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汚れなき人 最終回:真実

ゆづ「せんせー、私なんとなく将来の事決めたよ」

山縣「お!良かった!」

俺はあの日を境にゆりさんへの気持ちを封印した

教師として純粋に菅野と向き合おうと思っていた

ゆづ「私ずっとお母さんに似てない事がコンプレックスだったの。だけど、私はお母さんみたいな生き方はしたくないから、自立したいってずっと思ってて」

山縣「、、うん。でも似てるよ。二人は。一見歪みあって拒絶してるように見えて、二人とも異常なぐらい愛しあってる。俺にはそういう風にみえる」

ゆづ「えーなにそれw先生そんなに私のお母さんの事詳しかった?」

山縣「まさかw菅野の話をいつも聞いてるとだよ」

ゆづ「そうかなー。お母さんはいつも一瞬で人の心を掴むの。娘の私でもあれは才能だと思う」

山縣「それは、すごいね」

ゆづ「でも先生が初めてかもしれないなー。母よりも私を見てくれようとしたのは」

山縣「当たり前だろ。お前は俺の大事な生徒なんだ。」

ゆづ「私はそういう意味で言ってるんじゃないんだけどなー..」

山縣「はいはい。またそうやって大人を誘惑しないの」

ゆづ「先生が前に話してた教師を目指すきっかけになった人の事は今でも気になったりする?」

山縣「ま、まさか。名前も知らない人だったし」

思わず動揺して、持っていた手帳を落とす

ゆづ「え、落ちたよー。これ、、?」

すみれさんからもらった名刺だった

そこにアネモネの花を押花にしていた

ゆづ「このお店、、」

山縣「あーごめんごめん。このシオリ綺麗だろ?ある人にもらったんだよ。誰だったか忘れちゃったけど」

ゆづ「そっか。」

なんだろう、凄く心がザワザワした

知りたくないような凄く知りたいような

私が先生を好きなったのは、多分花のおかげだ

ふと思い出すとあの花がいつも何かのきっかけになっていた

母は人の顔を覚えるのが苦手だったから、いつも花の名前をつけて覚えてた

アネモネの花の名前を呼んでた人が確かにいた気がする

そんな事を考えたりもしたけど、すぐに考えるのをやめた

だって今はこの関係が凄く幸せだから

余計な詮索で壊したくない

だんだん先生もちゃんと私を女として見始めてくれてる気がするし、放課後の二人だけで過ごすこの時間がずっと続けばいいのになーとか思っていた

ゆづ「ねぇせんせいー先生ってどのぐらい彼女いないの?」

山縣「はい?」

ゆづ「あ、質問変えるね、私が先生と付き合える可能性はどのぐらい?」

山縣「お前なぁ、俺がそれをOKした時点で犯罪なのよ。俺が教師でいられなくなるってことなの。」

ゆづ「今はダメなのはなんとなく分かる。じゃー卒業したら考えてくれるってことー?」

山縣「うーん、、、まぁその頃にはお前もイケメン彼氏と付き合ってると思うけどなw」

ゆづ「なにそれー。私はこー見えて一途なんだからね!」

山縣「はいはい。待ってますよ。」

俺は正直菅野のことを気になり初めていた

だけど、この気持ちが純粋に菅野へ向けられたものなのかゆりさんの残像のせいなのか自分でもわからなかった

俺はプロポーズして玉砕されたあの日、ゆりさんが言った言葉が忘れられない

この母娘の複雑な愛情が俺が入ることで、余計捻れてしまうような気がして怖かった

俺は二人が幸せになって欲しかった

それだけは本当に心からそう思っていた


でも俺たち二人のこの不思議な距離感の関係を世間では許さなかった

教頭「山縣せんせい!校長が呼んでる、早く校長室へ!」

山縣「ど、どうしたんですか?教頭先生、、そんなに慌てて」

教頭「いいから早く。菅野さんにも連絡してるんだけど、繋がらなくて」

ゆづ「え?」

明らかにのけぞる教頭

教頭「き、君はいつからそこにいたんだ?早く帰りなさい!今すぐに!」

ゆづ「ずっといたし、それに菅野って私の事じゃないの?」

教頭「と、とにかく今はまだ何言えないから、帰りなさい」

山縣「菅野、、とりあえず今日は帰れ。」

ゆづ「え、でも。」

山縣「いいから」

ゆづ「...先生?」

山縣「行きましょう。教頭先生」

教頭「はい!」

校長室を向かう途中

教頭「菅野さんと同じクラスの横峯さんが、あなたと菅野さんが生徒と教師の関係じゃないんじゃないかってあなたとある女性がホテルに入るところを見たと言ってるんです。それが菅野さんなんじゃないかって。」

山縣「ぼくが、生徒をホテルに連れ込んだってことですか?そんなわけ、、、」 

教頭「で、ですよね、、だけど、横峰さんはPTA会長なので、厄介な人に目をつけられましたよ」

山縣「すみません。僕もいろいろ脇が甘すぎました」

山縣「だけど、僕たちは誤解されるような関係では誓ってありません」

教頭「も、勿論わかってます!でもそれを聞けてよかったです。」

(校長室)

横峯の母(PTA開帳)「やっとご本人がいらっしゃったわね。」

校長「山縣先生、来てもらったのは、、」

山縣「はい。お話は聞きました。何をどうしたらそんな話になってるのか分かりませんが、僕は教師として後ろめたいような事はしておりません。菅野は僕のクラスの生徒なので、可愛いのは勿論ですが、それ以上でもそれ以下でもありません。横峰さんも同じです。」

横峯「まぁ素直には認めないでしょうね。とりあえずこの写真見て頂けますか?」

正直ビックリした

ゆりさんと最後にホテルに行ったときの写真だった

角度からして、ゆりさんの顔は映ってなかったけど、僕の顔はバッチリ映ってた

いつこんな写真、、誰に撮られたんだ、、、

横峰「あらぁー?流石に証拠突きつけられて焦ってます?」

山縣「確かに、ここに映っているのはぼくです。ですが、この女性は菅野さんではありません。」

横峯「まぁそう言いますよね。でも娘たちの話だと毎日二人で準備室でコソコソしてるらしいですよね?それは何をしてるんですか?」

山縣「菅野さんは理科部なので、あの準備室には自由に出入りするのは不思議じゃないですし、今はご家庭の事情であまりご実家に居場所がないようで、学校で残って資格試験の勉強をしていているだけです。」

横峯「勉強の手伝いをしてるなんて、しかも二人きりで、贔屓じゃないですか?」

山縣「資格試験の勉強なので、学校の勉強とは違いますし、彼女が個人的に頑張っているだけで、僕はほとんど助言はしてません」

横峯「まぁ、私は娘の話を聞いて心配で来ただけなので、今日は一旦これで帰りますけど、娘たちの年齢はいろいろ敏感な年頃なんですから、ご自身の行動には責任をお持ちになったほうがよいかと」

山縣「はい。ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。以後気をつけます」

出て行く横峰

山縣「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

校長「とりあえず、山縣先生を信じます。確かに生徒たちは敏感な年頃ですからね、特定の生徒と距離を近くしすぎるのは、他の生徒に誤解をうみますから気をつけてください。」

山縣「はい、気をつけます」

校長「それとこの写真、、一体だれがこんな写真撮ったのかわかりませんが、、、いろいろ気をつけてください。」

山縣「はい。申し訳ありません。」

不覚だった

いつもは警戒するのに、あの日の俺はは多分舞い上がっていたのかもしれない

こんな写真が撮られていたなんて、、、

ゆづ「先生?」

山縣「菅野?帰れって言ったのに」

ゆづ「うん、ごめん、でもやっぱりちょっと気になって。もしかして私のせいかなって?」

山縣「え?」

ゆづ「横峰のお母さんをさっき見た。前から横峯に、先生との関係を疑われてて、贔屓されてるって言われてたから」

山縣「俺も配慮が足りなかった。ごめん」

ゆづ「謝らないでよ。私が勝手に先生を好きになっただけなのに。」

山縣「あの、菅野、、もうここで一緒で勉強するのは、、」

ゆづ「うん、分かった、、でも週1の部活の時はいいでしょ?」

山縣「そ、そうだな」

俺たちはもちろん生徒と教師の一線を越えてはいない

だけど、菅野には絶対バレてはいけない秘密があった

俺とゆりさんの関係だけは、、

なのに、何故気づかなかったんだろう

あの写真を見せられたときにこうなる可能性を何故考えなかったんだ、、、


(次の日)

横峯「ねぇ、ゆづ、あんた知ってる?これ、山縣はホテルに行くような関係の人がいるみたいだよ。最初はあんたなのかと思ってたけど、よく見たら確かに山縣よりも年上に見えるわ」

ゆづ「なにこれ」

横峯「前に偶然見かけちゃったのよ。山縣が誰かとホテルに入って行くの。まぁ独身だしそういう人がいてもおかしくはないとは思ってたけど、最近妙にアンタと仲良しだからさぁーもしかして?って思ってさー」

ゆづ「アンタバカじゃないの?人のプライベート詮索して楽しい?」

横峯「淡い初恋だったみたいねー。かわいそう」

思わずカチンときて、横峯を突き飛ばしてしまった

横峯「痛ったいーーー。何すんのよー!」

どーでもいい。

もうどーでもいい。

だって、この写真

すぐに分かった

間違いない

これは、、、お母さんだ

(チャイムが鳴る)

女子生徒「先生!喧嘩です!」

山縣「え?おい!何してるんだお前ら」

横峯「こいつが急に突き飛ばしてきたのよ。」

山縣「横峰、お前血が出てるな、保健室行ってこい。菅野もやめろ!」

横峯「また贔屓ですか?私絶対この事許さないですから」

山縣「いいから、ちゃんと怪我の手当てしてこい」

私は怒りや嫉妬やいろんな感情で、震えが止まらなかった

山縣「菅野?おい!どおした?お前らしくない」

手を触ろうしたその手を思いっきり振り払われた

ゆづ「触らないでください。もう私に二度と話しかけないでください」

そう言って、教室から飛び出していくゆづ

山縣「おい!」

あの写真が落ちていたのを見つけた

山縣「なんでこの写真がここに、、」

山縣「おい!待って!菅野?」

本当は今すぐ追いかけたかったけど、ホームルームを終わらせないといけなかった

生徒は菅野だけじゃないのだ

結局戻ってこなかった菅野の家にカバンを届けに向かった

何度も電話したけど、ゆりさんとも菅野とも連絡がつかなかったけど、とりあえず俺は家に向かうしかなかった

ピンポーン

チャイムを鳴らす

やっぱり帰ってないか、、、

どこに行ったんだ菅野、、、

(ドアが開く音)

山縣「え?菅野??」

ドアを開けて入る

山縣「お邪魔します。カバン置いて帰っただろ?どうやって家まで帰ったんだよ。心配したんだぞ」

ゆづ「今は携帯で大抵のことはできるんだよ」

山縣「スマホか、、、なるほど。」

ゆづ「かばんありがうございます。じゃさようなら」

山縣「いや、帰るけど、菅野、あのな多分誤解してるんじゃないかと思って」

ゆづ「誤解?何が?先生とお母さんがホテルに行ってたってだけでしょ」

山縣「あれは、、」

ゆづ「そうだよね?お母さんだよね?すぐ分かったよ。なんで?何でそういう事になるの??え、いつから?先生私の気持ち知ってたよね?どんな気持ち?どんな気持ちで母親と寝てたの?

山縣「菅野ごめん。ちゃんと話すからまず落ち着いて、頼むよ」

ゆづ「触らないで!結局同じだった。今まで見てきたお母さん信者たちと一緒だったんだよ。あの人は私が好きなものを簡単に奪う。いつもそう」

山縣「菅野、俺の片思いだったんだ。前に話した俺が教師になるきっかけをくれた初恋の人がゆりさんだったんだ。もちろん最初は知らなかった。だけど、三者面談の時に会って、そこで、、自分の気持ちにケジメをつけるためにもあの日、ゆりさんのお店に行ったんだ」

ゆづ「それで?それでなんでホテルに行く事になるわけ?」

山縣「おれが頼んだんだ。吹っ切るために、最後にって。。」

ゆづ「ハハ。なにそれ。先生も先生だけど、一番許せないのはやっぱりあの人だよ。なんで寝れるの?私が好きだって知ってたのに」

山縣「お金を払ってる。だからゆりさんはあくまでもビジネスとして、仕事をしただけだ。それ以来もちろん会ってないし、完全に終わったんだ。ゆりさんは割り切ってたし、最初から俺たちに愛なんてなかった。俺の一方的な片思いだったんだ。それに、、ゆりさんはいつもお前のことを第一に考えてたよ」

ゆづ「辞めてよ。そんな話聞きたくない。聞きたくないよ。」

山縣「ごめん。本当に。菅野を傷つけるつもりはなかったんだ、、本当に、、」

(ドアが開く音)

ゆり「あれーゆづ鍵開いてたよー。物騒なんだからちゃんと鍵しめ」

山縣「お邪魔しております」

ゆり「ど、どなたですか?どういう事ですか?人の家に勝手に上がり込むなんてどんな神経してるんですか?」

ゆづ「お母さん!この人は私の担任の先生だよ!?」

ゆり「え、、あぁ、ごめんなさい、、私人の顔覚えるの苦手で、、失礼しました><」

ゆづ「そうやって、いつも自分が被害者みたいな顔して、もうウンザリ。」

ゆり「え?あれ、先生今日はどうなさったんですか?」

山縣「突然押しかけてしまって、すみません。実はこの写真をゆづさんと同じクラスの生徒に撮られてしまっていて、、、すみません。ぼくのせいです。全て僕の責任です。申し訳ありません。」

ゆり「これ、、、あ、あの日、、、」

ゆづ「忘れてた?wそうだよね、お母さんは誰とでも寝るもんね。別に先生だから寝たわけじゃないもんね」

山縣「菅野、、そんな言い方」

ゆり「、、、覚えてないですね。私過去の事あまり思い出さないようにしているので。先生ももう忘れてください。お金をいただいて仕事をした。ただそれだけです」

山縣「はい。」

ゆづ「バカなの?アンタは娘の担任の教師と寝たんだよ?私の初恋の人だって知ってて、それでも仕事だったっていうわけ?」

ゆり「ゆづ、アンタは世の中を知らなすぎるのよ。そうよ!私は仕事をしただけ。」

ゆづ「気持ち悪い、、本当に気持ち悪い」

山縣「菅野。ゆりさんはお前を」

ゆり「先生、余計な事言わないで大丈夫です。」

ゆづ「聞きたくない!もうこんな家になんかいられない。出て行く」

山縣「何言ってんだお前まだ未成年だぞ!一人では生きていけない。こーなったのは全部俺のせいだからこんな事言う資格はないんだけど、頼むから落ち着いてくれ。」

ゆづ「先生、私はね、、、私の願いはね、ただ私だけを見て欲しかっただけだよ。お母さんじゃなくて、私だけを。どうしていないんだろ。私だけを見てくれる人、、」

いろんなことがどーでもよくなって、私はそのまま家を飛び出した

山縣「菅野、おい菅野??」

ゆり「どうせ行くところない事に気づいたら帰ってきますから、もうほっといてください」

山縣「どうして、本当の事を言わないんですか?あなたはずっと守ってきたんですよね。菅野を取り巻く欲望に紛れた男たちから。ぼくもあなたからしたらその一人だった。だからあなたが寝てくれたんですよね」

ゆり「私はこういう生き方しかしてこれなかっただけです。だからゆづにはゆづだけには綺麗なままでいて欲しかった。私がその分汚れればあの子は綺麗なままでいれる」

山縣「伝えなきゃ。僕はゆりさんの思いを菅野に伝えたいです。それがぼくの使命です。絶対連れ戻してきますから」

先生はそのあと私を必死に探してくれたみたいで、夢中で追いかけすぎて、わたしに似た女の子を追って、道路に飛び出した、トラックにひかれたらしい

私がその話を聞いたのは随分後になってからだった

皮肉にも横峯が教えてくれた

その頃母とも直接連絡は取ってなかったし、何度もあの町に戻ろうと思ったけど、先生が事故のショックで記憶障害や下半身に麻痺が残ったことを知って、会いに行けなかった

私に出来る事といえば、お金を送ることぐらいだった

だけど、ある時送ったお金が返送されてきた

ついに退院したらしい

記憶が戻ったのかすらわからないけど、、、

本当は会いたかった

でも勇気が出なかった

先生は私を許してくれるのかな


(接骨院の一室)

高木「いらっしゃいませ。」

男「あ、高木先生、こちらの接骨院にいらしたんですね。」

高木「あ!あれ脚はもう大丈夫ですか?」

男「はい、先生の施術のおかげで大分調子良くなりました。自力で歩けるようにもなりましたよ。」

高木「良かったです。ぼくはなにもしてません。ヤマガタさんがリハビリ頑張られたからですよ。」

ヤマガタ「ありがとうございました。それで、、、ここに菅野ゆづさんって方いますか?」

高木「え?あ、お知り合いだったんですか?はい、でも今日はお休みで、、菅野御指名で予約いれますか?」

男「いえ、いるのが分かれば大丈夫です。また来ます。あ、でもこれだけ渡して頂けますか?」

高木「この匂い、、アネモネですか?」

男「はい。」

高木「ぼくは目が見えません。でもこのアネモネが真っ赤だという事が分かります。もしかして、ヤマガタさんだったんですかね?菅野さんがずっと会いたがってたひとって、、」

ヤマガタ「え?」

高木「住所お伝えします。会いに行ってあげてください。直接渡してあげてください」

山縣「あなたもしかして」

高木「ぼくも菅野さんに救われたものです。どうかお幸せに」

山縣「ありがとう」

(ゆづの家の前)

赤いアネモネの花が置いてある

ゆづ「え?アネモネ??赤だ、、久しぶりに見たな真っ赤なアネモネ」

ゆづ「たしか、、、、、花言葉は、、」

ゆづ、ヤマガタ「君を愛する」


ゆづ「...え?せんせい???」

山縣「久しぶり」

ゆづ「どうしてここが?ってかいつ退院したんですか?記憶は??え?脚は?麻痺は??」

山縣「菅野、、いや、ゆづ。ずっとずっと待たせてごめんな」

ゆづ「せんせい、、、」

初めて先生と抱き合えた

先生の匂いだ、、、、

ゆづ「会いたかった、、、、、ずっと、、、」

山縣「うん、、、ごめん。まっててくれてありがとう。」

ゆづ「どうして私だって、、、」

山縣「紫のアネモネ、、ずっと送ってくれただろ。お金と一緒に。看護師さんが毎年俺の部屋にその花を飾ってくれて、その香りを嗅ぐたびに思い出せたんだ。いろんな事を」

ゆづ「会いに行けなかったの、、ずっと会いたかったのに」

山縣「わかってる。全てを思い出せた時に、会いに行こうと決めてた。ゆりさんがゆづを本当に愛してたという事も、、俺がちゃんと伝えないとと思ってた」

ゆづ「うん、もう分かってる。汚れなき人。私は今もあの頃のままだよ。先生」

山縣「なにも持ってない俺だけど、もう絶対離さない。結婚してくれますか?」

ゆづ「....もちろん!」


私は山縣ゆづになった

お腹には新しい命もいる

先生はもう一回教育者の道に戻るために勉強を始めた

私たちはとても遠回りしたし、結果的にいろんな人に助けてもらいながら、ここまできた

人は一人で生きているようで、一人では生きられない

一人一人違うその容姿を変えることは出来ない

だけど、人の魅力は決して外見だけではない

人に少し優しく出来た時、人も優しくしてくれる

昨日より明日はもっと優しくなれるように、そんな自分を好きになれるように毎日を生きようと思う

どうかあなたの愛も大切な人に届きますように


終わり