【引きこもりの7割は自立できる 二神能基・久世芽亜里著】 Amazonブックレビュー

本屋でたまたま見つけて手に取って購入した。
実践と積み重ねから結論づけられた非常に貴重な書だ。引きこもり問題も30年くらいの歴史になりそろそろ総括というか、対処法も含めガイドラインが必須な時期に来ていると思っていたので、まさにそのタイミングでちょうどいい書だった。

この書では「信じて待つ」は3年までと結論づけている。
実践と統計の中から出た数字なので信頼できると思う。もちろんこういった問題は一人一人違うの個別化が必要だが、全体像というものも必要だ。

また、本書全体的に、非常に謙虚な姿勢で、他の支援を頭から否定することなく、また表現を断言することなく客観的な部分と、体験から来る主観的な部分のバランスが取れていて非常に気持ちよく読めた。独りよがりでない。

もう一つ結論として、「引きこもりでもいい」という選択肢に対して疑義を示し、支援の実績と当事者の声から、親元から離れた「自立」をゴールにしている点が素晴らしいと思った。引きこもり者の多くは、「引きこもっている時期が一番辛かった」と声を揃えて言う。また「自立」とは就労というよりも「幸せになること」と表現している点が実践に裏付けられたものとして説得力を持っている。

わたしも精神保健福祉分野で引きこもりの問題に対処してきたが、引きこもり問題を解決するのは本当に大変である。長期化は避けられないと言ってもいい。その長期化させないための待望の書が本書だ。

5080問題の集会に参加したことがある。家族会の人が「やっと(精神科などの)医療につなぐことができました」と医療に繋ぐことがゴールになっていて、それは違うだろ!と強く思った。心療内科、心のクリニックを含む精神科の99%は薬物治療しかやっておらず、カウンセリングや心理療法は皆無。精神薬は脳に作用し重大な副作用と、麻薬と同じように依存性があり離脱症状に苦しむことになる。抗うつ薬や抗精神薬は実際に精神病の病状を作り出し本当の精神病になってしまう。本書にも書かれているが引きこもり者で発達障害など精神疾患に罹患しているのは30%ほど、これはわたしも現場で調査して同じくらいの数値が出ていたので非常に納得できる。つまり引きこもり者の多くは健常者であり、精神科に繋げると本当の「精神病」になってしまうから危険ということが言える。その発達障害も医学的・科学的定義はなく障害や病態そのものの存在があやふやである。

本書で一つだけ残念だったのは、上記の現状の中、精神科通院や精神薬の服用に対し批判や否定がなかったことだ。カウンセリング や心理療法を行わない精神科や精神薬が精神疾患を誘発し、引きこもりを長期化させている「底無し沼」だという視点も持ち合わせないと、真の引きこもり支援にはなり得ないであろう。

精神薬や精神科がなぜ問題か?ということは、拙書「精神薬をやめたら病気が治った」をAmazonで購入して一読していただければよく理解できると思う。

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