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旅の記憶 1994・夏 パキスタン 国境へ



30年前の夏
僕はパキスタンを目指し
カラコルムハイウェイを走っていた


シルクロードを旅する外国人のほとんどは
パキスタンへの入国を目指していた

今も政情が不安定なウイグル自治区
当時も決して安定していたわけではなく
旅行中も、ウイグルに外国人は入れないとか
国境を越えることはできないとか
今なら国境を越えられるらしい
なんて出どころのあやふやな情報が
旅行者の間では飛び交っていた


西を目指して旅を続けた僕たちは
カシュガルまで来たものの
そこからパキスタンへ行く
手段が見つけられずに
途方に暮れていた

そんな時同じホテルに泊まっていた
日本人の二人組が
車をチャーターして
パキスタンに向かうという

中国の天山山脈の山を登っていたという
その2人組はあらかじめとってあった
パキスタンのビザの期限が
数日後に切れるらしく
先を急いでいた

車をチャーターするのは
費用がすごく高くつくので
学生だった僕たちは
その選択肢を選べずにいたが

チャーターした車には
席に余裕があるからと
費用を抑えたい彼らは
割り勘ではなく
相場のバス料金と同じ負担で
車をシェアしてくれると言うのだ


僕たちはすぐにその話に飛びつき
翌日にはパキスタンを目指して出発した

運転手2人に登山家の2人
そして 僕とイサクとケンイチロウの
合計7人でランクルに乗り込んで
国境を目指した


チャーターしたランドクルーザー 当時チャーターできる車の中で
日本車は最高級(値段も高い)だった


中国からパキスタンへ向かうには
標高4000メートル級の峠を
越えていかなければならない

富士山の標高が3776メートルだから
普通の日本人にとっては未知の世界
当然僕にとっても



パキスタンへ向かう途中 大きな湖のようだが名前がわからない


パキスタンへ向かう道中
僕はその標高の高さに馴染めず
体調をかなり崩した

そのせいで
写真もあまり撮っておらず
日記も日付が書いてあるだけで
白紙のまま


当時の旅のことは
結構覚えているし
こうして記事を書いていると
色々と思い出すのだが

この時のことは断片的な記憶以外は
全く思い出せない

おそらく、体調を崩したせいで
車内でほとんどの時間を
寝て過ごしていたからかもしれない


このゲルを撮った時のことはうっすらと覚えている


記憶によると
この国境越えには2日間かけたはずだ

移動初日の午後くらいから
だんだん体調が悪くなってきて
後部座席に座っているのがしんどくて
ランクルの後ろの荷室スペースの
みんなのリュックの上で横になっていたことを覚えている

移動中も何度か吐き気をもよおし
車を止めて何度かもどした

固形物を食べるのを諦め
おかゆを食べた後も、戻してしまい
リュックの奥にいざと言うときのためにと
忍ばせておいた、カロリーメイトを食べたが
それも戻してしまった

どろりとした
甘ったるい黄色いペースト上のもの
を吐いた感触を覚えている


森林限界の2500m以上の高所では、植物の植生も変わり
背の高い植物はみられなくなる
遠くの山は、さらに標高が高くなり、真夏でも雪に覆われている



初日の宿は
2階建ての閑散とした建物で
部屋に転がり込み

山のスペシャリストの2人から
とにかく水分だけでも摂りなと
アドバイスをもらい

お茶、白湯、水の順に飲んだが
それらも全て吐き出してしまい
自分でもかなり深刻な状態だと認識していた

夜中に外で野犬が何匹も
けたたましく吠えていたのも
うっすらと覚えている



手前の山は森林限界を越えているせいか 
植物すら生えていない


翌日の朝
僕の体調を心配した2人が
高山病について説明してくれて
とにかく標高を下げるしかないから
このまま引き返す方が安全だよ

と僕の身を案じて
言ってくれたのだが

僕は頑なに、大丈夫ですと
車に乗り続けた


この景色は写真を見てもなんとなく思い出すだけで 本当にそこにいたのだろうかと言う感覚だ


遠くに見えるのはカラコルム山脈
世界第2位のK2を筆頭に60座以上の7000メートル以上の山を有する


イサクとケンイチロウ 多分休憩の時で僕は車のそばで見ていたのだろう


なぜが馬に乗っているイサク
僕も楽しそうに乗っているが
この写真を見ても、馬に乗る経緯も乗った記憶も全く思い出せない


この時の記憶は
高度障害の影響なのか

例えば登山家の2人との会話や
この湖のことや馬に乗ったことは
写真を見ても全く思い出せない

そんな状況の中
移動2日目
国境に辿り着いた


中国の国境を表す石碑が見えた

続く


いつも写真を見たら色々思い出すのですが
今回は何も思い出せず、昨日の記事と同じ感じになってしまいましたが、ご容赦願います。
あと、カラー現像苦戦中ですので、暖かい目で見ていただけると、、、


パキスタンに至る前
シルクロード編はこちらのマガジンにまとめてあるので
気になった方はぜひ見てみてください


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