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猫と、美味しくないお菓子

2024.3.13 (水曜日) Unfortunately


いつものように、目が覚めたばかりのベッドの中から
「アレクサ、目覚めの音楽をかけて」と、呼びかける。
流れてきたのは少し切ない卒業ソング、2曲目も3曲目も切ない卒業ソングのオンパレード。
ちょびっと涙が出る。
今日の私は過度にロマンチックだ。
武田鉄矢さんの『贈るる言葉』でも流してくれたら笑えるのにと思うが、一向に『贈る言葉』はかからない。
ロマンチックなのは春せいにしておこう。
春にロマンチックになるおばさんなんて気持ち悪いにも程があるが、
そこのところは見逃してもらうことにしよう。

そんなロマンチックな中、私の足元で寝ていた猫が毛布の上で吐いた。
私はびっくりして飛び起きて「何やってるのよ、こんなところで吐かないでよ〜」と叫んだ。猫はキョトンとしている。
隣の部屋から「こんな朝早くから何事?」と、夫も起きてきた。
二人で毛布の上を掃除し始める。
猫はまだキョトンとしていて『おい人間たち、朝から何を騒いでるの?』と言いたげな眼差しである。そしてそのままリビングに行ってソファの上でまた寝始めた。
「あなたが人間だったら、完全に嫌われ者だよ。猫でよかったね」と、声をかける。
猫はよく吐く生き物であるが、私の毛布の上で吐いたのは初めてだった。
何かの前兆だろうか。何かって何?
そんなことがあって、過度なロマンチストの涙はすっかり乾いてしまった。

猫のキョトン顔

今日は午後から来客があるので、午前中は徹底して掃除する。
玄関、リビング、トイレと順番にこなし、お風呂も?と思ったが来客はお風呂は入らないだろうと思いお風呂はパスした。
花もいけた。
その瞬間「あの人花とか好きな人だっけな?」と思う。結構現実主義者だから花など鬱陶しいと思うかもしれない。ちょっと悩んで見えるか見えないかくらいのところに花瓶を置いた。
他人を自分のテリトリーである家に入れるということは、神経を使う作業で好きではないが、一歩外に出るとまた花火大会のような人混みに紛れてしまう。そんな中、向こうから来てくれるというのだから掃除ぐらい文句を言わずやろう。

来客は午後2時に来て、必要な打ち合わせをして資料を山ほど置いてさっさと帰って行った。
『いいソファですね』とか『駅が近くて立地条件ですね』とか褒めてくれたけど、花などにはやはり見向きもしなかった。
それにトイレにも行かなかった。
今日、その人が口にした言葉で印象に残っているのは…
『努力ってね、主観的なもんなんですよ。苦労も同じ。自分の努力と他人の努力を計る指標なんてないんです。だから人は結果で努力の量を判断するんです』
私も同意見であるが、それを他人に向かっていう人に初めて会った。
これをいうには相手を選ばないと大変なことになるのに、その人はいとも簡単に「今日はいい天気ですね」みたいな感覚でさらりと言った。
びっくりだ。
私には言っても大丈夫だと思ったのだろうか?
まぁ大丈夫だけど。

その人が持ってきた差し入れのお菓子は、あまり美味しくなかった。
それが今日1番の残念なできごとであった。

あなたは何か残念なことあった?


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