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ひぐらしの声も届かぬ涯にいる

2022.8.12(金曜日)

ひぐらしの声は聞かない。

台風の影響か前線の影響かわからないが、それまでは問題なく晴れていたのに急に曇ってきてパラパラという音を立てて雨が降り出した。
慌てて洗濯物を取り入れるためにベランダに走って行く途中で、サッシの角に小指をぶつけて悶絶する。
「うっ、痛い」という声を出しながら洗濯物を取り入れる。

雨は30分ほど激しく降ってやんだ。

もう暦の上では秋という設定らしいが、ひぐらしの声も聞くことがない。
そもそもこの辺にひぐらしなど生息してはいないのだけど、何かの古い映画で縁側で夕涼みしている夫婦が、ひぐらしの声を聞いて「あぁ、もう秋だわね」と言い合う場面が好きで、いつかひぐらしの声を聞きたいものだと毎年思ってこの年まできた。
私自身が住む環境を変えない限り私の望みは叶わないことはわかっているが、何かの原因で生態系が変わってこの街にもひぐらしが住んでくれるかも…と、相変わらず他力本願である。

P.Cに向かって書き物をしている途中にふと外に目をやる。
グレーのアスファルトにパッと目を引く派手なピンク色をした観光バスが2台国際会議場の前で止まった。しばらくして高校生っぽい子供たちが大勢降りてきて国際会議場の中へ入っていく。何だろうと思って国際会議場のホームページで検索してみると、今日から『吹奏楽コンクール(中学・高校)』が始まるようだ。しばらくの間は若い子たちでこの街が賑わうことだろう。
プログラムをよく見てみると大阪桐蔭高校が特別枠で参加している。大阪桐蔭高校の吹奏楽は素晴らしいという話をいろんなところで聞く。高校野球で大阪桐蔭高校が出場する時は吹奏楽部が甲子園で生演奏するようだが、野球より吹奏楽を目当てに行く人がいるということだ。
私はテレビでしか聴いたことがない。いつか生で聴いてみたい。

昨日、雑貨屋の前を通った時に私の目にどどど〜んと入ってきたガラスの花瓶。特に花瓶を探していたわけではないが、それがとても素敵だったので衝動買いした。
しかし、花はまだない。
さっき花屋を覗いてきたけど、気に入る花がなかった。
夕方、再度違う花屋を見にいこうかと思っている。
花瓶の存在というのは難しい存在で、部屋の中でなかなかしっくりくる置き場所がない。花も同じで自己主張することなく、かといって無味乾燥でもダメだし、素人では一筋縄では扱えない難しさがある。
そうだなぁ、本来は野に咲く花を家の中に取り込もうってこと自体が自然なことではないもんなぁ。

花のない花瓶

いつまでもこのままでは不憫だ。
良い伴侶が見つかるといいのだが…


読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。