見出し画像

これからの時代に必要なのは、MAGIシステムみたいな会社なのかも

よく人間の可能性は無限、とか言いますね。
子供の頃はよくその手の話を聞いたものですが、歳をとって来ると色々としがらみも増え、肉体的精神的な衰えもあって、選択肢が狭まり、可能性とかという言葉とはとんと縁がなくなっていきます。
そしていつしか毎日同じルーチンも繰り返しとなり、そのスピードがだんだん遅くなってやがて死を迎えることになります。
でも本当にそうなのでしょうか?

人間の潜在的な可能性というのは、実はそのスペックだけ見ると自分が思うより、遥かに大きなものです。
例えば人の脳の記憶容量はシリコンメモリ換算で約1ペタバイト。
これは300万年分の新聞を全て記憶できる量に相当します。
又その消費電力あたりの処理能力は現在最高のスーパーコンピュータの100万倍だそうです。

このように人は誰しも、超最高レベルのスーパーコンピューターを搭載した状態で生まれてきます。
しかし多くの人はその性能を活かせぬまま、自分にはできない、やれないと決めつけ、不満ばかり言って、そのスペックのごく僅かだけ使った、なんら変わり映えのしない同じルーチンを繰り返し、毎日同じようなアウトプットだけをし続けて生きているのです。

なんとももったいないことだと思いませんか?
なぜ私たちは自分の可能性に気が付けないのでしょうか?
一体何が間違っているのでしょうか?

最近流行りのAIの進歩によって、コンピューターはマシンラーニング技術によって生データから人間と同様の学習をすることができるようになりました。
では人間の優位性は失われたかというと、実は逆で、研究が進めば進むほど、人間の潜在力が圧倒的にコンピューターを上回っていることがわかってきました。

例えば、AIのデータ処理プロセスは人間より遥かに正確で、サイエンスやビジネスにもその技術は活用されていますが、AI自身はデータそのものの正確性や結果の価値の判断をすることができません。

AIに関わる有名な話でゴドウィンの法則というのがあります。
最新のAIをネットに接続して学習させたら、16時間で反ユダヤ主義者になってしまい、結局シャットダウンせざるをえなかったと言う事例に基づくもので、AIは人間によるミームに引っ張られて、過った唯一解を出してしまうというものです。

つまり人間の脳の凄さとは、数理モデルによる唯一解ではなく、多種多様な解を出せるというもので、これは現在最高のAIでも実現が不可能なのです。

因みにAIの世界でゴドウィンの法則に対する解決策の一つに、別々の学習をしたAIが並列して演算し、複数の唯一解を出した後、最適解を探るというものがあります。
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」には独立した3台の超AIが合議制で戦略を決定するMAGIというシステムが出てきますが、これが並列AIの代表的な例です。

例えていえば会社というのは、要は超優秀なMAGIシステムのようなものだともいえます。

人ぞれぞれに多種多様な解があり、それが更に組み合わさって、最適解を導き出すのが会社という組織です。
それは時に間違った結論が出ることがありますが、一方で決してAIでは実現できないイノベーションを起こすこともあります。

もちろん、人間の世界でも軍隊のように誰かが決めた唯一解に基づき、一糸乱れぬ行動をする組織もあり、AIやスーパーコンピュータと同様、それが正しい場面においては、圧倒的な力を発揮します。
しかしそうした組織は従来のコンピューターと同じ弱点も持っており、過去のデータが通用しない場面では脆弱で、同時に決してイノベーションを起こすことができません。

そのために必要なことは、同じルーチンを繰り返すことではなく、何度でも異なるアウトプットに挑戦し、失敗を繰り返してラーニングし、そうして得られた多種多様な解答の中から、最適解を導き出せるチームにすることです。

これからの時代に必要なのは、そんな超優秀なMAGIシステムのような会社なのかもしれませんね。