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学生インターン東南アジアでホテル経営#Ep.10 死にかけたホテルを救え!? 〜最後の審判〜

建物大家から退去命令が出てから数日が経つ。色々な噂を聞く。

・新しい借り手が見つかったらしい。
・建物大家の娘の旦那が、引き継ぐ。
・日本人のマネージャーが入って来たから、
 建物大家がこのままホテルがうまくいきそうだと考え、
 家賃引き上げのために鎌をかけた。
・いや実は自分のホテルがうまく行ってないのに、
 今貸しているホテルの運営がうまくいきそうだと思って、
 嫉妬して追い出そうと考えた。


情報が錯綜している。何が真実なのか。一つずつ考えていく。

上三つはありそうだが、嫉妬して…いやあ、そんなアホな話あるかあ⁇
(←ラオス人はそう言うところがある、らしい。。)

・新しい借り手か。
そんな話があると言う情報は今のところ入って来ていない。
だが立地がいいからなくはない。

・娘の旦那がやりたいと言っているから、モハメドを追い出す。
家族への情か。ラオス人ならやりかねないのか?

・家賃引き上げのため。これが一番ありえそうかな。でも、本当に出て行かれたら困るだろ。てかそんな強引な手を使うのか?



ん〜。わからん。エアコンの設置。修繕費の提供。突然の退去命令。
ここはラオスだ。日本だったらありえないことも、ここじゃありえないことが当たり前のように起きる。

論理的に考えれば考えるほど、わからなくなっていく。
というか間違っているんじゃないかと思ってくる。不思議だ。

だが彼らもバカではないはずだ。
おそらく、日本でいうところの当たり前とは逆方向に考えて、バカな答えにならない程度が正解なんだろう。何言ってるんだ?考えている自分もわからなくなっていく(笑)




とりあえず、お昼でも食べに行こう。たまには外でラオス料理でも。インド料理ばっかじゃなくて。。
教えてもらった。近くの食堂に行く。




カイト
「ふーぅ、ぬーん」


鳴き声じゃないよ(笑)
ヌードル1つね〜。という意味だ。


最初に、
おしゃれにいうと野菜スティックみたいのが必ず出てくる。


ディップして食べる。
悪くない。女性の皆様必見。ラオスの野菜は全て完全無農薬だから、体にもお肌にもいいらしい。

ふーぅがきた。おいししょう。



食べていると、ラオス人とアメリカ人の大家族がぞろぞろ入ってきて、同じテーブルについた。

ラオス人は英語が全然できないけど、彼らは海外に住んでいたらしく、英語がとてもお上手だった。一緒にご飯を食べて、最後に写真をパシャり。
とてもフレンドリーなご家族でした。😄


ホテルに戻ると、ちょうど建物大家とホテルオーナーが話をしているところだった。
何か書類のようなものを持っている。
少しして、建物大家の子分たちがぞろぞろとエアコンの設置にきた。
ホテルオーナーも続く。

カイト
「エアコンの設置はですか?」
「どこからですか?」

何も言わずに2階に上がって行く。

2階はある程度涼しいのでエアコンがなくてもお客さんは来ているが、
3階は最上階で熱がこもり暑いのでお客さんはゼロだった。
なのでエアコンの設置をするのであれば3階から、、そう考えていた。

カイト
「待って!待って!2階にエアコンを設置するのですか?」

ホテルオーナー
「ああ」

カイト
「エアコンを設置するなら、暑くてお客さんの入らない3階からにしようって
言ったじゃないですか!いくらで部屋を売るつもりですか!電気代が上がりますよ!!
これじゃあ電気代に押しつぶされて死んでしまいます!!!」

ホテルオーナー
「2階から終わらせるんだ」


はぁ〜?あれだけ言ったのに、なんでだよ


頼むから、やめてくれ。
という思いとともに、急いでレストランビジネスをしているお世話になっている方に電話をかける。

カイト
「無計画にエアコン設置を始め、こっちの話を一切聞きません。このままじゃあホテルが潰れてしまいます!」

彼は深刻そうな声で言った。
お世話になっている方
「何考えてるんだろうね。ほんとどうしようもないね。わかった。今日、ホテルオーナーと話をしよう?18時にそっち行くから。」

カイト
「こちらから、何かアクションを起こしますか?」

お世話になっている方
「いや、そのまま待機で。こっちから変に動くと余計に話をこじらせる恐れがあるから」

カイト
「わかりました。。」


今まで少しずつ積み上げたものが、
外部と内部からの大きな力によって崩れていくのをみて、悔しかった。

だが今は、待つしかない。
ホテルオーナーが何を考えているのか知らなければ。




18時、お世話になっている方が来た。

テーブルにつくと彼はホテルオーナーにこう言った。
お世話になっている方
「今日は時間を作ってくれてありがとう。
いろんな話が飛び交っている。
僕はね、彼を日本から送り込んできた責任がある。
最初に何が真実か見極めないと今後の対策が練れないから、
本当のことを全て話して。もし、嘘を言ったら怒るからね。」
彼は真剣な眼差しでそう言った。

ホテルオーナーは静かに話し始めた。
ホテルオーナー
「今月、家賃を払うためのお金が手元になかったので、
建物のオーナーには、「もう一つのレストランがあるバンビエンに
お金を取りに行って、必ず支払うからもう少し待ってくれ。」と
言ったけど、彼は出て行けって言った。
こういうことはもうこりごりだから、
1万ドルを受け取って出て行くことにするよ。
カイトにはとても申し訳なく思っている。
頑張っている姿を見ていてなかなか言い出すことができなかった、。」


あ、終わったのか、。
エアコンの設置に無頓着だったのも、もう決まっていたからかよ、。


お世話になっている方
「わかった。本当のことを言ってくれてありがとう。
とりあえず、カイトがこのまま何も言わずに出て行くのはさみしいから、 
明日一緒に頑張ってきたスタッフたちとご飯食べさせてあげて」

ホテルオーナー
「もちろんだよ。こちらこそありがとう」




お世話になっている方
「じゃあ、カイト何か美味しいものでも食べに行こうか。」

カイト
「はい。」


車に乗る。

お世話になっている方
「彼が嘘を言ったら怒るつもりだったけど、
どうやら嘘はついていなそうだね」

カイト
「はい、そのようですね、」


道の途中で渡してくれた。
彼は、必要以上にモノを与えない。
だが、必要な時に必要なものは提供してくれる。
あと経験はふんだんにくれる。


お世話になっている方
「何が食べたい?」

うーん、何が食べたいかあ、思い浮かばない。

お世話になっている方
「わかった。セタパレスのレストランに行こうかね」

カイト
「セタパレス?ですか?」


ラオスに古くからある伝統あるホテルだが、戦争によりオーナーが国外に亡命。
その後は政府が建物を引き継ぎ、宿舎?になったんだったかな?
どんどん荒廃が続いていったが、
莫大な費用と月日をかけて華やかな社交場として復活したんだとか。


セタパレスに着く。


わお、ドアマンがいるよ。ちゃんとユニフォームも着てるし👀

ホテルマン
「How may I help you?」

お世話になっている方
「予約してないけど席空いてる?」

ホテルマン
「yes, sir」

英語が流暢だ。ホテルマンとしてのトレーニングを受けているのか。立ち振る舞いがしっかりしている。

うちのスタッフとは大違いだな(笑)
でも、時間かければここまでもってこれたなあ。。

と思いつつ。テーブルにつく。


顔出しNGらしいので、雰囲気だけ(笑)


お世話になっている方
「好きなもの頼んでいいよ。
僕らはこの前コース食べたから、自分でコース作ってオーダーするね」


カイトはよくわからなかったのでコースを注文する。

カイト
「ここへはよく来られるんですか?」

お世話になっている方
「いや、最近からだね。ここのレストランは、シェフが変わってから美味しくなったんだ」

カイト
「そうなんですか」


ワインが来る。

久しぶりだ。やっぱりワインは美味しい🍷😋


こういう食事は、久しぶりだ😭


お世話になっている方
「ここはね、地元のホテルで・・・(先ほど説明した通りだ)。
なんだけどね、地元で有名なホテルって、
システムもマーケティングも資金力のある外資系が入って来ると負けるんよ。
外資系って恐ろしく完璧でね、
ここも新しくできた外資系のCホテルにどんどんお客さんをもってかれているんだ。
ここもいいんだけどね〜。マーケティングがあんまりしっかりしていないね」

カイト
「そうなんですか、こんなに綺麗なホテルなのに。」

お世話になっている方
「そうだ!ここでマネージャーとして働いてみるのもいいかもね。

   君のオプションは、
   1.今いるホテルの新しいオーナーと交渉して、そのまま続行する。
   でもね〜。建物のオーナーが最悪だからな〜。
   最悪な人と仕事をするととってもやりづらいんだ。

   2.このホテルで、働く。
   ここでマネージャーとして入ったら大出世だね(笑)
   もしかしたら、ここに来るのが運命だったのかもよ?😏 w」

   3.去年、やっていたサブリースの仕事を続行する。

   4.全く新しいホテルのマネジメントをする。
   ラオスでうまくいってないホテルは山ほどあるからね〜。」


う〜ん。考える。

だが一つだけわかることがある。
カイト
「ここでは、多分自分はうまく能力を発揮できないと思います。」

お世話になっている方
「どうして?」

カイト「
ここは、ほとんど完成されています。
建物、人、何もしなくても一定のお客さんは来ると思いますし、
変えるところが多くはありません。
自分にはまだまだ経験がなく、ここに入ったとしても力不足ゆえ、
あまりうまく立ち回れないと思います。
0%から50%にするより、50%から100%にする方が難しい。そうですよね?」

お世話になっている方
「そうだね〜。今いるホテルなんて0どころかマイナスだからね(笑)
 君ならうまくいくと思ったんだけどな〜。
 モハメドもいってたでしょ?スタッフも、自分も夢を見ていたって。
 こればっかりはな〜、、。」

カイト
「そうですね。
スタッフに夢を見せたのに、叶えてあげられなかったのは心苦しいです。。」

お世話になっている方
「カイト、物事にはね。意味のないことなんて一つもないんだ。
て考えるとやっぱりここで働くように繋がってたんだと思うよ(笑)」


前にもいったが、彼はドラマチックな展開が大好きだ。


カイト
「そうかもしれませんね(笑)
でも、とりあえず 今のホテルを退去してからどうしましょう。
せっかくゲットした寝床と毎日の食事を失ってしまいました(笑)」

お世話になっている方
「それは心配しなくていいよ。
うちのレストランの2階に部屋があるからおいで。食事も準備してあげるから。
とりあえず情報収集してから考えよう?ね」

カイト
「はい、ありがとうございます(涙)」




ホテルに戻る。

いつも通りだ。
何もかも。
スタッフも。
もう彼らとは会えなくなるだろう。無性に悲しくなった。

スタッフ
「ホテルクローズかい?」

カイト
「ああ、ごめん、せっかく頑張ってくれたのに。ダメだったよ。。」

スタッフ
「仕方ないよ(笑)」

カイト
「これからどうするんだい?」

スタッフ
「わからないね(笑)」

ホテルオーナーは、スタッフにろくすっぽ説明していない。
いつまでに退去して、彼らがこの先どこで働くのか、
それともバングラディシュに帰るのか。
全くどうしてちゃんと計画を立てて、彼らのことを考えてあげられないんだ!
そう思った。が、これ以上は首を突っ込むわけにはいかない。


いつもの部屋に戻る。
いつもの部屋だ。
ここに来てから、少しずつ自分の住みやすいように環境を整えてきた。自分で開拓して手に入れた”快適”だった。

シャワーを浴びにいく。
トイレ・シャワーは共用だ。
はっきりいって、贅沢な快適とは程遠い。
が自分にとって、これが”生活”だった。自分で変えて、手に入れた”快適さ”だった。

お世話になっている方は、レストランの2階に居候においでとおっしゃってくれた。
食事も出してくれると。

確かに、ここよりはるかに綺麗で快適で、”楽”な生活だろう。
でも、与えられた”快適”には、正直抵抗感がある。
自分の実家は快適だ。贅沢な生活だと思う。でも自分で手に入れたものじゃない。
与える側がしょっちゅう口を出してくるからうるさい(笑)
でもどうしようもないから、思春期のあの頃、大学に出るまでは我慢していた。
今は、だいぶ満喫しているけどね(笑)



さよならをした時の寂しいような、
胸にぽっかりと穴が空いたような気持ちのままベッドに入る。
明日は荷造りしないと...

to be continued...😢







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