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『投げない怪物』 柳川悠二

2019年夏の高校野球選手権岩手県大会決勝、花巻東との甲子園出場を懸けた大一番で、日本を代表する163km/h右腕、大船渡の佐々木郎希はマウンドに一度も上がらなかった。野手としての出場さえなかった。

結果、大船渡は花巻東に2-12の大差で敗れることになるのだが、大船渡の國保監督の選手起用の賛否に世論は真っ二つに割れ、一大議論を巻き起こした。

「エースと心中」の高校野球から「複数投手による継投」へ、高校野球は大きな転換点を迎えている。

大阪桐蔭、履正社、東海大相模などの私学勢と、県岐阜商などの公立勢の選手獲得の裏側なども、著者の柳川氏の広範囲に渡る取材によって、この本では明かされている。

投手の球数制限が設けられた、現在の高校野球のあり方に一石を投じる一冊である。

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