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【お題・シナリオ】生徒Bはお腹がすいた(4,374字)【投げ銭】

【前回のお話】

――朝の教室。

生徒A「腹減ったわー。いま学校着いたばっかやけどめっさ腹減ったわ!」

生徒B「いや、腹減った以前におまえ、体に弓矢刺さりまくってるし脳天に大剣ぶっ刺さってんぞ! 体も切り傷だらけだし、腹減ったどころじゃねえだろ、どうしたん⁉」

生徒A「あー、これは気にすんな。道歩いてたら通行中のアーチャーとバーサーカーとアサシンに襲われちゃって」

生徒B「そんな道歩いてるだけでFGOのサーヴァントみたいなのに襲われるようなことあるか!? ってかそんだけズタボロでよく生きてられるなおまえ」

生徒A「鍛えてますから。やっぱ筋肉は裏切りませんなあ」

生徒B「筋肉だけじゃあどう見ても防ぎきれんだろそのダメージ」

生徒A「せやで。素人は筋肉だけで防ぎきれんからな。筋肉界でもこれができるのは、俺と武田真治だけだからな。良い子は真似しちゃダメだぞっ☆」

生徒B「真似できるか! てか、武田真治も真似できるか!」

生徒A「そんなことよりまじ腹減ったわー。朝プロテインしっかり飲んできたんだけどなー。サラダチキンも10kg摂取してきたのにな」

生徒B「ぜんぜんブレねえなおまえ。てかサラダチキン10kgて。そんな食ってたら逆にデブまっしぐらやろ」

生徒A「ノンノン。良質なタンパク質ですから、どれだけ食べても0カロリー」

生徒B「そんな、サンドウィッチマン伊達さんのカロリーゼロ理論みたいなの現実ではありえないんよ。てか、もう授業始まんぞ。絶対早弁とかすんなよな。叱られても知らねーぞ」

生徒A「それはキミ、フリですよね。ぜったい早弁してくださいってフリですよね。オッス、オラ早弁すっぞ!」

生徒B「あのな……どうなっても知らんからな」

生徒A「早弁王に、俺はなる!(ドンッ)」

生徒B「はいはい、いいから席着け! もう先生くるぞ!」

(ガラッ)

先生「はい、おはよう生徒諸君。まずは先生から注意事項がある。今朝、道端でアーチャーやバーサーカーやアサシンに襲われた生徒がいるそうだ」

(ザワザワザワ……)

女子生徒C「えーっ、マジで、信じらんない!」

女子生徒D「誰が襲われたのかしら……」

生徒B「え、生徒Aの話って、マジやったん? てか、襲われた生徒って、どう見てもコイツやん、生徒Aやん! 何でみんな気づかんの?」

生徒A「パクッ、パクパクパクパク!」

生徒B「って、おい、おまえソッコーで早弁しとるやん! しかも隠す気もなく堂々と!」

生徒A「ウマッ! このカズノコウマッ! イセエビも最高!」

生徒B「しかもお前の弁当、おせちかよ! どこの世界におせちを弁当で持ってくるやつがいるんだよ!?」

先生「おい、そこ、うるさいぞ! お笑い芸人のツッコミみたいなセリフ吐いたやつ、誰だ!? 静かにしなさい!」

生徒B「す、すみません……(えーっ、俺だけ注意されたの何で!?)」

(ザワザワザワ)

女性生徒C「てかさ、昨日の春場所見た?」

女子生徒D「見た見た! 関脇、すごい突っ張りだったよねー」

生徒B「(いや、教室全体、まだザワザワしとるやん! しかも何で女子が相撲の話題で盛り上がってんの!? 腑に落ちない、腑に落ちないぞ!! ツッコミ入れてぇ! こんなにツッコミ入れたいと思う瞬間が今まであっただろうか!? いや、無い!(反語))」

先生「えー、じゃあ、そういうわけだから、みんな、襲われないように気を付けろよ。襲われたときは、すぐ先生に言いなさい。じゃあ、朝テスト始める」

(ザワザワザワ)

女性生徒C「えーっ、朝テスト⁉ 超カッタリィんだけど」

女子生徒D「カッタル過ぎてカタールになってしまったわ。カタールになってしまったのよ」

生徒B「いや、おかしいだろ! 襲われてから報告なんてできんやろ! しかもなんでその流れで朝テスト⁉ てかさっき女子の中に自分のことを大蛇丸(おろちまる)だと思ってる一般人の方いらっしゃいませんでした⁉」

先生「こら! だれだまたお笑い芸人のツッコミみたいなセリフ吐いたやつ! 静かにしなさい!」

生徒B「あ、はい、失礼しました……(えーっ、だからなんでツッコミ限定で注意されなきゃならないの!? 腑に落ちない!! 絶対腑に落ちない!!」

生徒A「うんめぇ~! この栗金時めっさうんめぇ~!」

生徒B「……(しかも、こいつ、いつまでおせち食べてるのーっ!? ツッコミてぇ、ツッコミてぇーっ!!)」

――放課後の教室。

生徒B「はぁ、はぁ、はぁ……」

生徒A「ん? どうしたん? めっさしんどそうやんけおまえ。黒豆うんめぇ~!」

生徒B「そりゃ、一日中ツッコミ我慢してたからな……てかおまえ、いつまでおせち食ってんだよ。早弁したのになんで放課後までオカズ残っとんねん」

生徒A「あっし、大好きなものは一番最後まで残しておくタチでして」

生徒B「それにしても昼休み中までには食べきっておけよ」

生徒A「いやあ、でもおせち食べ終わったらお腹空いてきましたなぁ。これからラーメンでも食べにいかね?」

生徒B「ああ、ラーメン……? まあ、別にいいけど」

生徒A「って、オイ! そこツッコミ入れるとこやぞ! なんでおせち食べ終わったばっかでもうからお腹空いてんねんって言うところやないか!」

生徒B「……」

生徒A「ん? あれ、どうしたの? おーい、起きてる? おーいってば」

生徒B「うっさいわボケ!

生徒A「……え?」

生徒B「あんのなぁ……今日一日中、ツッコミ禁止されてたんやから、もうツッコむのもアホらしくなったんじゃ! しかもそんなパンチの弱いボケにいちいちツッコミ入れられるか! ワシもそんなに暇やあらへんねん!!」

生徒A「わ、わ、す、すみません……そ、そんなに怒らんといてください……ね? ラーメン食べて仲直りしまひょ? ワタクシめが奢りますゆえ」

生徒B「当たり前じゃボケ! きょう一日、テメーのせいで散々ストレスたまっとんねん! 学食のやっすいラーメンとかやったら許さへんで。食べログ評価3.5以上の人気ラーメン店の一杯奢るんやぞ、ええな⁉」

生徒A「わ、わ、わかりましたぁっ!(コイツ、キレさせるとこんなにヤバいやつやったんけ……?)」

――ラーメン屋にて。

店員「いらっしゃいやせぇ!」

生徒B「ここ、ホンマ食べログ3.5以上の店かぁ? けったいな雰囲気やな……しかも店員、甲冑姿ってどういうことやねん。FGOのバーサーカーか?」

生徒A「うわ、こいつ、ストレス溜まりすぎてキャラ変わっとるやん。店にまでケチ付け出したやん。てか、確かにケチ付けたくなる雰囲気やけれども。なんで店員が甲冑姿? ……てか、ん? あいつ、今朝俺を襲ったバーサーカーじゃね!?」

店員「おやぁ、お客さん……その頭の大剣、どこで拾われましたぁ? それ、あっしの大剣なんすがねぇ……」

生徒A「やっぱお前、今朝のバーサーカーやんけ! 俺を……俺をブッコロバス気なんやろ!?」

店員(バーサーカー)「ブッロコバス? ……いやいや何をおっしゃってるやら。ぶっ〇す気マンマンなんですがねぇ……」

生徒A「うわ、こいつ、マジやん! せっかく人が婉曲表現使ったのに、ふつうにピー音入れてきたやん!」

生徒B「おいちょっとてめぇら! なにさっきから仲良くしてんだよ。こちとら腹減っとんじゃぁボケぇ! サッサとラーメン作らんかい!」

バーサーカー「あ、すいやせん、ただいまッ!」

生徒A「えぇ!? 普通にそこ、従うところなのぉ!?」

バーサーカー「あー、でも困ったな……チャーシューが切れない……」

生徒A「あっ、でも腕が止ってる! そうか、大剣が無いからか! いま俺の頭にぶっ刺さってるから……てか、別に大剣で切らないだろチャーシューは!」

生徒B「オラッ! 切るものならここにあるだろうが!」

(ズシュッ、ブンッ!)

バーサーカー「おお、あっしの大剣! ありがとうごぜぇやす」

生徒A「ぎゃーっ! いきなり抜かないで! 血がっ、血が止まらん! せっかく止まってたのに!!」

(ピューッ)

生徒A「ああ、もう……意識が……川が、川が見える……川の向こうに……ワシの推しアイドルが……」

生徒B「おい、そのネタ前回やったやろ。てか何で今さら三途の川が見えんねん。朝のあの段階で生きとるやつが、この状況でシヌかい」

生徒A「確かにそれもそうでした。てか、冷静なのかキレてるのかわからんなこいつ。ホンマにストレス溜まっとんのやな。怖いからしばらく喋らんとこ」

バーサーカー「はいお待ち! 毒入りチャーシュー麺一丁!」

生徒A「毒入り⁉ いや、毒入りって言うた⁉ ホンマにブッ〇す気マンマンやん!! ってか毒を盛るとか、手口がバーサーカーじゃなくてそれアサシン! バーサーカーだったら大剣でブッ刺せよ! てか、なんでボケ役の俺がツッコミ入れてんだよ!」

生徒B「ムッ……これは……すばらしい……トリカブトの出汁がきいて、なんて刺激的な味わい!!」

生徒A「てか、普通に食ってんなよお前!! トリカブトの出汁って、劇薬じゃん!! てか、なんでわかるの!? 食べたことあるの!?」

バーサーカー「おお、お客さん……この味がわかるたぁ、さすがですね……じゃあ、こちらはどうですかい? ベニテングダケマシマシトッピング」

生徒B「おっ、いいなぁ大将。そっちも追加で」

生徒A「ベニテングダケもマシマシ⁉ それはもう毒の宝石箱やん!! 彦摩呂も一瞬で激やせライザップやん!!」

生徒B「うるせぇ生徒A。テメーもさっさと食えよ、麺が伸びるだろうが」

生徒A「いえ、遠慮しておきます! てか、それはボケて言ってんのか頭に毒が回ってラリって言ってるのかよくわかりません!!」

生徒B「ラリってねぇよ! ラリってるわけねぇ! 俺をラリらせたら大したもんすよ……ウッ(バタッ)」

生徒A「って、やっぱラリってたよ! ちょっと長洲小力入ってたよ! 解毒剤は⁉ はやく解毒剤ーっ!!」

バーサーカー「はい、解毒剤お待ち!」

生徒A「いや、普通にメニューみたいに出すやん、ありがとう!」

――帰り道。

生徒B「いやー、よかったー、生きてたわ」

生徒A「てか、あの店員、何がやりたかったんや。ブッ〇すとか言いながら普通に解毒剤効いちゃったし」

生徒B「俺のことは、別に〇すつもりなかったんじゃね?」

生徒A「あー、なるほどそうかー。だから俺の脳天にまた大剣ブッ刺さってるわけね。やつの狙いは俺かー」

生徒B「ははははは! ほんとだ、なるほどな!」

生徒A「あはははははは!」

生徒B「ははははは!」

生徒A「……」

生徒B「……」

生徒A「……なあ、俺、明日も生きていられるかな?」

生徒B「……」

生徒A「……」

生徒B「……あなたは死なないわ」

生徒A「……エッ⁉ おまえ、それはひょっとして……」

生徒B「筋肉が守るもの」

生徒A「デスヨネ! 筋肉は裏切らないッ!」

生徒B「いや、何期待したんだよ、気持ち悪いな」

生徒A「別に何も! 何も期待してまへんがな! ……てか、さっきラーメン食べ損ねたんですけど! 腹減った!」

生徒B「プロテイン飲んでろ」

(つづく)


※本作は、「〇〇はお腹がすいた」というタイトルで作品を作るというお題のために制作した書き下ろしシナリオ作品です。

(画像出典:Free Images - Pixabay)

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