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映画のまち・中洲の思い出を振り返る

2024年も、あっという間に3月になりました。

今月末、福岡市中洲に残る唯一の映画館「大洋映画劇場」が、78年の歴史に幕を下ろします。

現在は歓楽街として知られる中洲ですが、大正から昭和にかけては映画のまちとしても、福岡市民に愛されていました。
 
そのスタートは1913年(大正2年)、東中洲で開館した福岡市初の映画館(活動写真常設館)「世界館」でした(上の写真は、現在の東中洲付近の風景。「大洋映画劇場」は、西鉄バス東中洲バス停の目の前にあります)。
 
これがきっかけとなり、中洲に映画館や劇場が続々と誕生。最盛期の1958年(昭和33年)には、那珂川と博多川に挟まれた南北約1キロ、東西約200メートルのエリアに、21もの映画館が立ち並んでいたそうです。

映画のまち・中洲の最盛期の後に生まれた私も、小学生時代までの映画館の思い出は、中洲でした。
 
1946年(昭和21年)に開館し、1999年(平成11年)に現在の形になった「大洋映画劇場」も、思い出の地の一つ。昭和レトロな雰囲気の劇場で、国内外の多彩な作品を楽しみました。

その後、中洲で唯一の映画館になっても頑張っていた「大洋映画劇場」でしたが、建物の老朽化に伴い、2024年3月末で営業を終了し、取り壊されます。

営業ラスト1カ月の期間(3月1日から31日まで)は、「さよなら興行」を実施。

過去に同館で上映された作品を中心に邦画・洋画計22作品が1,000円で鑑賞でき、有料来場者プレゼントとして、同劇場の外観写真でデザインされたポストカードがもらえます(数量限定)。

こちらは「さよなら興行」の開催に合わせて1,000冊限定で制作された、メモリアルブック「大洋映画劇場 クロニクル1946-2024」です。

新聞の記事で販売されていることを知り、購入しました。
 
「大洋映画劇場」の歴史はもちろん、映画のまち・中洲の変遷も詳しく紹介されていて、これらの情報に興味や関心がある人におすすめできる1冊です(今回の記事は、この本を参考にして制作しました)。

2024年2月に西中島橋から南方面を撮影した写真です。

川の左側が中洲で、右側が天神。中央奥には「ユナイテッド・シネマ」が入る商業施設「キャナルシティ博多」(住所は福岡市博多区住吉)の茶色の建物が見えます。

かつて映画館が点在していた場所は、商業ビルやオフィスビル、マンションへ様変わりしました。中洲名物のネオン看板も日に日に減っていて、時代の流れを感じます。

「大洋映画劇場」では、再開の可否が検討されているものの、取り壊し後にどうするかは、現時点で未定だそうです。
 
映画館にとって厳しい時代ではありますが、いつかまたなんらかの形で「大洋映画劇場」が復活することを願わずにはいられません。

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