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「ベイトマンニュース」About スコットランド①英国人の誇りと王室

さてこれから私たちが暮らしているスコットランドについて書いていきたいと思っているんですが、まず最初に大きな括りとして「英国」という国について説明しなければ、この国の独特な「誇り」を理解しにくいと思います。

日本人は「英国・イギリス」と呼んでいますが、この国の正式名称はThe United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)といいます。めっちゃ長いですよね。
通常はこれを略してUK(United Kingdom)と呼びます。UKはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4か国を総じたもの。United Kingdom (連合王国)ですから、これら4カ国は「王国」ということになります。
昔は本当にそれぞれの国に「王」がいた、完全に独立した王国だったようです。でも現在ではそれぞれに政府があり法律がある「国」だけど、医療や軍隊、年金などの経済の一部とロイヤルファミリーはUKとして統一する、という形をとっています。
難しいですねぇ。英国自体、日本より小さい島国やというのに、それは一つの「国」ではなく、あくまでも4か国の連合国ということです。そうなった背景には長い長い戦いの歴史があるのですが、その話は追々書いていくとして、理解としては、ヨーロッパの国々がEUとして世界に対面しているのと同じように、UKも世界に対面する際の統一された連合国という感じたと思っています。

The United(連合国)としてはアメリカも正式名称がThe United States of America(アメリカ合衆国)で、50ほどの州が集まったものを指しますね。
州にはワシントン州、カリフォルニア州、アリゾナ州など、いろんな州があるけれど、それらの州出身の人たちは「私はワシントン人」とか「カリフォルニア人」とは言わず、どこの出身であろうとも「アメリカ人」ですよね。
日本でもそれは同じ。大阪出身であろうが、東京出身であろうが、私たちは自分たちを「日本人」と呼ぶ。

それがUKでは違うんですよ。自分たちのことを「UK人」という人は誰一人おらず、それぞれの出身地から「自分はスコットランド人」とか「イギリス人」と名乗ります。
まぁ「州」や「県」は「国」とは異なるんやけど、イギリスやスコットランドだって「国」とはいえどもUKの中にいてこそ成り立っている位置づけで、完全に独立しているわけではない。私から見たら、イギリスやスコットランドは、実は「州」以上「国」以下の位置づけじゃない?と思うけど、そんなことを大きな声で言えば、この国の人たちからものすごいブーイングを浴びるでしょう。笑。
 
つまり英国人にとっては「スコットランド出身」とか「イギリス出身」とか、「ウェールズ出身」とか、ピンポイントなそこが彼らにとってはものすごい重要ポイントで、自分たちのことを絶対にざっくり「英国人・UK人」と名乗ることはあり得ない。出身地に、というか出身国にものすごく誇りを持っているんです。
もし英国でケンミンショーをやったら、きっとめちゃくちゃ盛り上がるでしょうねぇ。っちゅうか、戦いになるかもしれない。笑。

王室、ロイヤルファミリーも日本の天皇家とは異なります。いや、まぁ現在では英国の王室も国の中でただ一つの存在やし、政治に関わることもない、そんな立場としては同じなのかもしれない。
でもその成り立ちというか、起源がそもそも違います。
英国の王室は、日本でいう将軍家と同じやと思います。戦いの歴史の中で、最も強かった将軍(殿)がキング(王)となった。
しかし17世紀に起きた市民革命によって王室は維持することになったけど、「君臨すれども統治せず」という立憲君主制となりました。
ちなみに現在のチャールズ王はウィンザー朝の第5代王です。ウィンザー朝は106年続いている氏族。この後もウィリアム皇太子とその息子、と跡継ぎがいるので、まだまだ続いていくでしょうね。でももしも、仮に、英国が戦いの世になったとして、他の氏族の誰かが現キングを打ち負かしたとしたら、そのときは王朝が変わる、ということです。

現在では英国王室は日本の天皇家と同様に国の象徴的存在です。英国の他、14か国の英連邦王国及び王室属領・海外領土の君主、そしてイングランド国教会の首長です。
国民の中にはきらびやか(に見える)な王室を良く思わない人たちも少なくはないようです。だけど私がこの国で暮らしている中で感じる王室は、ただのお金持ちの国のトップではなく、国のために人生全てを捧げた、本当の意味での国の象徴であると思っています。特に昨年崩御されたエリザベス女王は、70年間もの長い間、国のために自分を律して責任を全うした、素晴らしい女王であったなぁ、と心から思います。

さて、次回はいよいよスコットランドについて書いていきますよ。


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