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べてるの家のオンラインマガジン「ホップステップだうん!」 Vol.282




横浜市にある「NPO法人青空保育ぺんぺんぐさ」で当事者研究の進行をさせていただきました。
子どもたちも自分のできごとを当事者研究している保育園です!

午前は保護者20人と「子どもがパニック起こしたときの対応」について研究しました。
同じじゃないけど似ている経験から、それぞれの自分の助け方が紹介されました。20人いると助け方も20通り!すごい!
そこからテーマを出してくれた保護者が助け方を選んでロールプレイをしました。
見える化すると、どんなに保護者ががんばってこられたかよくわかりました。労いと応援の気持ちを込めてみんなで拍手を贈りました。

午後は保育士さんと保育中に違和感を感じたときの自分の反応について研究しました。保育士さんたちの語るチカラがすごくて安心して語れる素敵な保育園なんだなーと思いました。

午前も午後もわいわいとたくさんの語りがうまれ、いろんな発見があって濃厚な時間でした。肩の力を抜いた語りは、誰かの言葉がまた誰かの言葉を呼び起こしたり、誰かの気づきにつながって…対話ってほんといいなーーーと改めて感じました。

不思議なことに全く解決してないけど子育てが楽になるし、自分の苦労とちょっとだけつきあいやすくなります。私も子育て当事者としてこの「ちょっと」をこれからも積み重ねていきたいです。

写真は、子どもたちが折ってプレゼントしてくれた折り紙。

文/写真:江連麻紀
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●新刊「弱さの情報公開」NEW

2023年10月発売の最新書籍です。
2020年に発売しご好評をいただきました「弱さの研究」の続編。
不寛容な社会での孤立と孤独「つながり」を考える。

一部では、カーリング日本代表の吉田知那美選手とべてるの家の人や
向谷地生良氏との「強さと弱さ」についての対談。

二部では人と人の「つながり」を各章で考察、依存症、認知症の孤独について、本当の「つながる」ことの意味を考える。

<目次>
まえがき―「弱さの情報公開」の源流 
一部 弱さの情報公開
一章 弱さの情報公開 
二章 弱さを認める 
三章 行き当たりバッチリ 
二部 つながる
四章 わたしが「ダメ。ゼッタイ。」ではダメだと思う理由 
質疑応答 
五章 「認知症と繋がる」ということ 
六章 あいだは「愛だ」 
七章 地域と人と苦労で繋がって(向谷地生良氏最終講義) 


●大反響増刷中!
『子ども当事者研究 わたしの心の街にはおこるちゃんがいる』

本体価格:990円+税、出版社:コトノネ生活


● べてるの家の「2024年カレンダー」

2024年もべてるの家のオリジナルカレンダーが登場しました。べてるの仲間が大切にしている言葉とすずきゆうこさんの温かいイラストで2024年が良い年になりますように。

● べてるへの見学・お問い合わせ


●べてるの冬ギフト お問い合わせ:べてるの家 TEL 0156-22-5612


・「北のバラバラな日々」(35) 笹渕乃梨

「今日のわたしを助けてくれるのは、いつだって昨日のわたし」

コレ、2023年のわたしのひとりごとランキング1位のつぶやきです。

ちょっとふんばって頑張ろうと思うときにつぶやきまくってた言葉です。

今年は3年勤めた精神科クリニックを退職し、5月にべてるのみなさんや東大の熊谷研究室のみなさんと韓国を訪れ当事者研究やオープンダイアローグ三昧の時間を過ごさせていただいて以降はトンと当事者研究の場から遠ざかっていた1年のように感じます。定期的に開催される当事者研究の会にもほとんど参加しませんでした。自分に起きた経験を研究的にアウトプットする機会もここ数年で最も少ない年だったように思います。

この10年のわたしと言えば、ほとんど「当事者研究依存」みたいな状態でした。「当事者研究(の場)がないと生きるの大変」という感じで、毎日でもみんなと研究していたかったし、正月やお盆なんかで2週間もあくと研究ロスで不調に見舞われるようなありさまでした。

理念でいうところの「自分自身で、ともに」の「ともに」部分に9割くらい助けてもらってたのかもしれません。

今年を振り返ってみて意外なのは、これだけ研究の場から離れながらも不調の波の数はさほど多くなかった印象ということです。

(2〜3回のビッグウェーブはあったものの)仕事にも通えたし、研究的対話?なラジオ番組「つまり、きりがないラジオ」も続けられたし。思春期以降ジェットコースターみたいな感情とのつきあいに翻弄されてきたわたしにしては及第点どころか95点くらいつけてあげたい気分なわけです。

かつては0か100かで頑張って、たいがいは自分に0点を叩きつけてたのにどうしてこんなに甘い採点ができるようになっちゃったのかしら。

当事者研究の穴をなにか別のモノやコトが埋めてくれたのかしら。

思いつくままにアレコレ並べてみたいと思います。


【今年やめたこと・手放したこと・距離をおいたこと】

・精神科クリニックの退職

・前夫の大量の荷物のほぼすべての処分


【今年新しくはじめたこと】

・陶芸教室で人形づくり

・朝活=ヨガ(時々レッスンも受けるようになった)

・iPadを手に入れてグラレコの練習

・週に1度は拭き掃除


【ひきつづき続けたこと】

・気持ちや感情を丁寧にノートに書き出すこと(ソロ研究)

・研究仲間との研究的日常会話(グループライン)

・不調の予測(記念日反応やPMSなど)


【今年、気づけばできるようになってたこと】 

・自分で自分をほめる(ほめられる)ことが、誰かにほめられるより嬉しく感じるようになったこと

・自分のドジやうっかり、他人からの被害を笑いとばすこと

・できなかったことより、できたことをカウントすること


【やめられなかったこと】

・自傷(2回/年)

なんというか、研究の代わりに陶芸してました。あとヨガも。

一人でやる研究と研究的な日常会話ができる仲間とのグループラインでけっこう満たされていたのかもしれません。

意図せず「自分自身で」と「ともに」のバランスが取れていたのかも。

自分に「好きなことをやることをゆるす」ことで元気がでてきたのかも。

「今日、やるべきことはやった」と思える満足感を得るだけの体力と気力がついてきたのかも。

不貞寝的に寝込んだり、ネガティブに怒ったり悲しんだりすることより生産的で気持ちよくて楽しいことがあるらしいってことに気づきはじめたのかもしれません。42歳で。やっと!

けっこう遅咲きですね。

遅咲きだけど、その輪郭を知れたことは最高にうれしいです。

来年は、やったことないことにもっとトライして、もっと自分をほめて伸ばしてあげられるようになりたいです。で、機嫌のいい時間が今年より増えたら嬉しいです。あと、自傷は1回までにとどめられたらなお嬉しいです。

「明日なんか来なけりゃいいのに」ってけっこう長い間心の底から思ってたのに、いまは来年が待ち遠しいです。すごい振り幅…..やっぱりジェットコースターなんでしょうか。

だんだん心配になってきました。

胸をさすって「わたしなら大丈夫」と自分に言ってあげようと思います。

とほほ。

写真は、娘が幸せそうにしてた清州(韓国)のデパ地下。

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笹渕乃梨(ささき・のり) 自己病名は『境界線ぐちゃぐちゃ症候群サトラレ型変化球言葉タイプ(現在は枯れている)』

北海道で小学生の娘と二人暮らしをしている。趣味はゆるめの野遊び、スキー、工作、手芸など。精神科のお医者につけてもらった病名はうつ病とADHD。現在は無脳薬で約3年。

「子ども当事者研究」、「子育て当事者研究」、「なさ親」などで活動中。22年4月より「nasaLAB(なさラボ)」のWebラジオ「つまり、きりがないラジオ」パーソナリティ。

「nasaLAB(なさラボ)」の登録はこちら↓



・続「技法以前」225 向谷地生良

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