見出し画像

中国の出生率の低下が止まらない。高齢社会での老後と年金の未来

最近のニュースで中国の出生率が下がっていることが話題に。ネットで議論が盛んに行われています。

中国にも高齢化社会がやってきていることは以前にnoteで紹介しましたね↓

国連の定義によると、国や地域で65歳以上の人口の割合が7%を超えると「高齢化社会」、14%に達すると「高齢社会」と呼ばれ、中国は高齢社会まで秒読みです。

国家統計局は2019年の年間出生数を1,465万人と発表しました。ちなみに2016年の年間出生数は1,786万人、2017年は1,723万人、2018年は1,523万人と順調に減少中。そして、公安部が2月8日に発表した登録新生児数から、2020年の年間出生数が2019年を下回っていることが確実とされています。

出生率持续走低

↑これが過去と未来予想の出生人口データ。すごいペースで減少していきそう。

ご存知のとおり中国は一人っ子政策を導入して人口のコントロールをしていましたが、今では制限が緩和されているにも関わらず子供を産むことに消極的な人たちがたくさんいます。

経済的な問題、キャリアの発展、社会的支援、介護のプレッシャー、生活の質の追求、ライフスタイルの多様化などなど。日本でも同様な原因がありますね。

この現状についてネット民たちの議論が白熱していますので、いくつか紹介しましょう。(ちょっと同意できない点もありますが)

1人っ子、2人まで、などの政策は下降トレンドの中では小さな波に過ぎない。人口減少に伴い将来的には国内の競争は小さくなるだろうが、国全体が直面している国際的競争力低下が問題だ。人口が多いことでの優位性は徐々に失われる。国際競争の中でさらに上を行くためにも、少ない労働人口で同様かそれ以上の価値を生み出すことが必要になってくる。
このペースで行くと2040年頃に深刻な労働者不足に陥るのではないかと心配している。そして、30代、40代の多くが定年が遅れることを心配しているが、実際にはもっと心配すべきは、定年が来る前に仕事を失うこと。

(中国IT企業などの競争の激しさから、働きたくても解雇されるミドル層の現実については以前紹介しましたね↓)

比較的楽観的に見ている。住宅価格の高さが一番子育てにプレッシャーを与えていて、子供を増やそうとしない大きな理由の一つになっている。でも住宅価格の最終的な決定要因は人口。不動産は過去数十年の中国経済成長の最も重要なエンジンであり、住宅価格上昇の最も重要な原動力は労働者の都市への大量流入。よって出生率が下がれば、目先の住宅需要は徐々に減り、住宅価格は自然と下がっていくでしょう。
中国経済上昇の原動力だった人口ボーナスは高齢化後は負担になると考えている。人口出生率の急激な低下は産業の高度化、エネルギーの高度化、人工知能の開発を強制する機会を提供することに繋がる。労働が不可逆的に高くなるということは、資本が相対的に安くなるということ、資本集約型の産業に多くの資本が流れ込み、新しい自動化された労働力が徐々に人間の労働に取って代わり、より多くの人がより尊厳のある快適な生活を送れるようになるということ。
定年後の困難など、多くの人の人口減少への悲観的な考えは「現状が変わらないことを考えると」という前提から来ている。人口が不可逆的に減少した後は、政策の方向性、資本の流れ、規律の構成、産業構造のすべてがそれに応じて調整される。機械化、エネルギー、人工知能の発展は、人口減少による生産性の低下を簡単に補うことができ、より少ない人数で過去の数倍の生産量をはるかに上回る生産をするというのは決して夢物語ではない。半分の7億人になっても結果として今と同程度のアウトプットを出せるようになれば、老後の心配はあまりないかもしれません。

などなど。高齢社会の先輩の日本のみなさんはこの意見についてどう考えますか?日本のニュースやSNSでは、日本の発展についての議論もありますが、社会保険や年金などお金の心配についてをよく目にしますね。

中国の社会人の年金は、個人が収入の8%を負担し、会社が20%を負担する仕組みです。(無職の人の納付額はもっと少ないですが)基本的には定年までに払った総額の多少によって、もらえる年金の額が異なります。

また、物価や納付額、合計納付期間、納付地の前年度平均年収などにも影響されるので、周りの中国人は自分が定年になったらどのくらいの年金がもらえるか詳細がわからないのが実情です。

話を聞くに、今の平均月収の30〜40%相当の購買力のお金がもらえるとの説が一般的です。しかし、この試算は社会保険の年金基金に安定供給できる額があるというのが前提です。年金については、今働いてる人が納付したお金をお年寄りがもらうシステムなので、働く人口が半減ならば、個人負担も会社負担も倍にならないと成立できない(実際はもっと複雑です、詳細はまたの機会にでも詳しく)。

そしてもう一つ気になる数字がありました。2020年の登録新生児データでは、1003.5万の新生児中、男性が529.0万人で女性が474.5万人です。これじゃ結婚できない男性がますます増えるよね、中国ではモテない男の子は日本以上に大変だよ。

(参考資料)


よろしければサポートをお願いします。Twitterも良かったらどうぞ! https://twitter.com/bijingbball