そっか。ならまた仲良くなろう」

「ああ。じゃあ、また。……あ、だから、金属バットはちょっ

「…………あーあ」

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